先週末は沖縄に行く予定だった。目的は新しい水中撮影機材のテスト(という名目で泡盛を浴びるように呑むこと)。
台風20号のせいで、急きょ日程変更した。異常なほどの迷走台風なので仕方がない。わざわざ危険を冒して潜るような必要もない。
昔と比べて便利になったのが、台風情報をほぼリアルタイムでチェックできること。インターネットで調べれば台風の進路予報もすぐに分かる。
面白かったのが国による予報の違い。沖縄方面の台風は、当然、中国や台湾、香港、フィリピンあたりの気象予報サイトも追跡している。国によって進路予報は随分違う。
先週後半の段階では、フィリピンでは自分達のエリアである西へ進むと予報、台湾では台湾エリアで停滞と予報、日本は北上する予想、すなわち沖縄方面と分析。
どうも自分達のところに来るんだと予想したがっている感じ。その方が周辺住民が災害などを警戒するから意図的にそうしているのだろうか。
沖縄には20歳代の頃を中心に随分行った。当時はキャンセルのきかない格安航空券やパック旅行しか使わなかったので台風が本当に厄介だった。
実際、今より10年、20年前のほうが台風が直撃する回数が多かったらしい。インターネットがなかった当時はフィリピンあたりの気象状況を衛星画像で見るなんて芸当は出来るわけもなく、台風が発生しているかどうかの情報はなかなか掴めなかった。
東京のテレビでやっている天気予報では、沖縄は画面下の端っこに映っているだけ。当然、それより下や左の方に台風があるのか無いのか気になってしょうがなかった。
仕方なく更新時間が来るたびに沖縄の市外局番の「177」に電話して週間天気予報を聞いていた記憶がある。随分とアナログなことをしていたものだ。
沖縄での台風の思い出といえば宮古島で台風見物に行ったことがある。
大学時代のある夏、1か月ちょっと沖縄にいたことがある。ケラマ、宮古、西表で潜水三昧だったのだが、夏の時期にそれだけ滞在していると台風にも当然遭遇する。
宮古での経験は、民宿のおばさんの気配りがきっかけ。東京からはるばるやってきた素敵な若者(私だ)が台風のせいで宿で退屈しているのを見かねて、「台風見にいくサー」とか言い出した。
「台風って見えるんですか?」
「もちろん見えるサー」
以上のような意味不明な会話のあと、オバサンと私と確かもうひと組のお客さんが宿のクルマで出かけた。
平安名埼灯台だったと思う。眺めの良い岬を目指す。途中、結構な大きさの木がごくごく普通に強風で倒され転がっている。
大雨でワイパーはきかない。なぜか運転させられていたのは私だ。転がる木を避け視界の悪い中、ビビりながらドライブ。細かいものが飛んできて車体にガツンこつんとぶつかる。結構傷が付いちゃったはずだ。
そのうち、ワイパーが強風でどこかに飛んで行ってしまった。やばいと思ったが、あっても無くても視界は一緒だった。
岬に着いた。海からかなり高いところにある。晴れているときは沖縄全域の中でもトップレベルのナイスビューな場所。
確かに台風が見えた。というか、気が狂っているように大荒れの海は、まさに台風そのもの。「台風を見た」という表現でもOKだと思う。
荒れている海と言えば、日本的な黒砂と岸壁がバックのネズミ色的なイメージだが、宮古島で見た荒れる海は全然印象が違う。
薄曇りのような比較的明るい空に波浪警報モードの猛々しいエメラルドグリーンの海。白い砂も相まってバスクリンのような綺麗な海が荒れに荒れている。
恐ろしいけど結構キレイ。そんな印象。
眺めの良い場所に止めたクルマは強風でブルンブルン揺れている。当時の私は若者だ。さすがにクルマから降りてみたくなる。
オバチャンの制止が間に合わずにドアを開けた途端、ドアは風に煽られて180度向こうまでベロンと開いてしまった。ドアヒンジが一発で壊れてしまった。
でもオバチャンは優しかった。「ドアが取れなかったら無事に戻れるサー」とか笑っている。
いくらオンボロ車とはいえ、ワイパーは飛んでいき、車体は傷だらけになり、ドアまでイカれたのだから悲しみそうなもんだが、なんか楽しそうにしている。
さすが南国だ。
それ以来、台風のせいで旅行計画が台無しになっても、イライラしないように心掛けている。
先週末の日程をキャンセルする際も、あの日のオバチャンの顔を思い出した。
先週、出張でマニラにいました。
返信削除先日大きな被害があったばかりなので、かなり気をつけて予報を見てましたが、見るところによって若干予報が違うのですよね。
予報そのものが違うのか、鮮度の違いなのかは不明ですが・・・
幸い、マニラにはほとんど影響ありませんでしたが、今後も大きな被害が出ないように祈ってます。
そういえばマニラにも拠点をお持ちでしたね。
返信削除今年はフィリピンに台風がバンバン行ったようで、何かと大変だったみたいですね。
異常気象の影響もあるらしいですが、予想できない天災ほど怖いものはないですよね。。。