東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2015年11月30日月曜日
ぐい呑み
心が熱くなる。実に良い言葉だ。ボンヤリと暮らす日常の中で、心が熱くなる場面など滅多にない。
色恋沙汰なら最高だが、あればかりは相手のある話なので思ったようにはいかない。
熱くなり過ぎないようにブレーキをかけるのもまた楽しい。イジイジする気分は案外と気持ちがいいものだ。
前振りが長くなったが、最近、自分自身でブレーキをかけているのが「葉巻」と「ぐい呑み」である。
タバコを「休憩」してはや5か月。なんとか続いている理由はおそらく葉巻だ。頻繁にプカプカしている葉巻はニコチンの塊である。
吸い込まない、ふかすだけと言っても、粘膜からニコチンを吸収しまくっている。おかげでタバコの禁断症状も気にならないのだろう。
今日は葉巻の話ではなく「ぐい呑み」の話。ここ数年、治まっていたぐい呑み収集癖が復活しそうなので、必死にブレーキをかけている。
10年以上前だが、病的にぐい呑み収集に励んだ時期がある。病的と書くと大袈裟だが、実際にトチ狂ったように連日、高いものから安いものまで買い続けていた。
ある時期は、外食も控え、潜水旅行も控え、使える小遣いはぐい呑みや徳利収集だけに投入していた。
いま思えばアホらしいが、その時はそれが何より楽しかった。探している時の楽しさ、気に入ったものを見つけた時の喜び、気に入らないものを買っちゃった時の後悔まで面白がっていた。
都内の陶器専門ギャラリーに出かけるのはもちろん、全国の窯場めぐりに精を出し、各地の骨董市も覗いた。
備前や唐津には何度も行ったし、東海地方、関西、山陰、九州あたりに焼物だけを見に行った。
ネットオークションのチェックも日課になっていた。現代の人気陶芸家の作品だと骨董とは異なりニセモノを掴んじゃうことは希だ。
オークションサイトでお気に入りの作家の名前を登録して、新規出品があったら自動的に通知されるように設定していた。
コレクションが増え過ぎちゃったので、酔っ払うと気前よく人にあげちゃうことも多かった。後になって青くなったこともある。
幸か不幸か、熱はある時を境に治まるもので、ここ5~6年は収集癖もすっかり無くなり、自宅での晩酌の際にお気に入りのぐい呑みを楽しむ程度で済んでいた。
ところが、この秋ぐらいから「マイ・ぐい呑み」を持ち歩くことが増えた。いくつか持っているビジネスバッグには昔から常にぐい呑みを入れてあるのだが、プライベートで飲む際には手ぶらで行く機会が多く、なかなかマイ・ぐい呑みを使う場面がない。
ところが、最近は手ぶらだったとしてもスーツの胸ポケットに無理やりぐい呑みを格納して持ち歩くこともある。これからコートの出番となればポケットのサイスモ大きくなるからマイ・ぐい呑みの出番はもっと増えそうである。
なるべく新しいものは買わないようにしているのだが、ここ1,2か月、夕暮れの街をさまよっていると、ついつい器を売る店を覗いてしまう。
覗いてしまうと、欲しくなる。悪循環である。我慢しようと自分に言い聞かせる一方で、一期一会だ、出会いだ等々、屁理屈が頭に浮かぶ。
結局、コレクションがいくつか増えてしまった。ヤバい傾向である。危ない危ない。
マイ・ぐい呑みを持参してウマいものを食べに行くのがまた楽しい。ひとり酒だったら尚更である。ぐい呑みは酒を満たすと表情が変わる。そんな変化を眺めながら過していると気分もゆったりする。
初めて訪ねた料理屋さんなどで、ぐい呑み一つで会話が弾むこともある。カウンターを挟んで初対面の店主と客が小さな土の塊をきっかけに打ち解けるのも「いとおかし」だと思う。
ひとり酒やひとり旅の話ばかりだと、友達もいない偏屈人間だと思われそうだが、温泉旅館にひとりで出かける時の相棒にもぐい呑みはもってこいである。
小さいから邪魔にならないし、小さいからこそ可愛く愛おしい。風情の異なるぐい呑みを3つほど選んで温泉旅館に持参すると夕飯の時間が無性に楽しくなる。
気分は三蔵法師である。3つのぐい呑みはそれぞれ孫悟空、猪八戒、沙悟浄だ。とっかえひっかえ酒を注ぎ、料理ごとに使い分けて楽しむ。
特別な準備はいらない。ただぐい呑みを並べて酒を注いで調子よく酔っ払うだけである。実に簡単だが、その割に風流な気分にもなれて大人の遊び方としては悪くない。
そんなことを書いているだけで、温泉旅館に籠もりたくなってきた。温泉に浸かるというより、温泉旅館の上等な夕食をマイ・ぐい呑みとともに楽しみたい気分だ。
日頃はぐい呑みをポケットに一つだけ忍ばせているから、もっぱらひとり酒専門だ。ひとり酒も悪くないが、時には人恋しい時もある。
お気に入りのぐい呑みを二つ持参して、差しつ差されつの時間を過ごすのも悪くない。そんな艶っぽい時間を過ごすためにはひとり旅ばかりではダメである。
頑張ろうっと。
私も一人旅ばかりしてきましたのでわかります。感動やふれあいやすべてのことに少しだけど
返信削除共感できる人がそばにいてくれることが幸せなんですよね。
コメントありがとうございます!
返信削除一人の世界、一人の時間は捨てがたいくせに、それだけじゃ不満を感じてしまうのは人間のサガみたいなものでしょうか。。。