2012年11月14日水曜日

週刊誌とエロ

「マスゴミ」なる不名誉な呼び方まで浸透してしまった現在のメディア事情。インターネットの普及で想像以上に地殻変動が起きていることは確かだ。

権威ばかりに固執した日本の大新聞の惨状は相当なモノで、日刊紙の広告、とくに夕刊などでは、アッと驚くタメゴローみたいなダンピング合戦が常識になっている。

新聞が格上で、雑誌は格下。こんな既成概念はもはや風前の灯火だ。雑誌メディアの頑張りに比べれば、記者クラブ絶対主義が罷り通る官製発表記事が中心の大新聞は凋落の一途だろう。

雑誌ジャーナリズムは時に眉をひそめたくなるような暴走もあるが、社会の真相に近いところに位置している。「雑誌ごときが・・・」などという意識の権力者では確実に足をすくわれる。そのぐらいの力量と影響力を持っている。

雑誌といえども、新聞社系はダメダメだ。先日、橋下大阪市長の出自をめぐって赤っ恥をかいた週刊朝日の例を持ち出すまでもなく、そもそもの存在意義が不明だ。

などと妙に堅い話を書いてしまったが、今日書きたかったのはそんな話ではない。

前にもチラッと紹介したが、週刊文春に連載されている「高尚」なエッセイに感銘を受けたことを書きたかったわけだ。

エッセイの筆者は「みうらじゅん」だ。イラストライター、エッセイストというか、ビミョーな問題をビミョーに切り裂く異色のオジサンである。

寅さんマニアらしいので、その点では凄く親近感を感じているのだが、この人のエッセイは生真面目な私が口にするのも恥ずかしいタイトルである。

「人生エロエロ」である。自ら「人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた」と語る御仁だけに、その洞察力にはいつも敬服する。

最近発売号では、敬語の大事さ、タメ口の不愉快さについて書かれていたので、エロ話を読みたかった私としてはサラッと読み流そうと思った。

ところがである。さすが人生の大半をエロに捧げた人だ。エッセイの後半ではしっかり「高尚」なエロ洞察が展開されていた。

一昔前に話題になった映画「愛の流刑地」を引き合いに、エロの神髄は「ベッド敬語」にありと喝破している。

さすがにエロ達人は着眼点が違う。寺島しのぶのベッドシーンうんぬんではなく、セリフ回しの敬語乱発に「勃ててくるな~」と感心したそうだ。

「私をメチャクチャにしてください」に始まり、行為中にも「お任せします」、「く・・・ださい」、「先生に抱かれて生きていきます」。そしてフィニッシュ時の「ありがとうございます」へと続く。

セクシャルな場面での敬語は確かに特別な響きがある。私自身、考えてみれば、そんなシチュエーションプレイが結構好きなような気がする。

いかんいかん、話が脱線しそうだ。

それにしてもエロ話を表現する際に「ベッド敬語」という造語を生み出す「みうらじゅん」の奇才ぶりに心底感心した。

このエッセイの最後のわずか数行に奇才の奇才たる表現が凝縮されている。原文を転載してみる。



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欧米の「カム!」や「オー!ディープ」といったタメ口を真似ることなかれ。そしてセックスレスの最大の原因は敬語レスと知れ。

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う~ん。素晴らしい分析だ。この短い文字数で多くの男が深層心理で思っていることを完璧に言い表している。

イマドキの若者達が草食系と呼ばれるのも女性が強くなったというありきたりの分析ではなく、「ベッド敬語」の消滅にこそ原因があると捉えたほうが分りやすいかもしれない。

セックスレスの原因が敬語レスだったとは…。

実に深い話である。

私も「ベッド敬語推進運動」に微力ながら励もうと決意した。

4 件のコメント:

  1. 「いけません・・・そんなことをしては・・・」は、エロ敬語ですか?

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  2. 県民様

    充分に「ベッド敬語」でしょう!

    ですます調なら全部萌え~って感じです。

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  3. 「早くちょうだい!」じゃなくて、「早く下さい!」と言って貰うようにすればいいのでしょうか!?(笑

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  4. むつみさま


    ちょっとした言い回しですが、男にとっては物凄く違うニュアンスになるのです。。。

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