2016年7月13日水曜日

「Nowhere Man」 ロンドンタクシー


♪ ロンドン、ロンドン楽しいロンドン
愉快なロンドン、ロンドンロンドン ♪

その昔、一世を風靡した得体の知れないCMである。

https://www.youtube.com/watch?v=6nnUM85dhNA

このCMのイメージ通り?にロンドンは楽しく愉快なところだった。

今回の旅はもともとロンドンだけの滞在を考えていたのだが、ガイドブックを見ても惹かれるものがなかったので、後半はイタリアに行く予定にした。

でも実際に行ってみたロンドンは妙に居心地が良くて、もっと長く滞在したかったと少し後悔している。



ほんの3日ちょっと過ごしただけだから分かったようなことは書けないが、あてもなく街を散策するのが好きな私としては、ロンドンの空気感がとても快適だった。

晴れていてもすぐ雨が降り出す、建物の色合いが暗めで重い等々、活字にしてしまえばネガティブなイメージだが、小雨に濡れる街並は何ともいえない風情があったし、重い色合いの景観も中年男から見れば上質な重厚感に映った。


あくまで直感的な印象だが、私としてはヨーロッパの大都市の中ではパリよりロンドンの方が好きかもしれない。男好み、オッサン好みの街だと感じた。

今回泊まったのは「The Mandeville」。マンデヴィルホテルである。小粋なエリアとして人気のメリルボーン地区にある四つ星ホテルだ。

ロンドンのホテル物価は世界的に見て異様に高い。ホリデイインあたりで平気で4~5万円もする。

ビジネスホテルに毛が生えたようなホテルに5万も出すなら、リッツの一番安い部屋に7万円ぐらいで泊まった方がマシかもしれない。


そんなことを考えて出発直前まで宿泊先を決められずにいたのだが、出発2日前ぐらいになって某海外ホテル予約サイトの“直前大幅値引”を発見。マンデヴィルホテルをゲロ安料金で手配した。

かなりの割安感のせいで少し不安に思いながらホテルに到着。ところが、四つ星の看板に偽りはなく、綺麗だし、ホテルスタッフは丁寧だし、非常に快適だった。

ホテル周辺は南に2~3分歩けばロンドン中心部の目抜き通りであるオックスフォードストリートに出る。地下鉄駅も近い。

北に2分ぐらい歩けば、地元のサラリーマン愛用のパブや飲食店が集まっているエリアに出る。何をするにも便利だった。



毎日夜の早い時間から周辺のパブは大賑わい。有楽町のガード下みたいに仕事終わりのオッサン達がべちゃくちゃ語り合っていた。誰もが流ちょうな英語をしゃべっていた。

食事もホテル近辺で選択肢がいくつもあった。繁盛していたイタリアンは真っ当だったし、インド料理屋は美味しくなかったが、コメが食べられたからセーフ?である。



さて、イギリスといえばビートルズである。街歩きをしながらiPodでビートルズばかり聴いていた。

小雨の街を眺めながら「Nowhere Man」をリピート再生して、ひとり悦に入る。それにしても50年以上前の曲がどうしてこんなに斬新なんだろう。おまけにジョンレノンは25歳でこんな世界観の曲を作ったのだから驚異的である。

https://m.youtube.com/watch?v=yRv34Cat3Vw

ビートルズグッズを売っている土産物屋にもわざわざ地下鉄を駆使して出かけた。ビートルズマニアではない私にはチンプンカンプンなグッズも多かったが、ボールペンやギターピックなど手軽に買える記念品を買う。

地下鉄が使いやすかったのも印象的だ。初めて訪れた街では、地下鉄の乗り方に困ることが多いが、ロンドンでは切符を買うのも路線を乗り換えるのも簡単だった。連日
、縦横無尽に活用した。



移動の足といえばロンドンタクシーを忘れてはならない。個人的に思い入れがある乗り物である。

子供の頃、渡英していた祖父からロンドンタクシーのミニカーをおみやげにもらった。当時、クルマ好きだった祖父はロンドンタクシーが気に入ったようで大真面目に個人輸入を考えていた。

