2020年8月26日水曜日

旧車への想い 日産サファリ

キムタクを主役にした日産のCMを見ていたら魂が震えた。キムタクに萌えたのではない。昔々、私が愛したクルマが登場してすこぶる感動した。

 

https://www.youtube.com/watch?v=8bTkgEXC-Q8

 

日産の過去と未来を語るカッチョイイCMだったのだが、日産の旧車が4台ほど登場。その中の一台が赤色のサファリハードトップだった。


 


35年ぐらい前に私が乗っていたバージョンと同じだ。マイナーなクルマなのにナゼか数ある旧車の中からサファリが選ばれたのか実に不思議だ。 

 

私のクルマ歴は37年ほどだ。これまで25台ぐらいは乗ってきたからイッパシのクルマ好きだったと言えよう。

 

一番愛したクルマがこのサファリである。オッサンと呼ばれる歳になってからはベンツやBMW、ジャガーやマセラティも乗った。でもダントツで大好きだった一台を選ぶなら赤いサファリである。


自分なりにアチコチいじって、この世に一台だけのやたらとクセの強い相棒に仕立てたことで、今でも思い入れが強いのだろう。

 

34年ほど前の写真を引っ張り出してみた。私が痩せていたことやチャラいサングラスや手袋はご愛敬である。

 


 

随分と改造した。上のCMに使われたノーマル車画像と比べるとだいぶ違う。下品にならない程度に車高を上げていた。タイヤも太かった。やたらとムダな照明を付けていた。

 

車内も4点式シートベルトをはじめ、オーバーヘッドコンソールまで装着してカーオーディオ用のイコライザーや違法な拡声器のスイッチなどを付けていた。

 

四駆ショップに集うお客さん達で作られたクラブチームみたいな世界にも混ぜてもらった。大学生の頃だ。まだ青年とも言いきれない小僧時代である。

 

メンバーはオッサンばかりだったからそこで社会を学んだ部分も多かった。井の中の蛙だった私がいろいろ刺激を受けた。

 


 

ここ5年ぐらいの間に自分が愛した懐かしの日産サファリに偶然遭遇する夢を何度か見ている。そんな経験があるから日産のCMに魂が揺さぶられたわけだ。

 

夢だからもちろんヘンテコな話である。私が乗っていた当時のままの姿でサファリちゃんが今の私の前に登場する。ある時の夢では持ち主に掛け合って数百万円という値段で買い戻す商談にまで進んだ。

 

とにかく思い入れが強かったのだろう。私にとっての青春の1ページだ。いや、10ページぐらいかもしれない。

 

あの頃、若者にとってはクルマは自らのアイデンティティーを示す存在だった。当時、ナンパな世相を反映して、デート向けにはコレだ、女の子ウケするのはコレだみたいな角度からクルマが語られていた。

 

変なクルマヒエラルキーも顕著だった。どっちがエラいのあっちが凄いのとウザったらしい話が多かった。

 

そんな風潮が何となく気持ち悪くて、当時は誰もが見向きもしなかった四駆の世界に突き進んだわけだ。私にとってアマノジャク人生のきっかけだった。

 

まだ四駆のクルマは商用貨物車的な匂いが強く、SUVだのRVだのといった洒落た用語も聞かなかった。

 

その後、車高が高めの四駆が一気に人気になり、世界の高級車メーカーまでそっちに進出する。

 

いまやランボルギーニやアストンマーチンにまで四駆バージョンがある。当時の四駆愛好家からすればオッタマゲである。

 

当時は三菱パジェロが四駆にオートマを搭載しただけで愛好家がビックリした時代である。我がサファリだってパワーウインドウなど無かった。ベース車両にはAMラジオしか付いていなかった。それが普通だった。

 

そういえば、一世を風靡したパジェロもいよいよ生産中止になるらしい。何とも言えない。世の中の移り変わりを痛感する

 

その後、大人になってからもいにしえの四駆小僧だった時代を懐かしみ、セカンドカーとしてアメリカの中古ラングラージープを2回も買った。その後もシボレーやワーゲン、キャデラックやポルシェの四駆も乗ってみた。

 

でも、どうしてもシックリこなかった。サファリの無骨さやぶっきらぼうでどこかダサい感じとはまるで異質だった。あくまで高級乗用車でしかない。当たり前である。

 

もちろん、そんな快適さに惹かれて選んだわけだから文句は言えない。でも格好が格好だけにかつてのサファリと比べてしまい、逆にその快適さが不自然に感じてしまった。一種の変態だ。

 

思い出は美化される。私にとって日産サファリはその最たるものだろう。美化しちゃっているのは分かっているが、それでもあそこまで徹底的に大好きだったクルマはない。

 

ネットで全国の中古車情報を調べたが、私が乗っていたのと同じサファリは1台も見つからなかった。

 

見つけたら買っちゃうかもしれない。あの頃のように大改造して、あの頃のようにチームに入ってツーリングに行ってみたい。

 

あの頃のように一人旅で陸路をひたすら北海道まで走って、北海道の外周を一回りして、また陸路でエッチラオッチラ帰るような旅をしてみたい。

 

 

4 件のコメント:

  1. 富豪記者殿

    この週末、何度も読み返しましたが素晴らしいコラムですね。

    車に仮託して社会を語っていた時代の雰囲気もそうですが、バブルという時代の私たち、子どもじゃないけどかといって一人前の社会人でもない中で感じていた大人たちの世界へ背伸びしたい気持ちと、微妙な反骨心、そんなことを思い出しました。でもなんといっても若さの持つエネルギー、同じようにはできないにしても、同じ旅路をまた巡ってみたいですね。

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  2. 道草人生様

    ありがとうございます。あの時代のエネルギーは独特でしたよね。あの頃に感受性の強い年齢だったことは今振り返れば幸運でしたね。

    最近やたらと回顧することが増えてきました。気付けば高齢者側に近くなっている証しですね。

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  3. こんにちは。
    「回顧」「同じ旅路を巡る」というのは年齢ではなく、私は性別ではないかと思っています。女性は新しいものに興味があって回顧はしない、前に行ったところには興味はない、と言った感じを受けるのですが・・・。
    アメリカのあの町がどのようになってしまったんだろう、と行けないまでも、地図を見てしまうクチです。まあ、年を取った事もたしかですが。

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  4. 佃在住様

    確かに後ろを振り返ってウジウジするのは男の特徴でもありますね。女性と寿命があんなに違うのもそのあたりの精神性に理由があるのかもしれません(笑)。

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