何が変かといえば、アレだけの大所帯になった巨大政権政党の内部から、自分の党の幹事長の不祥事を糾弾する声が上がらないこと。
もちろん、捜査段階であり「不祥事」だったのか否かの確定はできない。仮に小沢氏が主張する通りだとしても、あきらかに世間を騒がす疑いを招いたことは事実。少なくとも道義的な責任は免れない。
先週、前原国交大臣が「説明責任を果たすことが大切」と小沢氏の姿勢にコメントしたが、この「やんわり」ですら、一部メディアは「前原大臣、立つ」みたいな角度で取り上げたほど。
批判にすらなっていない当たり前の発言をしただけだ。それでも「あの小沢氏に意見した」みたいな空気になること自体が異常だろう。
その後、元秘書の現職代議士逮捕という事態になって「小沢おろし」が始まるかと思えば、そんな気配はさらさら無く、相変わらず民主党内部から実名での批判はほとんど聞かれない。
自民党が良かったとか、自民党に復権して欲しいという話ではないが、かつての自民党だったら身内の不祥事に対してもっと健全な対応がされていたように思う。
悪く言えば、足の引っ張り合いでしかないのだが、実力者の不祥事には別の実力者がしっかり糾弾するパターンはごく普通だったと思う。
実力者である田中角栄氏にしろ、中曽根氏にしろ、竹下氏にしろ、何か問題がおきれば、自民党内別派閥から確実にバッシングを受けていた。
山崎拓元副総裁の笑いなくしては聞いていられないようなエロエロスキャンダルですら、確か党内からずいぶんバッシングを受けていた。片や小沢幹事長の問題は、ヤミ献金の疑いもある洒落にならない内容なのに身内は皆さんシーンとしている。
ちょっと異常だろう。それじゃあ将軍様の国と同じになってしまう。
政治の世界に限らず、そこそこ人数のいる組織であれば内部からの批判なんて当たり前のことだろう。それが通用しない組織、すなわちおかしなことをおかしいと言えない組織は、普通の集団ではない。特定の教祖をあがめる教団だとか、そんなレベルだ。
民間の中小零細企業ならともかく、国を動かす政権政党という組織がそんな事態に陥っているのは気持ち悪いし、危険極まりない。
鳩山首相のウン十億円に上る母親からの「子供手当て問題」とそれに付随する脱税疑惑だって同じ。民主党内部から舌鋒鋭く違法性なりを指摘する声はちっとも聞こえてこない。
民主党の未熟さを象徴する状況だと思う。マトモなスタッフがいれば、それこそヤラセだったとしても党内からの厳しい声の発信を演出するはずだ。重鎮議員あたりに「首相や幹事長が辞任しないなら有志を集めて離党する」みたいな決死の辞任勧告みたいなパフォーマンスをさせて、それを受けた首相や幹事長が真摯に謝罪ポーズとその後の決意を語るみたいなシナリオだ。
そのぐらいの演出をすれば、自民党の追及は必然的に目立たなくなるし、民主党への注目度は今以上に高まる。
今のような内部から批判一つ出ない現状は民主党という組織が極めて不健全な組織だと認めているのと同じだろう。
先日紹介したリクルート事件を検証したルポを読んで間もないから、不謹慎な表現ながら検察とマスコミ、そして小沢氏側の駆け引きが興味深くて仕方ない。まさにギリギリの攻防だろう。
小沢一郎氏といえば、自らの離党をきっかけに自民党政権を終焉させ、細川連立政権を作って以来、新進党や新生党、自由党などを作っては壊し、「壊し屋」の異名を持つ。そんな小沢氏が悲願の政権交代達成後、その政権まで壊すことになりそうだから何とも皮肉だ。
恐ろしいことになってますねぇ。。。
返信削除これはつまり、自分で潔白さえ主張すれば国家権力と「どんどん戦ってよし!」と一国の首相がお墨付きを出したに等しい。
法治国家の体を成していないですよね。
こりゃ短命ですな。
いやはや昨今の政治状況というか、
返信削除中枢の人の無神経ぶり、厚顔ぶりは
ちょっと異常な気がします。
然るべきポジションの然るべき人物って
昔はもっと真っ当だった印象がありますよね。