東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2014年10月8日水曜日
煉瓦亭の喜び
広島に行って味噌仕立ての牡蠣鍋が食べたいとか、帯広に行って豚丼が食べたいとか、北陸でズワイが食べたいとか、沖縄でソーキの煮付けで泡盛が飲みたいとか、暇な時はそんなことばかり考えている。
空想しているだけで太る。ウソではない。困ったものである。
グルメだ食通だなどと気取るつもりはないし、実際にそんな高尚?な知識もない。旅先は別だが、わざわざ食べ物のために遠出もしない。言ってみれば食い意地が張っているだけだ。
外食は太るから、時々まっすぐ帰宅して一人用おでんパックとかで凌ぐ日もある。ウマくないのだが、やけに低カロリーだから調整にはもってこいである。
ガッツリ食いとチョコッと食いを交互に暮らしていければいいのだが、ついついガッツリの誘惑に負ける。
先日、京橋で用があり、近くで夕飯を食べることになった。銀座方面も7丁目、8丁目ばかりしか行かないから、京橋側のエリアの店はなかなか思いつかない。
しばし考えて、バッチリの店を思い出した。洋食の老舗「煉瓦亭」である。京橋から歩いてすぐだ。気付いた途端、頭の中はニッポンの洋食のめくるめく魅惑の世界にドップリである。
この店、トンカツやオムライス発祥の店である。ニッポンの母みたいなものだ。
有名な老舗、いつも混雑、立地が良いとなれば変に気取った高い値段の店を想像するが、ここはいたって庶民的で良心的な店である。
昭和の喫茶店に毛の生えたような雰囲気の造り。ボーイさんもウェイターさんもどことなく昭和の香りで妙に落ち着く。
それにしても喫茶店に毛が生えるってどういう意味だろう。すいません。
まずはビール。画像の「上カツレツ」に抜群の相性である。トンカツソースが世の中になかった頃の名残りで、この店ではウスターソースで食べる。
不思議とトンカツソースよりウスターソースに合うカツだ。ビールが際限なく飲めそうな感じ。
この店の名物であるポークカツレツは薄めのカツが一枚まるごと出てくる。ナイフとフォークで食べる仕様である。
上カツレツの場合、値段はちょっとしか違わないが、小ぶりなカツが2枚で出てくるため、そのままかじることも可能だ。結局は人目を気にしてナイフを使っちゃうのだが、次回はガツンとかじりつこうと企んでいる。
続いてチキンコキールである。グラタンのパスタ抜き?みたいなものだ。洋食屋さんでは外せないメニューのひとつ。
この店の特徴はタマネギである。火加減が絶妙なタマネギが結構大きめにざく切りされているから、食感や味に良いアクセントになっている。
頼んだことはないのだが、きっとメンチカツも相当ウマいと睨んでいる。
このコキールもタマネギが良い感じだった。白ワインにも赤ワインにも合うから酔っ払うにはもってこいである。
そして冒頭画像のカニコロッケである。ここの店の揚げ物は総じてウマい。食後にくどさが残らないし、よく分からないけど、技術的な理由があるのだと思う。
クリームコロッケも洋食屋さんでは外せない。まろやかさにウットリである。デミソースも自己主張しすぎずに実に優等生な的味わいである。
オムライスが名物だが、この日はエビライスにしてみた。チキンライスのエビ版である。ここでもタマネギが活躍している。素直に美味しかった。
東京料理ともいえるこうした洋食屋さんのなかでも極めて正統な路線の店だ。値段の面でもお手軽だし、店の雰囲気もヘタな小細工無し。なにかが突出した感じではないところに好感が持てる。
味も濃すぎず、とがった感じもない。強い味をウマいと錯覚させる昨今の食い物とは一線を画す感じだ。
ニッポンの洋食をことさら高級にアレンジせず、普通のノリでシンプルに、でも味はしっかり高いレベルを維持している点が特徴といえるかもしれない。
わざとらしくない感じ、さりげない感じが東京人の矜持を感じさせる。名店だと思う。食い意地オジサンである池波正太郎が贔屓にしたのも分かる気がする。
それぞれの料理を比べれば煉瓦亭より美味しい洋食屋さんはいくつもある。それでも、トータルの価値みたいな尺度があったら、この店はトップレベルだと思う。
このブログに食べ物のネタを書くたびに、すぐまたそれが食べたくなるのが私の悪いクセである。
近いうちに煉瓦亭でドカ食いしている素晴らしく格好良く素敵でダンディーな紳士がいたら、きっとそれは私だ。
ホントにスイマセン・・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