2009年11月9日月曜日

首相と脱税


わが国の首相はどうやら税金面の感覚がかなりルーズ。嘆かわしい話。

昨年の株取引で生じた7千万円を超える所得を申告していなかったニュースには単純にあきれた。いくら資産家で、誰かに経理処理を一任していたとはいえ、そんな杜撰な話が許されていいはずがない。

すぐに修正申告するから済むという話なのだろうか。真面目に税金を申告している人にとっては自分達の苦労がバカにされているように感じるはずだ。

「鳩山首相とカネ」をめぐるダーティーな臭いは“故人献金”騒動でも明らかだ。政治資金団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金問題は今後どのように展開していくか微妙だが、妙にフニャフニャした感じで受け止められている。

臨時国会の大きな焦点だが、世論の注目はかつての経済事件ほど大きくない。普通、政治とカネをめぐるスキャンダルといえばもっとマスコミも騒ぐものだが、今回ばかりは様子が違う。

注目度が高くないのは首相自身がお金持ちであることが理由だ。すなわち、自分のカネを政治献金に回したもので、怪しいスジからの献金を隠したわけではないという構図だ。

ヤミ献金とか贈収賄の匂いがしないことからマスコミのトーンも盛り上がりに欠ける。この部分がフニャフニャの原因。世間的にも「しょせん微罪でしょ?」的な雰囲気が支配的だ。

そうはいっても税的な視点で想像すれば意味合いは大きく違ってくる。政治資金規正法うんぬんではなく、意図的な租税回避のための工作という見方が妥当だ。

偽装献金は鳩山家の贈与税、相続税の回避目的と解釈するのが普通だろう。政治資金団体を経由することで個人資産を無税で承継する問題は、安倍元首相の政権投げ出し時にも陰の退任理由として話題になった。

世襲議員問題の根源も突き詰めればこの一点にあると思う。個人資産を政治団体の資産に変身させることで、どんなに高額だろうと相続税の洗礼を受けずに親から子へ代々資産を残せるという図式だ。

大衆ウケを狙う巨大メディアにとっては、「わいろ」とか「疑獄」という見出しが必要なわけで、「政治資金と税金の関わり」という七面倒くさい観点から検証する動きはない。
図式を暴いて解説して見せたところで、一般大衆にとってピンとこない相続税というテーマが中心になるだけにインパクトが弱いと分析しているのだろう。

この仮説通りだとしたら、税の世界では相当悪質な行為だ。「申告もれ」どころではない「億単位の脱税」という刑事事件だ。

政権交代によるお祭りムードが収まってきたいま、捜査当局の今後の動きから目が離せない。

2 件のコメント:

  1. 7千万円超えの抜けを『ポカ』と言ってしまうところに大きなズレがありますよね~。

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  2. これが麻生さんだったら一体どれほど叩かれたか。。。
    マスコミの及び腰も問題ですね。

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