東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2014年4月30日水曜日
「邦題」。摩訶不思議な世界
映画「アナと雪の女王」が大ヒットしている。観たわけではないが、松たか子のカッチョいい歌声をアチコチで耳にする。
映画の原題は『Frozen』だ。随分とイメージの違う邦題を付けたものである。悪くないセンスだと思う。
『フローズン』のままだったら、『アイスエイジ』の二番煎じみたいで面白くないし、何もイメージできない。タイトルの秀逸さが大ヒットに少なからず影響しているはずだ。
「邦題」って実に奥の深い世界だと思う。英語圏とはまるで違う言語を使っているわけだから、原題のニュアンスなんて分かるはずがない。
その昔、トム・ハンクスが主演した大ヒット映画『プライベート・ライアン』は、原題のまま日本で公開されたが、あの場合の「プライベート」は、「二等兵」の意味だ。
私自身、随分経ってからそんな事実を知った。「私的な」という意味だと思っていたから、チンプンカンプンだった覚えがある。でも、『ライアン二等兵』という邦題だと、社会派作品としてのイメージが確立できなかったのかもしれない。
映画史上、邦題の傑作と言えば、『慕情』だろう。ウィリアムホールデン主演の香港を舞台にした切ないラブストーリーである。私も小学生の頃から何度も観た。名作中の名作だ。今も誰かに恋心を抱いたら、必ず『慕情』のテーマ音楽が頭の中で鳴り響いたりする。
原題は『Love is a many splendored thing』である。「愛とはたくさんの輝きに満ちたもの」といったニュアンスのようだ。当時の映画配給会社も悩んだのだろう。邦題次第で興行成績も大きく変わる。『慕情』という言葉自体、分かったようで分かんない言葉だが、アノ映画は、どっからどう転んでも『慕情』じゃなきゃダメだ。
命名した人のセンスに脱帽である。完璧だと思う。
60年代の名作『俺たちに明日はない』というネーミングも実に素晴らしいセンスだ。似たような言葉の言い回しは、数十年経った今もドラマや映画で使われている。原題は『Bonnie and Clyde』。実在した強盗達の名前である。確かにこの原題通りだったら、日本人にはちっともピンと来ない。わずかな文字数で映画の世界観を引き出していると思う。
映画の邦題を上げていてもキリがないが、個人的には30年前の『カリブの熱い夜』が印象深い。
私が何度も出かけたメキシコ・コスメル島が舞台だから思い入れが強い。タイトルからすると恋愛映画みたいだが、実はドンパチ映画だった。原題は『Against All Odds』。
ネットで言葉の意味を調べてみたが、「抵抗にもかかわらず」とか「見込みがない」とかそんなニュアンスの意味みたいだ。ちなみにGoogleの翻訳サイトの素晴らしさ?にはビビった。「Against All Odds」を「カリブの熱い夜」と一発で訳した。どんだけ飛躍してるんだろう・・・。
この映画はロケ地の美しさとフィル・コリンズが歌って大ヒットさせた同名の主題歌が良かった。
https://www.youtube.com/watch?v=wuvtoyVi7vY
主題歌の邦題は『見つめてほしい』である。『Against All Odds』という原題とは逆立ちしたって似ていない日本語である。映画の邦題と主題曲の日本語タイトル。二つもカッチョいいタイトルが生まれたのだから画期的である。
さてさて、映画よりもスンゴいことになっていたのが洋楽である。今でこそ、原題そのままで流通しているが、若者達が洋楽ばかり聴いていた80年代から90年代にかけては、それはそれはヘンテコな邦題が溢れていた。
マイケルジャクソンの『BEAT IT』もなぜだか『今夜はBEAT IT』だったし、やたらと安易に『恋の~』とか『涙の~』とか余計な前置詞が付くことぐらいは朝飯前って感じだった。
スティービー・ワンダーの名曲『心の愛』。よく分からないタイトルだが、なんとなく曲調もしっとりしていて、優しい感じだから一応シックリくる。ただし、原題は『I just call to say I love you』である。直訳すれば「好きだって言いたいから電話したぜ~」である。
シンディ-・ローパーの大ヒット曲『Girls Just Want To Have Fun』。どこでどうスッころんだのか、日本でのタイトルは『ハイスクールはダンステリア』だ。英語の原題が長ったらしいからって、随分と思い切ったものである。やけっぱちみたいなネーミングだ。
ビリージョエルの『Tell Her About It』は『あの娘にアタック』である。なんだかな~である。
もっと凄いのは、Lover boyというバンドがヒットさせた『Working for a weekend』である。誰もが週末を楽しみに働いてるんだぜ~という趣旨の軽快なロックなのだが、日本語タイトルは『それ行け!ウィークエンド』である。
「それ行け!」である。本気で考えた上でのネーミングなのだろうか。実に安直な感じがする。
なんだかんだ言って、一番ヒドいのがトム・ジョーンズの「恋はメキ・メキ」だろう。
『If I Only Knew』が原題だが、歌詞の中に出てくる♪~make you love me~♪
という音の響きだけを捉えて、トンチンカンな日本語タイトルに変身した。
一生懸命歌うトム・ジョーンズの姿も、この日本語タイトルを思いながら見ると、なんとなく切なくなってくる。
https://www.youtube.com/watch?v=EaUmOo4dljc
なんだか、この手の話題を書き続けると、際限なく続きそうなのでこの辺にしておく。
0 件のコメント:
コメントを投稿