2014年4月28日月曜日

ひとり酒


♪ひと~り酒、手酌酒、演歌を聴き~ながら~♪

「酒よ」BY吉幾三である。

一人で飲む時間が結構好きだ。といっても、この歌のようにドンヨリ暗い雰囲気で飲んでいるわけではない。

ウキウキとまではいかないが、気ままに楽しく酔っ払っている。

シラフだった自分が少しづつ酔っ払う感じがいい。誰かと一緒だと酔っていく過程に気付かない。ひとり酒だと段々と視界が狭くなってフワフワしていく感覚を実感できる。

酒様々!と思う瞬間である。

高いユンケルを飲もうが、エゾエースとか赤まむしドリンクを飲んでも、酒のように自分が変化する実感はない。


酒を飲んで酔っ払う感覚に気付いた古代人を尊敬する。世界中で大昔からいろんな酒が開発されてきたわけだから、飲酒自体が人間の業みたいなものだろう。

日本でも昔は、酒イコール神事だったらしい。処女の巫女さんが口の中で長い時間噛み続けた米をツバと一緒にツボに吐き出し、発酵させて酒を醸したという。

結構気持ち悪い話ではある。

酔っ払うこと自体が一種のトランス状態だから、酔うこと自体が神がかり的な意味合いで受け止められていたのだろう。

今の時代、口噛みの酒などというゲテモノを飲まずとも、ウマいアルコール飲料はテンコ盛りだ。考えてみれば何て素敵なことなんだろう。

先人への感謝、神への感謝を込めて日々飲み続けないといけない!

話がそれた。

一人酒の話だった。

一人で飲む場合、料理屋さんだろうとバーだろうと、カウンターに陣取るケースが多い。

目の前の板前さんと話をしたり、お運びのオネエサンをからかったりするだけでなく、近隣の客の会話に聞き耳を立てることもある。

他人様の話を盗み聴きするのは趣味の良い話ではないが、カウンターでホゲホゲ飲んでいれば、いやでも隣のオヤジの話が耳に飛び込んでくる。

思えば、このブログだって、そんな聞き耳のおかげでネタにつながったこともある。

以前、とある居酒屋でホモ同士と思われる男二人が歌舞伎装束の香川照之の画像をスマホで見ながらやたらと萌えまくっていたのには笑えた。

小学校の時、学芸会で同じ舞台に上がったことを自慢?したかったのだが、ソッチの趣味はないので、ダンボ耳状態で彼らのディープな話を聞かせてもらった。

ワイ談に精を出すオッサン達にもいろいろな種類がある。実際に第三者として聞いていると、単なる下品話とセンスの良い色気話とでは随分差がある。

誰それとヤッただの、ヤリたいだの、そんなゲスな話をしているオッサンはたいてい顔付きもチンチクリンである。

まあ、私も人のことは言えない。悪友なんかと飲む時には、きっとチンチクリンな顔でくだらないワイ談に精を出しているはずだ。

先日、某所で聞き耳を立てたワイ談は悪くなかった。文字にするとロクでもないのだが、貝類を女性に見立てる例の話?だった。

貝の種類に詳しい中年男の解説が具体的かつ文学的で何とも情緒があった。今の季節ならではの生のトリ貝のような旬な?話も盛り込まれる。アワビに至っては肝の形状とかそっちでの役割?に至るまで、まさに微に入り細に入りって感じだった。

勉強になった。フムフムと聞き入ってしまった。

最後のオチも良かった。

アサリやハマグリ、シジミあたりを料理する際には、熱を通すことで貝はパックリと口を開く。

人間の女性も同じ。気持ちが高まって熱くなれば準備OK!みたいなまとめ方だった。

あれ以来、シジミの味噌汁を飲むたびに、パカッと口を開けた貝を眺めて、乱交みたいな情景を思い浮かべて怪しい気持ちになる。私もかなりアホである。

一人酒の話を書いていたつもりが脱線してしまった。

一人で飲んでいると自分の飲んだ量がはっきり分かるから安心である。仕事飲みのお酌合戦とか、ホステスさんにガンガン水割りを作り直されると気付かぬうちに飲み過ぎる。

そんなことより、イヤでも自分と向き合う時間が持てることが一人酒の醍醐味だろう。

私もいっぱしのオトナだから、「自分探し」などというチンケな趣味はない。あくまで日常のヨモヤマ事を自分なりに頭の中で整理できる効用が大きいと思う。

日々、雑多なことに追われていると、おろそかになるのが「考えること」である。周りを見ても「考えない人」が妙に多いように思えてならない。

少しエラそうな言い方になるが、自分の頭で考えずに、ただ惰性で行動している人があまりに多い。

ちょっと考えれば分かることでも、すぐに誰かに頼ったり、指示を仰ぐことが習い性になっている。

あれじゃあ、まるで脳ミソが動いていないのと同じだ。若者ならともかく、30代、40代にもそんな傾向は広がっているように感じる。

極論だが、そういう人ほど一人でシンミリ飲んでみればいい。きっと様々なことに気付いたり、知恵が浮かんだりするはずだ。

でも、そういう人々は、きっと、そんな場面でもスマホの画面に夢中になったままなんだろうなあ。

「沈思黙考」って凄く楽しいのに、実にもったいないと思う。

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