先日、ひょんなことから「資金繰りコンサルティング」の世界で活躍する人と長々と話す機会を得た。
わが社の発行する税金の専門新聞やオーナー経営者向けのフリーペーパーに原稿を執筆してもらっている。
この連載原稿、金融機関との交渉に苦労している経営者が多い世相を反映して読者からの人気の高いコーナーだ。
仮にX氏と呼ぶ。X氏は元々銀行員。銀行の体質や仕組み、思考法をわかりやすく解説して効果的な資金繰り成功術を指南している。
本人いわく「こんなことがビジネスとして成り立つことが不思議」だとか。
銀行員の数は一昔前と比べて4割ぐらい減っているらしい。だから銀行員の仕事はキツくなり、効率性ばかり尊重され、面倒な仕事は敬遠される。
そんな現状が銀行員自身の質的変化、経験不足などを招き、割を食っているのが中小零細企業という図式だ。
銀行内で融資案件の稟議書類を上手に書けない銀行員が増えているらしい。それじゃ貸し渋り以前の問題だ。そんな状態だから、親身にコンサル的アドバイスを顧客に提供することなんてできるはずもない。
昔なら、資金繰りに悩む企業にあれこれとコンサルティングするのは、それこそ支店の営業担当者だったわけだが、積極的にそんな動きをする人材が激減したわけだ。
融資を受けるには、その世界ならではのルールや常識、必要な段取りやコツがいくつもある。
企業規模によってカウンターパートになる金融機関も様々だが、その住み分けだって画一的にギチギチに決まっているわけではない。
金融機関担当者の話す言葉にしても、使われる言葉のニュアンスひとつが大きく意味を持つこともある。
そうは言っても、融資環境をめぐるアレヤコレヤの話の多くがデマやウソだという。困ったものだ。だから中小企業経営者の苦悩は深くなる。
資金繰りに困っている企業が100社あれば、100種類の考えや事情があるわけだから、「金融機関交渉術」といっても確かに難しい問題だ。それでも、金融機関の誠実な営業担当者に出会えれば一気に有利にコトが運ぶわけだから運も味方につけねばならない。
また、金融機関によっては特定の時期に特定分野への融資獲得に躍起になるような動きを見せる。キャンペーンみたいなもの。そんな出会い頭みたいな話に見事ぶつかって楽々タンマリと資金を融通してもらう例もある。
今回、X氏にいろいろな話を聞いた。融資、すなわち借金をめぐる人間模様だけに実に興味深い話が多い。
X氏と話していると意外な事実を知ったり、目からウロコみたいな話が多く、妙にワクワクできた。
資金繰り問題で八方ふさがりになっている経営者は、まともなコンサルタントに相談するだけで随分と目の前が明るくなるんだと思う。
融資の問題だけでなく、知らない事への不安、噂や思い込みで心配していることって結構多い。その問題の本当のところが分かってしまえば一気に軽い気分になる。X氏と話していて、そんなことを感じた。
税金問題だけでなく、資金繰り対策みたいなテーマの記事も掲載する新聞を発行していると切実な経営者の話をよく耳にする。
情報の乏しさが切実さの元になっているケースもある。X氏が手がけるような仕事はビジネスとはいえ、“世のため人のため”的な要素が強い。大繁盛して欲しいものだ。
まあ本来は金融機関自身がキチンとこなすべき仕事だとは思うが・・。
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