2016年7月11日月曜日

靴バカ一代 ロンドン編 ポンド暴落 ジョンロブ激安


10年近く続けているこのブログで、ページビューが一番多いのが、5年前の7月に載せた「靴バカ一代・パリ編」である。なぜか直近1ヶ月のページビューも1番多い。ちょっと不思議だ。

http://fugoh-kisya.blogspot.jp/2011/07/blog-post_22.html

世の中、靴の話に興味がある人が多いはずもないだろうから、トラックバックとかシェアみたいなネット特有の“拡散”のおかげで多くの人様の目に触れているのだと思う。

ということで、今日は「靴バカ一代・ロンドン編」である。「パリ編」から5年、その間もヨーロッパには行ったが、単純に靴を買うことを目的に出かけたのは5年ぶりだと思う。


ご存じの通りイギリスのEU離脱問題で突然ポンドが暴落した。昨年なら1ポンド190円ぐらいの時もあったが、130円まで急降下である。190万円が130万円である。

おまけにイギリスでは6月後半からセールが始まっていた。円高プラス大売り出しである。大変?である。普段、東京ではあまり買物をしない私も一気に物欲太郎に変身だ。

ヨーロッパならついついイタリアかスペインに行きたくなって、靴を買うなら世界中の名品が集まるパリに行けばいいというのが私の固定観念だった。

でも、靴好きを自認する以上、大英帝国・ロンドンを探索しないとダメな気がして、マイレージをせっせと貯めた特典航空券で旅に出ることにした。

ロンドンは30年ぐらい前にいわゆる団体ツアーで通過したぐらいで実質的には初訪問である。

とくに見たい観光名所もなく、食べたい料理もなかったので、事前に調べたのは名門紳士靴の店舗所在地ぐらいである。



で、まるまる3日間、随分と靴屋を回った。ジョン・ロブ、エドワード・グリーン、クロケット&ジョーンズ、チャーチ、トリッカーズ、ガジアーノ&ガーリング、ジョージ・クレバリー、フォスター&サン、バーカー、チーニーを始め、ウェストン、ベルルッティなど英国靴以外の店まで探索した。

ジョン・ロブは別格を気取って安売りはしないのだろうと勝手に想像していたのだが、ところがどっこい、結構な数のセール品が用意されていた。

ポンド安のおかげで、そもそもの定価が日本の半値近くなのに、セールだと3分の1以下で買えたりする。


サイズが合う靴があまり残っていなくて正直ホッとした。あんな値段だったらサイズさえ合えば買い過ぎ確実である。

これはエドワード・グリーンも同じ。売れ線のサイズは残り少なくなっていたので、残念と安堵が混ざったような変な感覚だった。

まさにエセ富豪である。


印象的だったのはガジアーノ&ガーリング。「背広」の語源にもなったといわれる紳士御用達の通りである「サヴィル・ロウ」にカッコいい店を構えていた。吉田茂や白州次郎もスーツを仕立てたというサヴィル・ロウである。

エドワードグリーンの派生品という私が抱いてたイメージよりも物凄くスタイリッシュな靴がズラリと揃っていて圧倒された。

セールをしない高飛車な感じもどことなく孤高な雰囲気を漂わせていて、英国版ベルルッティ的とでも表現したくなる雰囲気だった。

値付けもジョンロブより3割以上高め。徹底的にアッパー層をターゲットにした戦略だ。ロールスロイスやベントレーがゴロゴロ走っているロンドンだから、マニアックな高級品というポジションを狙っているのだろうか。

セール品を必死に探すような客など眼中にないようだ。クラス分けというか階級社会が厳然と存在するイギリスならではの一つの在り方だと思う。結局、ここでは買わなかった。いえ、買えなかった。

さてさて、ロンドンの靴屋といえばジャーミン・ストリートである。サヴィル・ロウとともに「紳士が集う通り」である。


ロンドン1の大繁華街・ピカデリーサービスの1本裏手にあるちょっと地味な通りだ。地味とはいえ並んでいる店は世界的な知名度を誇る老舗ばかり。ラフな格好では入るのをためらうような紳士モノの店がズラリ。

靴屋にしてもジョン・ロブやエドワード・グリーン、そのほか先にあげたメーカーの大半がこの通りに店を構える。気をつけないと破産してしまう地獄の一丁目、ピーピー通り、金欠通りである。

いや、肝試しストリートって感じだろうか。財布が空っぽになりそうで本当にヒヤヒヤする。

ロンドンには朝のうちに着いたが、時間が早過ぎてホテルにチェックインできず、ふらふらしながら、早々に、いや勢いでジョン・ロブやエドワード・グリーンを購入。

そのせいもあって、その後はやや落ち着いて?街歩きを兼ねた靴屋めぐりに精を出した。最高気温が20度になるかならないかぐらいの気候だったから散策にはもってこいである。

