東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2015年3月9日月曜日
日本橋 いづもや
ウナギの話を書く。
ワサビ醬油で味わう白焼き。私の頭の中で毎年開催されている「冷酒のつまみコンテスト」で20年連続1位に輝いている。
白焼きだけではない。蒲焼き、鰻重もホントに大好きである。
ウナギ好きを自認してウン十年。資源が枯渇しているからハレの日だけに食べるぐらいの気配りが必要だが、ついつい普段からウナギを食べまくっている。
好きな店もいくつかある。人気店もいくつも覗いてきた。そんな私が未体験だった絶品ウナギを先日味わってきた。
一応、オトナだから物静かにうなずきながら食べたのだが、実は心の中は狂喜乱舞。まいったまいった。感動した。
日本橋の外れにある「いづもや」。何年か前にテレビの散歩番組で見た覚えがあるので、結構な有名店なんだろう。
今まで行かなかったことを激しく後悔した。ウナギには一家言あるみたいな顔をしていることが恥ずかしい。いや、ウナギがとことん好きだからこそ、今回の逸品の良さを痛感したのかも知れない。
写真では違いが伝わらないが、「生醤油き」と「魚醤焼き」である。聞き覚えのない調理法である。ハーフサイズでも注文できるのが有難い。これに通常の白焼きも注文してそれぞれ味わった。
正直なところ、聞き覚えのない二つにはさほど期待していなかった。世の中のウマいウナギといえば白焼きか蒲焼きである。以前、某所でウナギの西京焼なる一品を食べたが端的に言ってマズかった。一般的ではない調理法は単なるウケ狙いだと思っていた。
ところが、この二つはそんな先入観をいとも簡単にぶっ壊すほどウマかった。どうしましょう!って感じ。
白焼きもバツグンだったが、それと同点かそれ以上という印象だ。次も必ずこの3種類をツマミに冷酒をかっくらうつもりだ。
生醤油焼きと聞いて、しょっぱいだけの珍味っぽい味をイメージしていたが、味付け加減が絶妙。まさにいい塩梅。醬油だけが勝っちゃっていることもない。ふっくらしたウナギが醬油の焼けた上品な風味をまとっている。
冷酒グビグビ、うっしっし、ワッハッハって感じである。
魚醤焼きは、「いづも焼き」と命名されている。世界でもここだけのオリジナルだそうだ。ウナギだけで作った魚醤を蒸したウナギに付け焼きする贅沢な一品。こちらも魚醤の味が強すぎず、ウナギの旨味を壊さない絶妙な味付けだった。
とかく味を強めにしてインパクトを出したがる料理が巷に溢れる中、この店の味付けは実に繊細。ウナギを大事に大事に調理しているのだろう。
酒の品揃えもかなりのもので、ウナギ以外に気の利いたツマミも用意されている。最高である。当然のごとく鰻重も美味しかった。強すぎないタレの味が私の好みにもマッチしたのでバンザイ三唱である。
今までこの店を知らなかったことが残念である。大げさに言えばこの店を知らずに死なないで良かったと思ったほどだ。
礼儀正しい若旦那が積極的に客先に来てあれこれとウンチクを語ってくれる。私も世の中の有名ウナギ店の多くが酒肴一つ用意せず、客を修行僧のように待たせることを当然かのように思っている誤った常識をしきりに嘆いてみた。
若旦那自身も個人的にウナギの食べ歩きをする中で、そんな店が多い状況を憂いていたらしく店のメニュー構成に工夫しているそうだ。よっしゃよっしゃ!
いづも焼き自体、まだ開発して数年だとか。ニューウェーブなのに老舗の伝統料理のような落ち着いた味わいに仕上げているのがニクい。
年齢とともに「初めて食べるもの」はどんどん減ってくる。「初めて食べるウマいもの」なら尚更である。
今回食べたウナギは食事としてのウナギというより、「酒飲みのためのウナギ」として画期的な初めての味だった。
書いているだけでまた行きたくなってきた。
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