2020年10月12日月曜日

この目で見てきたもの

今はスマホのおかげでどこでも誰でも簡単に写真が撮れる。逆に言えば、何でもかんでもすぐに撮れちゃうから、自分の目に必死に焼き付けるという行為がおろそかになる。

 

最近、そんなことを痛感する。自分の目で見た素晴らしい景色や美しいものを、もっともっと目で味わって脳ミソに刻み込みたい気持ちが強い。

 

スマホでパシャっとやってオシマイ。そんな場面が増え、それが当たり前になっていることが何だかもったいない。

 

老眼が進み、視力も昔より衰えてきたせいでそんなことを感じるのだろう。

 

先日また一つ歳を重ねた。半世紀以上頑張ってきた我が目の劣化は残念だが、まだまだこの目でいろんなものを見たい。

 

細かい文字を読むとき以外は今も裸眼である。メガネという人工物を介さないで我が目に焼き付けられるわけだから有難いことだ。

 

ダウン症の我が息子などは先天的に視力が弱い。幼児の頃からめがねは必需品だし、色の見極めにも問題があるようで気の毒だ。

 

彼が目にする情景と私が目にする情景には随分違いがある。そう考えると、頑張ってくれている自分の目をもっといたわりたい気分になる。

 

思えば、この目で随分といろんなものを見てきた。感動や驚きで目を見開いちゃうような場面も幾度となくあった。

 

加齢のせいで最近は回顧ネタが増えてきたが、今日は「この目で見てきた素晴らしい情景」を振り返ってみたい。

 

真っ先に浮かんだのが姫路城だ。小学生の頃、無性に現物が見たくて親にせがんで連れて行ってもらった時の感動は忘れられない。

 



 

姫路城への愛は4年前にも書いた(http://fugoh-kisya.blogspot.com/2016/04/blog-post_27.html)が、やはりあの美しさは尋常ではない。

 

もう45年ぐらい前の話である。観光バスが姫路城に近づいた際に、車窓から遠目にあの麗しい天守閣がちらっと目に入った時の衝撃は今も覚えている。

 

腰や足が浮き立つような感覚だった。瞬きするのも惜しむように壮麗な天守閣に見惚れた。

 

無垢な少年だった私が心底見たかったわけだから、実際に目にした瞬間はどれほど目を輝かせていたのだろう。キラッキラだったはずだ。

 

やはり小学生の頃、図鑑の写真をしょっちゅう眺めていたのがアメリカのグランドキャニオンだ。写真を見ているだけでその偉容に心を奪われた。画像はネットでパクりました。ゴメンナサイ。

 



 

それから78年経った大学生の頃、アメリカ旅行をする機会があった。たいていのツアーではグランドキャニオンは日帰りでちょろっと見に行くだけだが、私が参加したのはグランドキャニオンにあるロッジに泊まるプラン。

 

夕日も朝日もじっくり味わえる、まさにグランドキャニオン漬けの日程である。中継地点からは激しく揺れまくるオンボロプロペラ機で到着。

 

恐怖と飛行機酔いで瀕死の状態だったが、たどり着いたグランドキャニオンの景色に卒倒しそうになった。おそらく我が目は最大限に見開かれ、ついでに口はポカンと開いていたはずだ。

 

当時、ハタチやそこらの若造のくせに「死ぬまでに絶対に見たかった眺めだ!」と叫んだような気がする。

 

いまは「死ぬまでにもう一度見たい」に変わっている。今の年齢になった私の目はあの景色をどのように脳裏に写し込むのだろう。いま見たらきっと意味も無く涙を流す自信がある。

 

このブログを読んでくださっているかたは、私と似たような年齢層だと勝手に思っている。みなさんそれぞれ様々な思い出があるはずだから、こんな風に自分の目で見た衝撃の情景をじっくり振り返ってみるのは楽しい一人遊びだと思う。

 

私の目が衝撃を受けた情景はまだまだある。

 

高校生の時、一人で京都を旅した時に見た嵯峨野のあだし野念仏寺の石仏・石塔群や三十三間堂を初めて訪ねた時の千体観音像にもビックリした。

 

ついでに言えば、この京都旅行の際に初めて足を踏み入れたノーパン喫茶の光景も私の目に鮮烈な記憶を残している。

 

他にも、35年ほど前に沖縄・久米島で潜った時の水平で100メートル先まで見渡せそうな驚異的な透明度の海の光景も忘れられない。

 

わけも分からず潜ってしまった水深49メートルから水面の小舟が見えたことと、そんな透き通った海の中を青い魚が群れていた眺めは今でも鮮明に思い出す。

 

南米に近いカリブの島・ボネールで見たピンク色の夕陽も衝撃的だった。天変地異の前触れかと心配したが、地元の人の様子が普通だったので安心した覚えがある。

 

それ以外にも、小学生の時にひょんなことから近くで目撃した西城秀樹のカッチョ良さと顔の小さかったこと、後楽園球場での試合後、ファンから追われて走って逃げてきたデーブ・ジョンソン選手にぶつかりそうになった時の光景なんかも私の目の記憶上位である。

 

なんだかキリがないのでこの辺にしておく。

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