根っから肉好きだったのだが、最近は、寿司とかおでんとか、身体に優しい?食事が多い。肉を食べることで生まれるパワーは侮れないからもっと頑張らないといけない。
食べ盛りの頃はマクドナルドでビッグマックを筆頭に9個のハンバーガーを食べたこともあったし、モスバーガーのテリヤキバーガーが登場した頃は、おやつに3個ぐらい食べるのが普通だった。
ステーキも平気で1キロ平らげたし、自分の胃袋は四次元の世界のつながっているからどれだけ食べても大丈夫だと思っていた。
大学生の頃は深夜に寝付けないと焼肉屋に行って、カルビ3人前ライス大盛りなんて注文を普通にしていた。おまけに食後はさっさと寝ていた。
そんな暴食をしても胃が痛くなったり、胸焼けだの膨満感だのネガティブな生体反応はまったく無かった。
考えてみれば、よくぞ今ぐらいのデブで済んでいるものだと思う。
最近は、牛肉がすっかり友達ではなくなった。食ってすぐ寝ると牛になると言い聞かされてきたから、きっと牛になってしまったのだろう。だから牛肉を避けるようになったのかもしれない。
子どもの頃、他には何もいらないと思った牛肉を敬遠するようになった自分が哀しい。一生分食べてしまったのだろうか。
20代後半ぐらいまでは、しゃぶしゃぶやすき焼きの専門店にせっせと通ったが、ここ何年も、焼鳥やトンカツが私にとっての肉の代名詞になってしまった。
以前、仕事の関係で「銀座うかい亭」に連れて行かれた。上等な肉だったが2~3切れで満足して、隣の人に肉を分けちゃったりした。
有名焼肉店に招待されても、カクテキやチャンジャ、せいぜいユッケをもらって焼酎をあおる程度で満足してしまう。
時たま出かける新大久保あたりのディープなコリアタウンでも、決まって行きたくなる店は豚カルビ専門店だ。
温泉旅館の料理でも後半に仰々しく牛肉が出てくることがあるが、ヘタすると手を付けずに、前菜に出てきた珍味を後生大事に舐め舐めしたりする。
こう書き綴っていくと、かなり情けない。日本人の叡智でもある和牛という至高の逸品をもっと嗜まないといかんだろう。私の祖父などは80歳を過ぎて亡くなる直前までステーキを食べていた。
そはいっても、牛肉摂取量が減っていくのに比例して私の性格は穏やかになってきた。昔はいつもカッカしていた。すぐに腹を立てていた。今ではホトケ様なみに穏やかで柔和な笑みを絶やさず、蚊だって殺さないぐらい優しい人間になった。たぶん。
もし、これが牛肉摂取量と少なからず関係があるなら有難い。でも、きっと関係ないんだろうなあ。牛肉のせいでアグレッシブになるわけないし、日本人が肉を食べなかった時代でも信長みたいなパワフル野郎はいたわけだし、はたして因果関係はあるのだろうか。
などと四の五の言いながら、最近、久しぶりに牛肉をワシワシ食べる機会があった。
とにかくステーキっぽいものを食べようと決めたある日のこと。赤坂の「ロウリーズ」、霞ヶ関の「ルース・クリス」いずれも先約で席が取れないと言われてしまった。
普段、肉食獣みたいな暮らしをしているわけではないので、店選びに悩む。ふと思いついたのが、ホテルニューオータニの地下にある「リブルーム」だ。ホテル開業時からやっている結構な老舗だ。
イマドキ系の店を敬遠したくなる私にとって悪くない選択だ。高級過ぎずカジュアル過ぎず、席と席の間隔が広いのがよい。せせこましい空間で食事をするのが苦手だから、この店の適度な空間は有難い。
膨満感、胸焼けを予防するために前菜は我慢してサラダバーからアボガドとカッテージチーズばかり取ってきて、くどいドレッシングを加えてワインのつまみにする。
さて、肝心のメニュー選びだ。ステーキメニューがいろいろあるのに、ピラフ好きの「ピラファー」である私は「ビーフピラフ」に釘付けだ。肝心の肉のほうは、なんたらステーキという名前の事実上のハンバーグを注文した。
相方はまっとうなステーキを注文した。ボルケーノ、すなわち火山という大げさな名前のボッテリした肉がジュージュー音を立てながらやってきた。冒頭の画像だ。
赤身部分の肉だったからクドくなくて悪くなかった。ハンバーグ的な一品はまあまあだった。
「ピラファー」である私としてはビーフピラフに期待したのだが、正直今ひとつ。乗っかっていた肉も中途半端な質感だし、ピラフもボリュームだけがウリの炒めご飯だった。
やはり、こういう店では、上質かつ王道的なやや値のはるステーキを注文して、優雅に赤ワインなんぞを舌先で転がしながら楽しんだほうがいいだろう。
ピラフならピラフ、ハンバーグならハンバーグがウリの店を選ぶのが正しい。次回は、王道ステーキにチャレンジしよう。
それにしても世の中で「ステーキ」が最高の食べ物だと思っていた時代が懐かしい。心に邪念ばかり溢れる大人になるにつれ、ああだこうだ言いながら変なものを食べたがるようになった。私の人間性はごくごく単純で純粋なのに実に不思議だ。
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