2010年12月29日水曜日

ダウンちゃん活躍

久しぶりにわが家のダウンちゃんの話を書く。

まもなく4歳なのだが、相変わらずしゃべれない。ただ、だいぶ意思の疎通がはかれるようになった。もっとも、彼特有の言語というか、つたない単語の発声を聞き分けられればそれなりに通じ合えるレベルだ。

誰にでも通じる言葉は「おわり」と「おいしい」と「パパ」と「バイバイ」ぐらいだ。

「ジュースちょうだい」は「うーす、っだい」だし、「おかえりなさい」は「うーりー」だし、「テレビ見る」は「びーぴる」だ。

それでもほんの少しづつ正確な発音に近づきつつあるから良しとしよう。

ダウン症の特徴としては、穏やかとかひょうきん、はたまた頑固とかが一般的に言われている。

わが家のチビはあまり穏やかなほうではないが、確かにひょうきんだし頑固だ。

問題は頑固な点だ。なかなか根性が座っている。私にたたかれようともイヤなことは徹底して拒否しようとする。

でもここが勝負?どころだ。健常児であろうとそうでなかろうと、年齢的には「しつけ」に本腰を入れないといけない時期だ。

最近は、両親それぞれが怒る場面が増えてきた。彼もそこそこ頭を使っているようで、分かっていないフリをするぐらいの知恵がついてきたから困りものだ。

「この子にはどうせ分かんない。仕方ないか」。障害児を持つ親としてついつい陥りがちなこうしたあきらめ感を逆手に取ろうとしっかり計算している。たいしたもんだ。

ガマン比べだ。

時に憂鬱になる。時に絶望する。時に無性にやりきれなくなる。正直そう思うのだが、最近ふっと気づいた。

「これって結構幸せかも」。

しつけに悩む、しつけに苦労するということ自体が喜ばしい。強がりでも綺麗ごとでもない。確かにそう思える時がある。

しつけに時間と手間がかかっても、根比べしているうちにチビが負け?を認めて、そのしつけを身に付けてくれる。出来なかったことが出来るようになる喜びは健常児である娘の時よりも大きい。

少し前までは、帰宅すると靴ごと部屋に上がっていたのに、ごく自然に自分で靴を脱ぎ、コートを脱ごうとするようになった。食事の時も皿を左手で押さえて中味がこぼれないように調整できるようになった。
意味もなく私に噛みついたり、私の顔をかきむしることもなくなった。

風呂の際も、脱衣所で頑張って服を脱ごうとするし、トイレの後に必死にパンツを履こうとしている姿なんか、ほんの1年前には想像できなかった。

思っていた以上にスローペースではあるが、少しずつでも進化しているわけだから有難いことだと思う。

世の中にはもっともっと重度の障害を背負いながら頑張っている人が大勢いるし、そもそも「しつけ」自体が叶わない状態の人だっている。

合併症も無く自由に身体が動かせるわが家のチビは、しつけをすればなんとか応えてくれる。これって間違いなく幸せなことだろう。

ついでに書いてしまうが、先日、わが家のチビのおかげで非常に嬉しい思いをした。正直、感激してちょっと泣いた。

冒頭でも書いたが、チビの得意言語の一つである「おわり」にまつわる話だ。彼の通う保育園の保護者から聞かされた。

保育園の仲間は大体が4歳児。みんないっぱしだ。派閥に分かれて争いごとも起きるらしい。口が達者になってきた年頃だから激しい口喧嘩に発展することもあるとか。

そんなとき、会話も出来ないわが家のチビがノコノコ入ってきて一生懸命「お~わ~り~!」と語りかけるんだという。

子ども達のケンカはいつも彼の「お~わ~り~!」で終息するそうだ。

そんな話を保育園の保母さんではなく、ほとんど付き合いのない親御さんから聞かされた。

今年一番嬉しい出来事だった。

健常児しかいない保育園に通わせるようになった時、さすがに「迷惑をかけるんだろうなあ」、「あいつが行ってもいいのかなあ」みたいな感覚がそれなりにあった。今もそういう感覚はある。

でも、この話を聞いた時、「あいつが行っても良かったんだな」、「あいつも社会の中で役に立ったんだな」という感傷的な気分になり、思わずウルウルしてしまった。

もともと「福笑い」みたいな顔をしたわが家のダウンちゃんだ。そんなあいつが平和を唱えている姿を想像したら感激する。

生まれてから、わずか数日後に医師からダウン症の宣告を受けた彼は、気の毒なことに頼みの親に落胆され、失望され、本来ならバンザイして喜ばれるはずなのに、おめおめと泣かれたりした。

そんなことを思い出すと“平和の使者”みたいに頑張っているあいつに対して申し訳ない気持ちになる。生まれてきてくれた時に大喜びして迎えてあげられなかった代わりに、せめて精一杯いろんなことを教えてやりたいし、体験させてやろうと改めて思う。

厳しくしつけてやろう。それが彼自身の将来に確実にプラスになるはずだ。

でも、なかなか厳しくなりきれない甘甘な父親だ。


※※今年の更新はこれで終わりです。皆様よいお年を!。来年は1月5日から再開予定です。

2 件のコメント:

  1. 感動、涙しました。

    富豪記者様の多岐にわたる豊富な話題、官能的であり、魅惑的であり、味覚的であり世の憧れるダンディズムをお持ちで・・・myベストブロガーはいくつ総理が変わってもずうっと富豪記者様です。

    ご多忙の中の更新、来年も楽しみにしております。
    よいお年を・・・・(●^o^●)

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  2. rinrinさま

    過分なるお褒めのお言葉、
    恐縮至極に存じます!

    励みにいたしとうございます。。。

    よいお年をお過ごしを過ごしください!

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