東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2011年11月7日月曜日
部活
部活と称して銀座の酒場巡りをしていると、何かと勉強になることが多い。授業料が高すぎるのが痛いが、「男の学校」という昔からの言い方は、あながち遊びの言い訳だけだとも思えない。
私だって、部活の最中は、馴染みの女性の麗しき御尊顔や妖艶な胸元を眺めているだけではない。
よその席のお客さんの様子を観察したり、この街で繰り広げられるエピソードを「取材」したり、真面目に文化活動?に取り組んでいる。
ほんの目と鼻の先の新橋ガード下での酒と銀座のクラブの酒。同じ酒場でも大きく異なるのが、酔客の心理状態だろう。
本音の酒がガード下なら、本能の酒が銀座かもしれない。銀座紳士のスタイルも様々だが、多くが、あの街で見栄をはりたい、あの街で背伸びしたい、意中の女性を手籠めにしたいなど、どこか邪念にも似た空気が付きものだ。
ただ酔えればいいというパターンは少ないのだろう。おかしな世界だ。でもそれが逆に人間くさい感じがして面白い。
見栄、背伸び、支配欲。男なら本能的に無縁ではない。突き詰めれば格好付けていたい心理と言おうか。
格好付けることは時にみっともないし、見方によってはアホみたいだが、男のエネルギーなんて、しょせんそこから生まれる。
モテたいとか、偉くなりたいとか、格好付けたい心理がなければ、向上心は生まれない。本心からそういう邪念がない人は天然記念物みたいなものだろう。神に仕えるはずの宗教家だって、宗派の中で高い位に就こうと権謀術数をつくすわけだから、誰だって煩悩や欲のために格好付けたい。
昔、ある女性から「なんでそんなにカッコつけてるのか?」と聞かれたことがある。「男だからだ」と答えた。他に理由などない。
マグロが泳ぎ続けていないと死んでしまうように、男が男を続けている以上、格好付けたい気持ちをないがしろにしてはいけないと思う。
ということで、銀座で格好付けて飲んでいる御仁達の話。
格好付ける意気込みは誰しも同じなのだが、変にズレちゃう御仁が多い。
「自慢たらたら氏」はいつの世も酒場には付きものだ。自慢することが格好いいと思ってるみたいで、こういう類が結構多い。
誰それとは友達だ、だれかれの面倒はオレが見てるんだ等々、実に賑やか。そんなオッサンに限って、決して誰それを伴って飲みに来ることはない。
だいたい、あの街の女性たちはお世辞のプロだし、酔客を大袈裟に誉めるから、「自慢たらたら氏」は機嫌良くなってしまう。
自慢話を聞かされた相手がその人を尊敬したり、ましてや恋に落ちたりすることは無いはずだが、そういう人は一晩中自慢話を繰り出している。ご苦労なことではある。
「札びらタンマリ氏」も困りものだ。すぐにカネで女性陣を釣ろうとする。白金にマンション買うぞ、カイエンターボ買ってやるぞ等々。話が即物的で浪漫のカケラもない。
私もうなるほど金持ちだったら、そんな行動に走るのだろうか。なんか心が通じ合っていない気がして寂しい感じがするのは、私がウブだからだろうか。きっとそうだ。
超絶的金持ちにならないと理解できない心理なのだろうか。まあ、間違いなくお金だけでつながる関係だから、胸が焦げるような想いなんかは無縁なんだろう。そんなのちっとも楽しそうではない。
「オレのいいなりになれば、キミの人生は明日から変わるよ」。こんなことを「札びらタンマリ氏」はあちこちで囁いているらしい。ご苦労なことではある。
威張るヤツも端で見ていて不快だ。どうして客だからという理由だけであそこまで横柄になれるのか不思議だ。あれはあれで「人より高いポジションにいる自分」というポジションに酔っている一種の格好付け心理なんだろう。
くどき作戦に失敗した女性相手に、ころっと態度を変えて全然関係ない理由で怒り始めるオッサンもいる。
本人は「怒っている自分」を演じることで、くどけなかったうっぷんを晴らしているのだろうが、実にカッチョ悪い。
反抗できない立場の相手に威張るヤツほど情けないものはない。逆に言えば、この逆を徹底するだけで、途端にいっぱしの紳士だと思ってもらえるわけだ。
要するに酒場観察によって見えてくるダメダメ親父のパターンを反面教師にすれば、簡単に立派な紳士像が浮かんでくる。
触りまくるヤツ、ダラダラ飲み終わらないヤツ。こういうのもカッチョ悪い典型だ。
裏返せば、好色路線を前面に出さず、サッと引き上げることが出来れば、一応「スマートな人」ということだ。
自慢しない、威張らない、金持ちぶらない、怒らない、エロエロしない、長居はしない。
目指すべきはそういう路線なんだろう。実際にこういうスマートなお客さんは大勢いる。ダメパターンの客が引き立て役になって、そんな紳士達はどこに行っても上客として大事にされる。
ウブな私の場合はどうだろうか。
自慢するような話がないから、自慢オヤジにはならない。ちっとも儲からないからイヤミな金満オヤジでもない。小心者だから怒ることも知らない。臆病だからお触りも出来ない。すぐ眠くなるので長居も出来ない。
理由はともかく、モテる客の条件を満たしているではないか!
これは一大事だ。調子に乗って今まで以上に部活に精を出してしまうのだろうか・・・。
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