東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2014年6月16日月曜日
新子と蕎麦
初物食いは江戸っ子の特徴である。初鰹、新蕎麦、新茶などなど人より早く旬のものを食べたい感覚は、残念ながら?私にもある。
そもそも江戸っ子の「見栄坊」としての要素が初物食いの起源だ。普通に考えれば、出始めより盛りの頃のほうがウマい。にもかかわらず慌てて初物を追っかける心理は不思議である。
私自身、祖父の代まで浅草人だった家に生まれ育ったから、無意識のうちに江戸っ子気質があるようだ。
さすがに「ヒ」と「シ」の発音に困るほどではないが、身近な親戚のなかには「日比谷」と「渋谷」を混同するような江戸人?が結構いた。
このブログでも時々「小っ恥ずかしい」といった江戸弁的表現を使う。普段から使っている言葉だから、他人から指摘されるまで東京方言だとは思っていなかった。
「遅せえな~、甘めえ考えだな」。こんな言い回しも東京人特有らしい。知らなかった。
「おいおい、そんなとこ、おっぴろげやがって、おったまげるじゃねえか、ちぇ、やりたくなっちゃうじゃん」。
こんな官能的?な表現もすべて東京特有の言い回しということになる。
東京人は自分達が普通に使っている言葉が標準語だと思い込んでいるが、案外そうでもないみたいだ。どうせなら、消えつつある江戸弁をちゃんと覚えてみても面白いかもしれない。
老後の趣味候補にしようと思う。
さてさて話が逸れた。初物食いの話だった。
冒頭の画像だが、今年は6月10日にシンコを食べた。例年よりかなり早い。お寿司屋さんのネタケースにはホタルイカが鎮座していたから、シンコの登場は相当早い。
江戸っ子の言い伝えでは、初物食いは寿命が75日延びるらしい。妙に早く登場したシンコを、この日は3貫も食べたから、きっと半年ぐらい寿命が延びたと信じている。
江戸っ子ネタついでに次は蕎麦の話。
とある日、旧友の会社を訪ねた際に、職場の近くの蕎麦屋に連れていってもらった。
そもそも私は昼飯を食べる機会は少ない。体重問題もあるが、朝飯をしっかり食べるので、昼にはさほど空腹にはならない。それより何より夜の酒を美味しく飲むためには昼メシをドカンと食ってはダメである。
というわけで、蕎麦は昼時のベストな選択である。旧友が勧めてくれたのは神谷町にある「巴町砂場」。街場の普通の蕎麦屋よりちょっと高級路線。
こういう立ち位置の蕎麦屋は中高年のオッサン二人がゆったり昼時を過ごすには最適である。
旧友は前職の社長業で実績を上げて、新たな会社に社長として引っ張られた男だ。私も自称富豪?である。たまのランチミーティングだからアセアセした食堂には行きたくない。
ちょっと高級路線だから昼時でも意外に静かだ。もう少し大衆的な路線の店だったら近隣のサラリーマンで鬼混みになっているはずだ。
とろろ蕎麦が1500円オーバーである。少しビビッたが食べてみて納得。絶品だった。店の看板に「趣味のとろ蕎麦」と書いてある通り、ここでは「とろ蕎麦」と呼ぶ。
「趣味の」という部分が意味不明だが、何となくニュアンスは分かる。遊び心というか、どことなく余裕がある感じ。
味付け済みのとろろは量も多く、下の方に卵黄もあったようで、これだけで抜群のおかずや酒肴になりそうな雰囲気である。
蕎麦自体はさほど特徴はないが、この「趣味とろ」と一緒に味わうとバンザイしたくなる味だった。
おまけに、蕎麦が終わりそうになる頃を見計らって「ご飯登場」である。絶品のとろろをかけて食えというイキなはからいである。
悶絶した。
寿司屋で初物に喜び、蕎麦屋で悶絶。東京人の初夏の過ごし方としてはバッチリである。
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