2015年7月24日金曜日

ピラフへの愛


たまに無性に食べたくなるものがある。安いモノ、高いモノ、ゲテモノ等々、ふとした時に頭に浮かび、それを食べるまでは落ち着かないほど執着心ブリブリになる。

うな重の場合もあるし、フィレオフィッシュの場合もある。イクラ丼の場合もあれば、ガリガリ君の場合もある。

どこの街のどの店でも均一の味が保たれている「松屋の牛丼」や「なか卯の親子丼」ならテキトーにターミナル駅周辺を探せばありつける。

こうした店の味の安定性は素晴らしいことだと思う。高度にシステム化された日本社会の洗練度を現わしている。ちょっと褒めすぎだ。

「どこでもいつでも同じ味」が凄いことは間違いないが、希少性というか有り難みに欠けるのも事実である。

特定の店の特定のモノが食べたい気分にかられて、わざわざ出かけていって味わう時のワクワクした気分は捨てがたい。独特の高揚感がある。

そんなことを力説するヤツはたいていがデブである。オフコース・ミー・トゥーである。


某日、ホテルグランドパレスのピラフがどうしても食べたくなっていそいそ出かけてきた。

シャトーソースと呼ばれる「秘伝のタレ」というか汁をビチャビチャかけて食べる至極の一品である。

昔は、海老やチキンも用意されていたのに、ここ数十年の歴史の中でメニューが絞り込まれ、今では「ホタテ貝柱のピラフ」だけになってしまったことが泣きたくなるほど残念である。

まあ、残念などとおとなしく引き下がってはいけない。こっちは小学生時代、すなわち40年以上前からこのピラフに馴染んできた筋金入りの“ピラファー”である。

韓国の金大中元大統領が若かりし頃、グランドパレスで拉致される大事件があったが、既にその当時から私はここのピラフと付き合っていたわけだ。まさに生き字引みたいだ。ちょっとしたワガママぐらいは言わせてもらう。

別に大げさなことではない。「ホタテ貝柱のピラフ・シャトーソース」とともにメニューに用意されている「シーフードピラフ・ニューバーグ風」なる一品を応用してもらうだけである。

ニューバーグ風と名乗るピラフはホワイトソースをビチャビチャかけて食べる仕組みなのだが、このソースをシャトーソースに交換してもらうわけである。

シーフードピラフと名乗っている通り、ホタテ以外にもエビもカニもしっかり登場する。メニューから姿を消した「小海老のピラフ」を再現したかのような気分になれる。

大げさである。


この程度のメニューのアレンジは、大したワガママではない。紳士的にお願いすればOKである。たぶん。

このシャトーソースは、ドミグラスソース、白ワイン、エシャロットなどから作られているらしい。ほんのりバター風味のピラフとの相性がタマランチンだ。

と、徹頭徹尾ホメまくりたいのだが、時々、ソースの味が「オヨヨ」の時がある。まあ、人が作るものだから多少の味の差は仕方ないが、長年にわたってこのピラフにホレ抜いている私としては切ない気分になる。

エラいシェフが今日は休みなのか?、新人が慌てて作ったのか?等々、いろんな妄想が頭をよぎる。

塩が多いだの白ワインの分量が足りないなど、具体的に指摘できるものなら、図々しいと言われようとも、愛するピラフのために意見してみたい。でも普段とどこがどう違うのか明確に指摘できるほどの知識はない。ウジウジする。

決してマズいというほど味が変わるわけではないのだが、「もっとウマく作れるはずだ!」「今日はちょっと雑なんじゃないか!」と心の中で叫ぶ。

文句やクレームではない。愛するがゆえの苦悩である。多少の乱れ?があったとしても私のあのピラフへの思いは不変である。

今日は老舗の味についてアレコレ書くつもりだったのだが、結局ピラフへの愛を切々と?書いただけで終わってしまった。

2 件のコメント:

