東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2019年5月15日水曜日
目白 ぞろ芽 ウナギ最高
蓋。フタである。嬉しいプレゼントを目にする直前に外す最後の扉である。
バースデーケーキなんかもフタを開けた瞬間にウホ~!っとなる。フタを開けることは一種の儀式だと思う。
そう考えるとフタの役割は重要だ。フタを開けるという動作そのものが喜びへの前戯になっている。
前戯という言葉もよく考えたら凄い言葉だ。戯、たわむれである。大事な行為の前の戯れである。なんとも意味深かつ艶っぽい。
話がそれた。フタの話だ。
食べ物の世界においてフタが大事な役割を果たしているのが鰻重だろう。鰻屋さんでようやく出来上がった鰻重がフタ無しで運ばれてきたと想像していただきたい。
興ざめである。
ほんの一時だろうとフタに閉ざされた世界を想像することで期待は高まる。ヨダレもこぼれる。
カツ丼、天丼、その他もフタ付きで登場することは多い。でも鰻重のフタほど崇高な使命を帯びているようには見えない。
フタを開けた瞬間にアノ香りが鼻腔をメロメロにする。と同時に美しく照り輝くウナギ様が視界に飛び込んでくる。まさに卒倒寸前である。
やっぱりウナギはドンブリではなく、お重が正しいと思う。あの非日常感やハレの日っぽい感覚はお重だからこそ引き立つ。
フタ付きだったとしても、ウナ丼だとチョット違う。どうしたって重箱に負けている。ウナ丼の場合、たいていがパッと見た瞬間、茶色よりご飯の白色のほうが目立つ。
やはり、フタを開けた瞬間にセクシーブラウンがでーんと横たわっていて欲しい。そういう意味ではウナギは絶対に鰻重が完成形だ。
先日、初訪問の鰻屋さんに出かけた。目白にある「ぞろ芽」という店。まだ新しい店だ。すっかり有名になったブランド「共水ウナギ」を使う本格派だ。
共水ウナギの話はこちら。
http://fugoh-kisya.blogspot.com/2018/04/blog-post_18.html
小洒落た内装でカウンター席も多いから、お一人様にも居心地は良い。アルコールの品揃えもバッチリだし、ウナギ以外のサイドメニューもそこそこある点が嬉しい。
まずはシメ鯖とシラスおろしをもらってビールをグビグビ。肝焼きが来たあたりで冷酒に切り替えてグビグビ。
ほどなく白焼きが登場。こちらの店は白焼きに関しては蒸すか蒸さないかを選ばせてくれる。この日は空腹バリバリだったので、早く出てくる蒸さないバージョンを注文。
東京人である私は、ウナギは断然蒸したい派だ。とはいえ、この店の地焼きの白焼きは非常に美味しかった。酒のツマミにはこっちのほうが合うように思ったほど。
ふっくら感がありながら、カリっとした食感。なんとも絶妙なバランスだった。白焼き用に肝醤油を出してくれる点も悪くない。わさび醤油と交互に味わうことで飽きずにペロペロ食べた。
で、真打ち登場。鰻重である。実に丁寧に下処理されていて、焼き加減も文句なし。タレもスッキリ系でウナギそのものの味を楽しめる。
タレに頼り過ぎてウナギを台無しにしちゃう店も少なくないが、その点、この店のタレは名脇役の位置付け。ご飯もしっかり硬めで完璧だった。
共水ウナギをあちらこちらで食べてきたが、ここはトップレベルだと思う。1度行ったぐらいで四の五の語るのはヤボだが、ウナギストを自認する私である。1度行けばだいたい分かる。
4月までの職場からだったら歩いて行けた立地だ。もっと早く訪ねるべきだった。自宅からもさほど遠くないのだが、近いうちに引越し予定なので、なんだか後ろ髪を引かれる思いだ。
後ろ髪はフサフサだ。引っ張られても頭頂部と違って何も問題はない。
意味不明のオチになってしまった。
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