まもなく禁煙生活も2週間になる。正確に言えば、「禁・紙巻きタバコ」だ。葉巻はやめていないし、禁煙のために最近はやたらとカギタバコなるシロモノのお世話になっている。
カギタバコは、ニコチンをたっぷり包んだ紙状の小さな小袋を前歯の歯ぐきと上唇の間に挟んで、じわじわ溢れ出るタバコ味のニコチンを口から摂取する仕組みだ。
エラく身体に悪そうな感じがする。こんなものをいつまでもジュルジュルすすっていたら間違いなく、口腔ガンになりそうな気がする。
でも、食後なんかにパイポをくわえて、カギタバコをジュルジュルしていたら、タバコを我慢していることが苦ではなくなってきた。しばし続けてみよう。
先週末、中学高校の2個下の後輩が飲み会を企画してくれた。有難いことだ。いっぱしの中年になって、今更先輩風を吹かされるのもイヤだろうが、わざわざ声をかけてくれる後輩達は大したものだ。
相変わらず、忘れていたはずの少年時代の悪行の数々がフラッシュバックして、しばし困惑する。いったい、どんな高校生だったのだろう。タイムマシンがあったら、見に行きたいような、行きたくないようなそんな気分だ。
楽しい飲み会、それも6時間以上ダラダラ飲んでいたのだから、禁煙トライ中の身には尋常じゃない苦行だった。素知らぬ顔して過ごしていたが、あと1歩で煙草に手が伸びるところだった。
こういう会合でタバコに手を出さなかったことは大いに自信になる。翌日から出かけた家族との旅行でも何とか凌げた。
行先は、草津温泉。この夏は家族サービズらしきことをまったくと言っていいほどサボっていたので久々に頑張ってみた。
森林浴散策のコースを子どもの手を引いて歩いた。温泉街でアホみたいにまんじゅうの試食を繰り返す子どもにも付き合ったし、食べたくもないソフトクリームをニコニコ食べた。
食事も子ども様のペースに合わせて、ゆったりすることもなく短い時間で済ませたから、アルコールもチョこっとしか飲まなかった。
散策中、池に浮かぶ「モネの橋」なる場所を見つけた。睡蓮が浮かぶ小さい池にパリ郊外にあるモネの庭とソックリの太鼓橋がかかっていた。
7月に一人で出かけたパリ旅行で見てきた風景に似ていた。いや、パリ郊外・ジベルニーで見たホンモノのモネの庭よりも、空が高く、景色も良く、爽快な感じで気に入った。
今度は家族抜きで散策したいと思うところが私の悪いクセ?だ。いずれにしても秋の草津は快晴でも気温が15度程度で実に爽やか。露天風呂で悦楽な時間もあったので良しとしよう。
もともと、死んだ祖父が35年ほど前に別荘マンションを購入したのが、私の草津との出会いだ。毎年のように出かけている。マンション全体の管理も行き届いているし、地下にある源泉掛け流しの大浴場も改装を行って快適に保たれている。もっと使わないともったいない気がする。
今回は、連休の混雑を避けてレトロな「特急草津号」で出かけた。最寄りの駅でレンタカーを借りて、気ままに動けたので疲労感も少なくて済んだ。
日本中の温泉に出かけた上で、泉質はトップレベルだと断言できる草津の湯。こちらが年を取るに連れ、オッサンくさい温泉地に惹かれるようになってきたから、もっと健康のために?活用しようと思う。
話がそれた。禁煙がテーマだった。温泉旅行でくつろいだ場面でもタバコに手を出さなかった。これまた自信が深まった。よしよし。
今回は、別荘マンション以外に、マンションの系列ホテルのチープな貸し室を一つ押えておき、寝る時だけは私一人でそちらに移動した。部屋には大きな灰皿が鎮座していた。一人で個室、ましてや温泉上がりという状態でも、変なカギタバコで凌いだから、いよいよ禁煙達成にメドがついてきた感じだ。
もともとワガママな性格だから、何かを我慢させられること自体が嫌いだ。レストランなんかで2時間ぐらいタバコを吸わないでいることは大した問題ではないが、「強制的に禁止されている」という事実が私をイライラさせる。
不便でしょうがない。飛行機も電車もそう。「禁煙にご協力をお願いします」という言い回しも気に入らない。「禁煙です」と言われれば、「はいそうですか」と従うが、協力をお願いされたら話は別だ。
協力をお願いされると言うことは、最終決定権はこちらにあると解釈するのが日本語の読解力として妥当だろう。だから「協力しません」と言ってもよい理屈になる。
こういう屁理屈をダラダラ書くこと自体が、加齢だ。そんなことより、そういう次元の話でイライラする時間がもったいない。
こっちだって、もう残り少ない人生なんだから、タバコが吸える吸えないでガタガタ悶々としているのが残念ではある。ここ1,2ヶ月辛抱して、そういう鬱陶しいジャンルの外に脱出したいと考えているわけだ。
そうはいいながら、1箱1千円とかフザケタ増税政策を国家が押し通すようなら、私は敢然とタバコの世界に舞い戻ろうと思う。
「値上げされたからタバコを吸い始める」。富豪を自称する以上、それが最もカッチョいい話だと思う。
筒井康隆の名作短編「最後の喫煙者」を改めて読み返そうと思う秋の夜長だ。
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