  1. 初めまして。
    こちらの記事には全く関係ないのですがコメントさせてください。
    先月の15日に二人目の男の子を出産しました。
    その子がダウン症でした。
    思いも寄らなかった事に受け入れることもできません。
    主人も受け入れる事ができずもし育てるのならば上の子供にも負担がかかるし離婚してくれと言われました。そして上の子供を自分が引き取ると。

    私としては上の子供と離れるこたなんて考えられませんのでもし離婚となれば上の子供とダウン症の子を一人で育てていかなくてはいけなくとても悩んでいます。育てていく自信がないのです。
    離婚して二人を育てていくか、ダウン症の息子を施設に預けるか養子にだして、上の子供と主人3人で暮らしていくか。

    どうしていけばいいのでしょうか?
    また子供がダウン症ということをどう受け入れていきましたか?

    ダウン症の子を持つ親御さんにあったことなく突然のコメントをさしていただきました。
    いきなりですみません

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  2. ゆり様

    コメントありがとうございます。

    すぐに受け入れることが出来る人なんてそうそういないと思います。
    ご主人様のお考えも分からなくはないですが、これからお考えは頻繁に変わっていくと思います。これから数ヶ月経ってもまったくお考えが変わらないようなら、離婚することも選択肢だと思います。お子さんにとっては愛情と理解のある親だけが頼りです。その際には、世知辛い話ですが、専門家も交えてしっかりと離婚後の養育費などの条件面を詰めておくことが大事です。

    とにかく「時間」が薬のような役割を果たします。その間にいろいろな方面から情報が入ってきますし、いろいろな人とお知り合いになるはずです。少なくとも、そうした新たな情報や人的なネットワークは面倒に思われても積極的に吸収するようにしてください。だいぶ事情が変化してくると思います。

    とにかく内にこもることなく外に気持ちを出すようにしてください。お話を伺っているかぎりご主人様にぶちまけることは出来ないようですので、病院関係、地域の役所の福祉関係、そこから紹介される専門機関の人々に対して、小さなことでもいので、とにかく「話す」ことを心がけてください。人に話したって仕方がない、と思われるかもしれませんが、人に話すことは意外に自分の気持ちや考えを整理する効果がありますので、とにかく外に向かって発信することを意識した方がいいです。

    上のお子さんへの配慮は必要ですが、上のお子さんにとって良い影響があるという見方もできますよ。今は受け入れがたいでしょうし、私自身、上の子のためにダウン症の子をどうにかすべきかと思った時期もありましたが、いま思えば、そう思うこと自体が自分がダウン症の子を受け入れたくない言い訳みたいなものだったと感じています。

    私自身、受け入れるまでの葛藤は厄介でしたが、ダウン症の子によって学んだことはたくさんありますし、何よりあのコ達はとても純粋で愛らしいのは事実です。今度の誕生日が来ると9歳になります。上の子(14歳の娘)もとても可愛がっており、姉弟の信頼関係の深さには時々驚かされます。ウザったいときは平気で上の子に足蹴にされています。子どものほうが変に意識せずにシビア?に接しているほどです。上の子は弟の存在を通して社会の現実をしっかり学んでいます。

    私自身は下の子が6歳の時に結果的に離婚してしまい、いまは同じ屋根の下で暮らしていません。ダウン症の子を授かったことで夫婦仲が同士的関係になりかけた時もあったのですが、逆にそうした事情の子育てをめぐって意見が極端に対立することが増え、結局はカッコ悪い結末になってしまいました。というわけで、エラそうなことを言えるような立場ではありませんが、「宣告」を受けてしまった直後の葛藤は痛いほど分かります。

    いまは自己嫌悪したくなるほどネガティブなことばかり考えてしまう時期だと思います。でも、そこを踏ん張って、とにかくいろいろな新しい情報や経験者の話を積極的に吸収して欲しいと思っています。



    まずはお二人目のお子様のお誕生おめでとうございます。
    今はまだ「おめでとう」という言葉さえ聞きたくないご心境かと思いますが、お子様はご両親だけが頼りです。

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