実現はしなかったが、その後もロンドンタクシーの話を聞かされたから、私の中でロンドンタクシーは特別な乗り物として記憶されていた。



ずんぐりむっくりした愛らしいスタイル、やたらと広い後部座席スペース、山高帽をかぶったままでも大丈夫な天井の高さが特徴である。実際に乗ってみたら個人輸入して運転手さん付きで乗りたくなる気持ちがよく分かる。

今では日本でも買えるらしい。近年は日産製の車両もロンドンで活躍しているようで、祖父が欲しがっていた頃とは隔世の感がある。

ロンドン滞在中、靴屋めぐりばかりだと破産するので少しは観光っぽいことにも挑んだ。



バッキンガム宮殿の衛兵交代は鬼混みだと聞いたので、さほど見学者がいない「馬交代」を見たり、その他はナシャナルギャラリーで絵を見たぐらいである。いつかまた訪れたらじっくり観光もしてみたい。

そうそう、フィッシュ&チップスのことにも触れねばなるまい。イギリスに行った以上、話の種に食べないわけにはいかない。

白身魚の揚げ物にタルタルソースをつけて食べるだけである。添え物は芋だ。そんなもので旅先の貴重な一食を終えるのは残念だ。と、言いたいところだが、カップラーメンをいくつも持参した私がそんな生意気を言ってはいけない。


で、料理にもこだわっているような雰囲気を醸し出していたパブに突入してみた。さすがにロンドンのパブである。わんさかビールが揃っている。3種類ほど飲んだがどれもウマい。


フィッシュ&チップスにも期待が膨らんだが、世の中そう甘くはなかった。純粋にマズかった。魚自体に臭味はないのだが、下処理のせいか何となくヌルっとしている。

おまけに肝心の揚げかたが悪い。油が悪いんだか、揚げ加減が悪いんだか、すべてが悪いんだか、お手上げ状態だった。

酢をかけて食えと言われたのでやってみたが、余計にマズくなった。イヤガラセみたいな感じだった。

それまで、マトモな食事にありついていたせいで「ロンドンの食」は世間で言われるほど悪くないと思っていた。でも、王道料理であるフィッシュ&チップス様が、そんな油断をあざ笑うかのように私に現実を突きつけてきた。

「さすがだロンドン! 甘く見てたぜ」。

店を出る際につぶやいたセリフだ。でも、そんな体験こそが旅の楽しみだと思う。

映画で有名なノッティングヒルも散策してきた。ロンドン中心部の重厚な感じに比べると少しライトな印象で女性が喜びそうな可愛い雑貨屋やカフェがいくつもある。



1年に35回ぐらい「ヒュー・グラントに似てますね」と言われる私だから街歩きを楽しんでいるだけでジュリア・ロバーツのような美女と恋に落ちるのかと思ったが、ちっともそんな気配はなかった。

長くなったので、そろそろまとめに入ろう。

中年になってからヨーロッパ方面に出かける機会が増えた。イタリアやスペインにとくに惹かれるが、天下の大都市であるパリやロンドンもさすがに面白い。

個人的な印象では、パリが女性的な雰囲気を感じる街だとしたら、ロンドンは男性的なイメージだ。

ちょっと覗いただけだから説得力はないが、あてもなく街歩きをした印象としてはそんな感じである。

誰かと行くならパリ、一人で行くならロンドン。ちなみに、一人でロンドンを散策してからパリで誰かと落ち合うっていうパターンが私には理想的かもしれない。

2 件のコメント:

  1. 数年前まで、まさにメリルボーンのベーカーストリート寄りに住んでいたのですが、フィッシュアンドチップス、本当は美味しいんですよ〜!
    お写真からしてハズレを引いたのではと推測されます。。
    本物(?)はもっと天ぷら色で外はカリっと、中はフワッとして美味しいんですよ!
    イギリスの食事はマズイと言われますが、実際には美味しいお店が多く、スーパーのチルド商品ですら侮れません。
    ただ、団体の観光客専用のような店だとどうしようもない中華料理が出てきたりしますが。。。
    ぜひリベンジを!(山田)

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  2. 山田様

    コメント有り難うございます!
    あの辺りにお住まいでしたか。とても素敵な場所でした!

    次回は真剣にウマいもの探しをしたいと思います!

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