凄く気に入った靴もすでにいくつか手に入れていたし、その後はそこそこ余裕をカマしてぶらぶらしていたのだが、何気なく覗いたデパートの靴売り場でビックリ仰天した。


バカでかいデパート「ハロッズ」でもセール商戦真っ只中で、紳士靴売り場も画像のようにワゴンセールを展開していた。

カジュアル靴が中心だったが、じっくり見ればしっかりした革靴も結構揃っている。

で、なんとなく見ていたらジョン・ロブも混ざっていた。「ワゴンセールにジョン・ロブ」という事態はニッポンの靴好き男にとっては目を疑う光景である。

ジョン・ロブの店舗は、丸の内でもパリでも、はたまたロンドンでも、どこかスノヴィッシュというかクールな雰囲気で、オバチャン達が暴れていそうなワゴンセールとは相容れないイメージがある。

おまけにヘンテコな色や奇抜なスタイルの売れ残り商品というわけでもない。私としては一大事?である。キツネにつままれたような感覚で自分のサイズを探す。

幸か不幸か気に入った靴がいくつか出てきた。一応悩みかけたが、内外価格差を考えれば悩んでも仕方がない。買う。ジョンロブのプレステージラインが日本の定価の3分の1以下だった。ハロッズ、恐るべしである。

EU離脱騒動がもたらしたある意味で歴史的な珍事である。ロンドンから離れたノーザンプトンの工房まで出かけてリジェクト品を安く買うことも考えていたのだが、そんな労力をかけるまでもなく良いものが手に入った。帰国した今になってもっと大量に入手しなかったことを後悔している。

そのあたりが私の器の小ささである。大勝負に出られないシミったれた性分が残念だ。30年以上前の水準にまで陥ったポンドの相場がいつまでも続くとも思えないから、中国人になったつもりで爆買いするのが経済原則にのっとった常識だったはずだ。



結局、極めて特殊な状況を認識しきれていなかった私は、いままでと変わらね漠然と決めてある予算の中でしか物事を判断出来なかったわけだ。

それでも自分としては充分に散在しちゅうわけだから、頭の中で常に変な言い訳を考えてしまう。

わざわざ持参したカップラーメンを何度も食べた分だけ食費が浮いただの、ホテルリッツに泊まらなかったからホテル代が浮いた等々、わけのわからない屁理屈が財布のヒモをゆるめてしまうわけだ。

ちなみに海外の靴屋情報は、ネットにあふれる見知らぬ人々のブログや旅行記を参考にさせてもらうことが多い。

私も日頃の感謝を込めてブロガー?として靴好きの皆様に情報を発信しないといけない。

「セール時期のハロッズにはジョン・ロブだってワゴンセールしてまっせ」

さすがにガイドブックには書いていない情報である。同好の方々は機会があればぜひムホムホ気分を味わっていただきたい。


そんなこんなで新しい靴をいくつか購入した。新調品を眺めているのも楽しいが、新入りのおかげで今まで履いてきたお気に入りの靴達の寿命が伸びるのが嬉しい。

「良い靴は特別な場所に導いてくれる」

そんな格言を信じればこその靴集めである。

ちなみに、今後は時計も買わない、車も買わない、船も買わない、飛行機も買わないと決意している。

そう考えたら靴の値段ぐらいでオドオドすることはない。

これまた屁理屈のような言い訳である。

4 件のコメント:

  1. 私も靴が好きです。と言っても貴兄みたいにインポートはイタリア製のラルフローレンのヴァンプが麻のコンビローファーだけ。日本のリーガルシューズではちょっと名の売れた男です。リーガルが以前南千住にあった頃に靴記念館に一般人として最初で最後に入館した事だけが誇りです。クロコダイルの魅力で検索願います!私も今年で6年目の書き込みです。一応安物、グレージング加工でなく安いラッカー仕様のクロコダイルの靴は3足、今は無き昔のシェトランドフォックスのマッケイプロセスのリザードローファーにポロラルフローレンのリザードローファー、それに旧セットランドフォックスのソール、ヒールで造られたアランフラッサーのマット仕様のクロコダイルのUチップ持っております。

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  2. 浦野様

    コメント有り難うございます。
    ブログ、じっくり拝見しますね。
    かなりこだわりをお持ちのようで大いに勉強させていただきます!

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  3. 7月にロンドンに行く予定です。初のJohn Lobb購入を考えてます。シティⅡ、フィリップⅡは何ポンドでしょうか?

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  4. mitsuさま

    特定の商品を狙ってたのではないので具体的には分かりません。売れ線はあまりセールにはなっていなかったかと思いますよ。

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