東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2017年8月25日金曜日
付け合わせスパゲッティ
夏痩せする人がうらやましい。憧れる。今までの人生で夏に痩せたことは一度もない。私の場合、たいてい夏になると太る。
水ぶくれだろうか。そうでもない。暑いからイライラする。イライラすると脳が疲れる。疲れた脳は身体が血糖値不足だと錯覚する。だから食べたくなる。
冷やし中華もそうめんも、ツルツル入っちゃうから食べ過ぎる。おまけに腹持ちしないから割とすぐにお腹がへる。
暑いから普段は食べないアイスクリームやかき氷に手を出す。ワシワシ食べてしまう。口の中が甘くなるとしょっぱいもので口直ししたくなるから余計なものまで食べてしまう。
言い訳ばかりするのがデブの悪いクセだ。
先日、ドカ食いをした。男同士2名でバリバリ食べた。その時の伝票がこれ。人数は「2」なのに大量に注文した品が記録されている。
飲み物は別として、海老のカクテル、エビフライ。カツレツ、チキンコキール、チキンサラダ、タンシチュー、ナポリタン、オムライスである。
場所は銀座の老舗洋食屋「煉瓦亭」。洋食好きな私としては大量にあれこれ食べられたからハッピー全開だった。
男2人で夕飯を食べに行く場合、一般的には酒が基本である。だから居酒屋的な店が多くなるし、そうじゃなくても寿司屋や焼鳥屋のようなツマミ系?の店になる。
この日は中高年の分際で大食いの男性が一緒だったので、ついつい酒よりメシという流れになった。
意外と楽しかった。今ほど酒に馴染みのなかった若い頃を思い出した感じ。ひょんなことで気分が若返ることを再認識した。
「男の子の食事」といえばガッつくことが基本だ。洋食屋さんで“お子ちゃま的味覚”を刺激するようなメニューばかり注文するのは至福の時間である。
エビフライ、ナポリタン、オムライスである。普段、鮎だの松茸だの、ダシがどうした、旬こそ最高だなどと分かったようなことを書いている中高年にとっては、もはや禁断の味と表現しても良い。
私は結局こういうものが大好きだ。心がホッコリする。ニッポンの洋食屋さんのメニューなら取っ替え引っ替えしながら毎日毎日連続して食べられる。
可愛いコちゃんとムフフな場面を迎えた時とエビフライにタルタルソースを塗りたくっている時の私の顔はきっと同じだ。喜色満面ってヤツだ。
さて、この日、すべての料理に満足した一方で、今後の私の食生活を左右しかねない「危険なモノ」の存在に心を奪われた。
「付け合わせスパゲッティ」である。画像には撮っていないが、メイン料理の横にチョコっと添えられるアイツである。
思い起こせば私はアイツが昔から好きだった。でも、好きとか嫌いだのを考える相手ではなかった。思い入れを感じたことはなかった。
この日、何かの付け合わせにアイツがいた。色も味も薄い。常温だしボソッとした食感でウマいなあと感じる味わいではない。
でも止まらない。大事に大事に少しづつ食べた。ちょこっとしか無いから何だか愛しい。やる気のない雰囲気、いや、はかなげな感じが魅力的だ。
そういえば、これまで長年生きてきた中で、付け合わせスパゲッティを食べ残したことはなかったかもしれない。洋食屋ではもちろん、いろんな弁当に入っているヤツも必ず大事に食べた。
崎陽軒のシウマイ弁当に入っている甘いタケノコと同じで、アイツがいることで全体がキリっと締まるような気がする。
でも誰にも注目してもらえない悲劇的な存在がアイツだ。決して自己主張することもなく、強めに味付けしてもらえることもない。ただただ、皿の上の賑わいのためだけに存在する。
炭水化物が好きなタンスイカブラーとしてはアイツを日陰者にしておくのは忍びない。
ネットで調べたらアイツのファンは意外に多いみたいで、レシピもたくさん紹介されている。今度作ってみよう。
何はさておき、まずはアイツの地位向上を考えていきたい。だいたい正式な呼び名が存在しないことが可哀想だ。
ナポリタンと呼ぶには何かと足りないから一文字減らして「ナポタン」や「ポリタン」はどうだろう。ちょっと可愛いイメージで子どもを中心に人気を集めそうだ。
まあ、そんなことより、近いうちにどこかの洋食屋さんに相談して、アイツを付け合わせではなく、ちゃんとした一皿として提供してもらうことを実現させたい。
一皿まるごと全部アイツだ。想像するだけで興奮する。具も無ければ色も薄いアイツがドッサリ盛られているわけだ。
半分ぐらい食べたら飽きちゃいそうだ。それでもガッついて食べてみたい。
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