2010年4月28日水曜日

不自由な場所

AGAという言葉をご存じだろうか。ソ連の秘密警察とか、どっかの国の諜報機関のような響きだ。正式にはAndrogenetic Alopeciaとかいうらしい。

端的に言ってハゲのことだ。ハゲという表現は活字商売の現場では、決して使えない言葉なので、ここで堂々と書けることが私にはチョット刺激的だ。

新聞の世界では、ハゲと書くのは禁止されている。日本新聞協会が定めた記事執筆ガイドラインでは、あくまで「毛髪が不自由な人」と書き直さないといけない(ウソです)。

さて、ハゲの話を持ち出した理由は私の毛髪が厳しくなっているからではない。わが社の新聞に注目すべき記事が載ったことが原因だ。

AGA、すなわち男性型脱毛症対策として医師に処方された薬を服用するケースが増えているようだが、この薬代が税務上の医療費控除の対象になるのか否かという角度で記事が編集されていた。

あまり記事を誉めない私だが、この記事の担当記者のことは誉めておいた。結構良く書けている。キチンと取材も出来ている。

もったいつけて、ここでは結論は明かさないが、ケースによっては医療費控除が受けられる道もあるのは確かなようだ。

税金の新聞などというと、専門家向けの専門情報ばかりを難しい漢字を並べて羅列しているイメージがある。

たいていの場合、それは事実なのだが、わが社の場合には、難しい課題をいかに柔らかく消化できるかに意識を割いている。

税金の話というと特別な世界の話みたいに認識する人もいるが、さきほどのハゲ薬の話だって、購入するにはお金がかかり、そのお金の処理として税金というテーマが絡んでくるわけで、誰にでも身近な問題でもある。

さてさて、“ハゲ薬と経費処理”がうまく記事としてまとまっていた以上、編集責任者という立場の私としては引き続き続編になりうる記事を取材掲載すべしと指示を出した。


続編として取り上げるネタは“アソコが元気になる薬と経費処理”だ。衝撃的なバイアグラの登場から10年あまり。いまや続々と新しい薬が登場している。

はたして、この費用は医療費控除の対象として認められるのか否か。どのような解答が国税庁から戻ってくるのかは9割方想像つくが、どんな記事が出来上がるか楽しみだ。

ちなみに私が指示を出した担当記者の目が何か言いたげだったのが気になる。

「ハゲにしろ、アッチにしろ、アンタの常備薬じゃないか」。

彼の目にはそんな言葉が浮かんでいた。

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