2015年12月4日金曜日

時代は色ボケ!


先日、70歳の知人と飲んだ。仕事上の付き合い酒は楽しくないのが普通だが、その日は相手の「武勇伝」をいろいろ聞かされて大いに刺激を受けた。

70歳といえども現役バリバリである。もちろん、アッチ方面の話である。素直に尊敬する。

若い頃、いや40歳ぐらいまでは、中高年、とくに還暦も過ぎたオッサンが女性を追っかけて交尾活動を目指す姿を軽蔑していた。

「いい歳してアホか」「みっともない」等々、一般的な否定論者のような言葉を発していた。でも、自分が年を重ねるごとに「頑張ってるヤンチャなおっさん」を支持したくなってきた。

少年時代には50歳、60歳にもなったら、すっかり弱っちゃって花鳥風月を愛でることぐらいが楽しみになるのだと思っていた。

もっと言えば、たかだか40歳ぐらいの人を「引退した人」というイメージで見ていた。子どもの頃、長島が38歳、王が40歳で現役を引退したせいで、勝手に40歳あたりを節目だと思っていたようだ。

バカみたいだ。

自分が40歳になった時、30歳の頃と大して変わっていない自分に慌てた。ちっとも進歩していないのは恥ずかしい。でも、頭の中で考えていることは18歳ぐらいの頃からほとんど変わらない。こんなことじゃマズいと感じた。

でも、人間の本質なんてものは30歳も40歳も大差が無いのだろう。思春期が終わった頃に形成された人間性はおそらく死ぬまで似たようなものだ。

もちろん、30歳の頃より、40歳になった頃の方があらゆる物事への視野が広がっていた。それなりに年相応の変化は経験していたのだろう。

そして40歳から50歳へと時間は進んだ。相変わらず頭の中で考えていることは若い頃と似たようなものだ。でも、やっぱり物事への視野は40歳の頃とは変わった。

本質は変わらないものの、視野や目線といった見え方や咀嚼の仕方は年齢とともに随分変わる。歳をとるとはそういうことである。

だから70歳のオッサンが女性を追っかけるのは、ある意味当然であり、男として正しい行動だと思う。

50歳ごときの私の頭の中からエロ煩悩が無くならないのも当然である。無くなるどころかそっち方面の煩悩は複雑化・高度化していく一方である。若い頃のほうがよっぽど爽やかだった。

「女性は人生をあきらめると下ネタを連発し、男は人生をあきらめると下ネタを言わなくなる」。

ネットか何かで見た格言?である。実に深い言葉だと思う。下ネタの数は元気さに比例するのかもしれない。

冒頭で書いた70歳の知人は、やたらと下ネタだらけの猥談に励んでいた。良し悪しは別としてエネルギッシュな証拠である。まさしく人生をあきらめていない。それどころか人生を謳歌している。

50歳程度の自分たちの世代でも「オトコ、終了」みたいな人は多い。確かにそういう面々は下ネタも話さないし、エロ系なこととは一切関係ないような顔をしている。

社会はそれを分別や常識と称して正当化する。でも、それって間違いだ。秩序は大切だが、人間の業に無理して逆らっても仕方がない。

日本の個人金融資産は1700兆円という途方もない金額だが、その6割以上を60歳以上の高齢者が持っている。

国の政策が語られる際には、必ずこの「高齢者のカネ」をどうやって流動化させるかが議論される。

手っ取り早い経済対策は、高齢者に楽しくお金を使ってもらうことである。子や孫への贈与に非課税枠を広げるのも結構だが、そんなくだらないことで高齢者がイキイキとお金を使うはずはない。

ズバリ、高齢者にどんどん色気づいてもらうほうが、よっぽど経済は活性化する。

冒頭で書いた70歳の知人がさんざん話していたのが「女性に対する浪費」である。
老後の経済的不安を口にする割には気前良く女性のためにお金を使う。

「クルマを買わされた」だの「ヨーロッパに連れて行った」だの、豪勢な話がポンポン出てくる。

アッパレである。

男の行動なんて大半が女性の歓心をかうのが目的だ。若造時代にカッコいい服が着たいとか、カッコいい髪型にしたいなどと思いはじめたら、そのコストは既に「女のため」である。

若い世代に元気が無い今、60歳以上の人がバリバリに色恋に励むことはニッポン経済にとって大いに意味のあることだ。

ずぶずぶの不倫までいくと殺傷沙汰に注意が必要だが、必ずしも肉体関係にこだわることもあるまい。

単純に「異性とドキドキする」ことが大事だ。それだけだってオシャレしたり、プレゼント買ったり、旅行の計画を立てる。

内需拡大である。

銀座あたりで活躍する金満ヒヒ親父の皆様にも「金満ヒヒジジイ」として末永く女性にお金を使ってもらいたい。

景気刺激策などと言葉にすると難解だが、個人消費なんてそんなものだと思う。「異性にモテたい」。古今東西、このエネルギーが経済活動の基本的な根っこである。

「老いらくの恋」「色ボケ」など、高齢者の色恋ネタは古くから否定されてばかりだったが、高齢化社会まっただ中の今、社会全体で意識を変えたほうが早道だと思う。

ということで、まだまだ私は若造です。

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