2015年10月19日月曜日

マドリッドぶらぶら


トレドが目的地だった今回の旅。中継地である首都マドリッドを素通りするのも面白くない。ということで、今日は都合3泊滞在したマドリッドの話を書く。

2年前にバルセロナに出かけた際、スペインは地域ごとの特徴が思った以上に色濃いことを知った。東京人と大阪人みたいな次元ではない。だからサッカーの試合にあんなに熱くなるのだろう。

さて、マドリッドである。どことなく下町っぽい雰囲気を感じるアトーチャ駅に近いエリアの中級のホテルに滞在した。節約である。


「Catalonia Atocha」がそれ。中の上といったクラスだが、設備は最新で全体に清潔だった。広いテラスを持つ部屋があるという理由で選んだのだが、大正解だった。

葉巻をプカプカしたり、時にはカップ麺をすすりながら、心地良い風にあたる時間は非常に快適だった。




今回の旅では往路と帰路にそれぞれフランクフルトとウィーンに丸1日ずつ滞在したのだが、個人的にはドイツ、オーストリアといったどこか格調高く?キッチリした感じの国よりも、どことなくヌルい雰囲気が漂っているスペインやイタリアでウロウロするのが好きみたいだ。


コメも普通に食べられるし、バカでかい人も少ないし、なんとなくシックリくる。勝手な印象かもしれないが、全体的に陽気である。単純に気分が上がる。

さて、スペインといえばフラメンコである。観光客向けのショーも盛んだ。オノボリさん的なものを毛嫌いする傾向があった私だが、人生50年を数えるにあたり、くだらない拘りを捨てていそいそ出かけてみた。


結果は楽しかった。今後は世界中どこに行っても素直にオノボリさん的行動に励もうと思う。オノボリさんが集まる場所には集まるだけの理由があるわけだ。真理である。

フラメンコを見ながら飲んだり食べたりする店をタブラオと呼ぶ。私が出かけたのはシケたタブラオだったから、凄いレベルの高い演者が出てくるはずもないのだが、それでも充分迫力があった。ギターも踊りも歌も飽きずに堪能できた。


食事付きだったので、選べるメニューの中からパエリアを選ぶ。想像通りにインチキ?パエリア登場である。観光客用のタブラオで本格的な料理が出てくるとは思わなかったが、ここまで安直だと逆に感心する。

具が無い。画像に写っている小さな貝がすべてである。おまけに冷めている。作り置きだとしても、せめて熱い状態で持ってきて欲しいものである。

コメ大好き男だから嬉々として食べたが、西洋人の皆様には理解不能の一品だったかもしれない。

コメ大好き男としては真っ当なパエリアが食べたい。スペインにいる以上、絶対に外せない課題である。 

日本では滅多に食べないのにパエリアへの欲求が妙に高まる。で、別な日、ホテルから歩いて行ける距離の店で食べたのがタコのパエリアである。



海老や貝類、チキンなどが具としては一般的だ。そういう無難な一品を頼めば良かったのに、つい「タコ」を選んだ。この選択は残念ながら失敗。

タコはとても柔らかくてウマい。でも、野菜がアホみたいに入っている。野菜嫌いの私にとってこれはダメである。

コメの硬さ、味は良かったのに実に残念。

というわけで、別な日にリベンジを果たしに行った時に注文したのは「イカ墨のパエリア」である。これなら野菜の心配はない。



見た目は最悪である。暗黒の食べ物である。でも、野菜だらけのタコのパエリアよりは100倍美味しかった。

翌日、トイレに行った際に、自分の身体に何が起きたのか一瞬錯乱しそうになったが、それも御愛敬である。


パスタのパエリアも現地ではポピュラーである。たいていはマヨネーズ風味が定番だから、ジャパニーズ・デブであれば、誰もが気に入るはずだ。

このパエリアは乾麺のパスタを適度な長さに折って使う。固い部分と柔らかい部分が混在して食感が楽しい。


パエリア以外に非常にウマかったのは「イカの揚げたやつ」。イカの切り身ではなく、ホタルイカよりも小ぶりなイカが丸まる揚がっている。レモンを搾ってバクバク食べた。ビールにも合うし、白ワインにも合うし、シンプルだけど一番印象に残っている。



定番のエビのアヒージョの画像である。タコパエリアの店で頼んだ一品だが、単純明快に海老がマズかったので、汁にパンを浸して食べた。パンのカケラの即席アヒージョである。固くてマズいパンが一気に生き返って実にウマかった。

軽くて爽やか、悪くいえば安っぽくて水っぽい白ワインをグビグビ飲んでいる時の最高の相棒になってくれた。固くてモソモソのパンを使うのがポイントかもしれない。

アラブ文化の影響を受けているスペインでは、イスラム圏で普及している水タバコを出す店をちょくちょく見かける。

20年前にエジプトを旅した際に、水タバコに完ぺきにはまって道具一式を手持ちで持ち帰ろうとした私である。今も見かければ必ずブカブカしたくなる。


2年前に行ったアンダルシア地方のグラナダほどではないが、さすがに首都・マドリッドである。水タバコが楽しめる“喫茶店”はそこかしこで見かけた。

紙巻きタバコを3か月ほど「休養」している私だ。相変わらず愛している葉巻は吸い込むものではない。ということで、久々の吸い込み系?を夜ごと堪能してきた。



こちらは食後酒に出された謎の液体である。おそらくグラッパのスペイン版だろう。度数は強いがトロリと甘く普通に美味しい。

ブドウの絞りかすを蒸溜して作るこの手の酒は、スペインではオルホと呼ばれるが、ラベルを必死に解読しようにも、そんな言葉は見当たらない。

「Aguardiente」という言葉には「サトウキビから作った蒸留酒」という意味もあるそうだから、まあ、いずれにせよそっち系の酒だ。

ボトルごと持ってこられると、飲み口が良いからつい2杯、3杯とかっ込んでしまう。サービスで出されたものを飲みまくるのもヤボだがウマかったからしょうがない。

おかげで毎晩、ホロ酔いでご機嫌だった。

常に酒かっくらって煙をブカブカしていたわけではなく、ちゃんと?美術鑑賞にも励んでみた。

一応、こんな私だって、パリに行けば必ず複数の美術館に行くし、フランクフルトでのわずかな滞在時間にシュテーデル美術館に足を運ぶ。アムステルダムでもレンブラントをわざわざ見に行ったし、今回も少しはアカデミックに過ごした。

今回はプラド美術館とティッセン・ボルネミッサ美術館を足が棒になるまで見学した。宗教画は意味も分からないし、疲れちゃうので、今回も結局感動することはなく、ありがちな印象派の絵を眺めてホッとしていた。

トレドに行く前に予習のつもりでしっかり鑑賞したエル・グレコの絵も「顔色の悪いオッサンばかり」という情けない感想しか思い浮かばなかった。


昭和のコメディアン・三木のり平そっくりな肖像画に出会えたことを収穫だったと思うあたりが私の鑑賞眼の限界である。

ということで話があちこち飛んだマドリッドの話はこのあたりでオシマイです。

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