東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2014年8月8日金曜日
蝉しぐれ
今年の夏は不思議と若い頃を思い出す。原因は不明だ。暑すぎて頭が変になっているのだろうか。
若い頃といっても、10代後半ぐらいの青春真っ盛りの青い時間ばかりフラッシュバックするように甦る。
もっと不思議なのは、思い返している瞬間は決まって、少女バンドの元祖であるZONEの「secret base~君がくれたもの~」という歌が脳裏をよぎっている。
https://www.youtube.com/watch?v=mRgcXn9P_OY
この歌、2001年の発売だそうだ。正直、その当時は聴いた記憶がない。その後、懐メロ的に耳にしていたぐらいだ。思い入れも思い出もないし、それこそサビしか知らない。それにしてもこの曲、ケツメイシの「さくら」とソックリで驚く。まあ、そんなことはどうでもいいか。
何の脈略もないのに10代の終わりに伊豆高原のペンションに泊まって、可愛いらしい女の子と宇佐美あたりの海水浴場で遊んでいた瞬間がこの曲と共に甦る。
実際には、バービーボーイズの「目を閉じておいでよ」というエロい歌を口ずさみながら海水浴場で欲情していただけだから、まさに青春の美化である。
いやあ、過ぎ去った日々は美化するに限る。10代の後半なんて既に30年も前の話である。殺人の時効だって15年である(延長されたんだっけ?)。30年といえばとことん美化してもOKだろう。創作したっていいぐらいだ。
青春時代を思い出したくなるのは不思議と夏だけである。どういう心理状態がそうさせるのだろう。
これを書いている今も、高校1年の頃、停学処分とセットで坊主頭にされたことが恥ずかしくて夏休みに家で引きこもっていた日々がふと脳裏に浮かんだ。不思議とBGMはこれまたZONEである。意味不明である。
高校二年の頃、悪友と式根島に出かけ、ナンパもままならずに男同士でハシャいでいた場面も甦った。そういえばアイツはもうこの世にいない。凄く切ない。ここでもBGMはZONEである。不思議である。
さて、夏の思い出がふと脳裏をよぎる理由だが、私の場合はセミの鳴き声が引きがねになっているように思う。
蝉しぐれに身を置くと無性に昔の日々が頭の中に浮かんでくる。ここ5年ぐらい特にその傾向が顕著だ。
街を歩いていても、先を急いでいても、蝉しぐれが聞こえると、ふとすべての行動が止まってしまうほどその音色に集中してしまう。
セミの鳴き声って物凄く郷愁を誘う。ミンミン鳴こうが、ツクツクだろうが、カナカナ鳴かれようが、私にとってはすべてが郷愁の対象だ。
生まれた時から東京暮らしだが、実家の庭が比較的大きかったせいで、夏といえばセミの大合唱だった。かき氷とセミの声。条件反射で子供の頃のいろんな思い出が甦る。
セミを捕まえて、爆竹を使ってここで書けないような悪さをしていたくせに、ウン十年も経つとそういうことは横に置いて美しい思い出だけが残る。
人混みを気にせず海水浴に行ったり、自然溢れる環境で夏休みを過ごしていた10代の頃までは、夏といえば常にセミの鳴き声がセットだった。
ミンミンゼミは真っ昼間の強烈な日射しを一層暑く感じさせたし、寂しそうに響くヒグラシの「カナカナ~」という声は1日の終わりを告げる合図だった。
でも、考えてみれば蝉しぐれって、セミにしてみれば生殖のための必死の叫びである。
長い年月を土の中で過ごし、子孫を残すためには地上に出たわずか1週間程度の間に相手を見つけないとならない。
すなわち、「誰かやらせてくれ~」、「頼む、させてくれ~」、「オイラと一発決めないか~」等々、要はその一念だけを鳴き声にして発しているわけだ。
私が勝手に情緒を感じているだけで、ヤツらは「やらせろ!やらせろ!」と連呼しているだけである。
ここ数年、妙に強く蝉しぐれに惹かれている私は、ヤツらに共感しているのだろうか。ヤツらの境遇に自分に似た何かを感じ取っているのだろうか。
そうだとしたら切なすぎる。
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