2018年7月20日金曜日

銀座のミニクラブ


一口に銀座のクラブといってもその内容は様々だ。そもそも「クラブ」の定義が何となくあやふやだ。


世の中でアーだコーだと取り沙汰されるのは、いわゆる高級クラブというジャンルだ。ではそれ以外は「低級」かというと、一概にそうとも言えない。

ミニクラブとかラウンジ、サロンみたいな比較的手頃な店もたくさんある。あの街全体で考えればそっちの方が多いかもしれない。

お値段的には高級クラブの半額程度かそれよりも手軽な感じだろうか。ボトルが入っていればキャバクラのような値段といったところか。

呼び名はさまざまだが、ここでは便宜上ミニクラブと呼ぶことにする。

ミニクラブにもそれなりの良さはある。銀座という場所柄のせいで、極端にガサツな店は少ない。といって、堅苦しい感じでもなく、馴染みになればホゲホゲと過ごせる。

カラオケがある店も多い。お客さんの年齢層が高いからヨソの席から聞こえてくるのは裕次郎あたりの昭和ムード歌謡だ。そんなマッタリ感が心地良い。

多くの店のママさんが銀座の高級クラブでホステスさんを長く経験した人。必然的に銀座のカラーを踏襲しているから、ボーイさんやオネエサン達もヤンキーっぽい顔ぶれは少ない。

お客さんも高級クラブでこれみよがしにふんぞり返っている成金趣味みたいな御仁は見かけない。値段がお手軽な分、逆にそういうトンチキは来ないわけだ。


実際のところ、銀座の夜を支えているのはこういうミニクラブが中心なんだろう。すべてがすべて高級クラブだったら、毎夜毎夜あんなに街が賑わうはずもない。

私自身、以前から馴染みのミニクラブがいくつかある。10年ぐらい前から時々顔を出す店もある。若いホステスさんが一念発起して始めた店もある。高級クラブから戦力外通告された女性陣が集うような店もある。

私がボーカルのバンドライブに毎年欠かさず来てくれるオバサマトリオが奮戦している店もある。その店にはライブの2,3か月前に思い出したように顔を出して無理やりチケットを押しつけに行くぐらいだが、もう長い付き合いになる。

ミニクラブに出かける男の心理は、高級クラブに行くときとは微妙に違うと思う。端的に言えば「止まり木感覚」だろう。

大事な接待だったり、何となく見栄を張ったり、女性目当てだったりするのが高級クラブだとしたら、ミニクラブは止まり木だ。

見栄を張るような世界でもないし、女性に関しても高級クラブとは“異質”な世界である。

私が年に3回ほど寄り道する某ミニクラブがある。顔面偏差値的にはかなり独特?な女性しかいないのだが、妙な愛嬌の良さがあるので、気付けばワイワイと楽しく飲んでいる。

謎の世界である。おそらく遊びや飲みの場面にもオンとオフがあり、高級クラブに繰り出す時は「オンの飲み」、ミニクラブに行く時は「オフの飲み」なんだろう。

30代の頃、まだ若者だったので高級クラブに行っても“アウェー感”が強かった。背伸びして疲れちゃったりすると、ミニクラブに飲み直しに行って安息感に浸ったりしていた。あれはまさしく「オフの飲み」だった。

高級クラブではない、キャバクラでもない、バーでもない、居酒屋でもなければスナックとも違う。そう書いてみるとまったく謎めいた感じだが、そんな掴み所のない感じがミニクラブの存在意義なんだと思う。

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