「源氏名」という習慣を知ったのは中学生ぐらいだったか、どうせエロ本あたりで仕入れた知識だろう。
ソープ嬢(当時はトルコ嬢)紹介のページを一生懸命熟読した際に、出てくる女性の名前が「松坂慶子」とか「多岐川裕美」だったりした。
似ても似つかないのだが、バカな子どもにとっては、字ヅラを追うだけで変な気分になった記憶がある。
別名を源氏名と呼ぶ起源を知ったのは、だいぶ後になってからだ。源氏物語にちなんだ名前を公家社会に勤める女官が使用したことがきっかけだ。
その後、大奥など武家社会にも広まる。次第に源氏物語に関わりなく「雅な響き」の名前が増えていったらしい。
江戸城大奥を描いた映画やドラマで出てくる女傑たちの名前が、「江島」とか「幾島」などどこか独特な響きを持っているのもそうした流れだ。
その後、遊郭の女性にも広まり、水商売用の女性の別名を総称するものとして定着した。源氏物語とはまったく関係ない名前が使われるようになっても源氏名という表現だけは残っている。
確かに、ただの別名とか通称、愛称では気分が出ない。源氏名といわれた方がどことなく洒落ているし、艶っぽい気がする。
その昔のソープ嬢は「荻野目」とか「高瀬」、「仁科」とか「真梨邑」など中途半端に芸能人を連想させる名前を名乗っていた覚えがある。ちっとも“源氏”に関係ないのだが、幼い私にそんなことは関係ない。ただ「源氏名」というものがあって、それを名乗る人は妖艶な人だという印象だけが植え付けられた。
当時見たエロ本のせいで、いまだに「源氏名」と聞くとムフフな気分になる。
さてさて、以前から「クラブ活動」を展開しながら気になっていたことがある。源氏名の没個性についてだ。店が決める場合とホステスさん本人が決める場合とあるのだろうが、平凡な名前があまりに多い気がする。
いっそのこと、空蝉とか桐壺とか源氏物語に出てくる名前を使ったほうが目立つだろう。目立ってナンボ、覚えられてナンボの世界だと思うがどうなんだろう。
酒場で過ごす時間、ホステスさん達と違ってこっちは酔っぱらいだ。泥酔はしていなくても、正常な記憶力が働かないことは多い。
翌日、もらった名刺を見返しても誰が誰だか分からない。私のヌルい記憶力のせいだけではない。特徴のない名前が多すぎるから印象がない。もったいないと思う。
私がこれまで一番印象に残ったホステスさんは「××丸」という源氏名。実に強いインパクトがあった。秀子さんという女性なら「秀丸」、純子さんなら「純丸」、あやかさんなら「あや丸」にすれば、一発で客は覚えると思う。
変な話、新宿のホストのほうがよほど妙チクリンな名前を名乗っているような気がする。妙チクリンな響きって結構バカにできない。非日常性を楽しみたい客にとっては大事な要素なのかもしれない。
ホステスさん達は仕事場を舞台に衣装や髪型も普段とは違うスタイルにまとめあげる。
まさに「変身」しているわけだ。名前のほうももっと大胆にアレンジしたら格好いいと思う。
私の印象に残ってる源氏名は『千堂花道』。
返信削除「はじめの一歩」というボクシング漫画に出てくる千堂武士と、「スラムダンク」の桜木花道が好きらしく、名刺も自分でこのキャラクターをアレンジしたデザインでしたね。
この娘が、当時やってた「お水の花道」のドラマを地でいくようで、それが名前とかぶってたりで面白かったですね。
ちまにみ、お風呂やさんでお世話になったのは『石川秀美』さんでした(笑
お風呂屋さんで「石川秀美」。
返信削除笑えます。ギャップもすごそうで・・。