かなり久しぶりに我がソウルフードである「グラパレのピラフ」を食べた。九段下にあるホテルグランドパレス伝統のシャトーソース付きのピラフである。
グランドパレスのピラフについてはこのブログでも幾度となく熱く語ってきた。幼稚園から高校まで通った学校の近くだから、子供の頃から食べている“ふるさとの味”である。
http://fugoh-kisya.blogspot.com/2015/07/blog-post_24.html
http://fugoh-kisya.blogspot.com/2013/04/blog-post_10.html
初めて食べたのが7、8才ぐらいの頃だから半世紀近くの付き合いである。オッタマゲである。
グランドパレスは若き日の金大中が拉致されたり、江川騒動や桑田・清原をめぐるドラマを生んだドラフト会議も行われていた場所だ。
そんな昭和のドラマが繰り広げられた当日も粛々とこのピラフは作り続けられていたわけだ。
今やホタテ貝柱のピラフのみがメニューに残っているが、かつてはチキンピラフや海老ピラフもあった。
この日は余計なリクエストをせずに素直にホタテ貝柱ピラフを注文した。中毒の禁断症状のような気分だったので、一品料理には目もくれずピラフだけを大盛りで注文した。
「これだよ、これ!!」と心の中で絶叫しながらシャトーソースをビチャビチャかけて味わう。魂が震えるほど美味しく感じた。こんな気分になること自体が幸せなことだ。
ハヤリものより伝統に惹かれる私は「昔ながらのウマいもの」という言葉だけでそそられる。「変わっていない」という一点のみで無条件に信用する。
話は変わる。近年めざましく進化を遂げているスイーツの世界だが、先日食べた「マロンシャンテリー」も私が大好きな伝統の逸品だ。
店によってはマロンシャンティーと表記することもあるが、ここではマロンシャンテリーに統一する。
ニッポン洋菓子界の黎明期に生まれたこの逸品は、東京會舘とパレスホテルが元祖を競い合うというか、2大巨頭として君臨している。
某日、我が娘から「秋だからマロンシャンテリーを食べに連れて行くべし」という指令が飛んできた。
そんな機会でも無いとなかなか味わえないので、さっさと合流して東京會舘に向かう。しかし、GoToのせいか満席で2時間待ちだとか。
親子揃って並ぶことが出来ない性分なので、悩まずパレスホテルに向かって歩き出す。途中、電話で混雑状況を尋ねたら1時間は待つという残念な状況だった。
親子揃って呆然。父は娘に「どっかでモンブランでも食えばいいじゃないか」と安易な妥協を提案したが、娘は断固マロンシャンテリーを食べると主張する。
で、ネットを検索して他に名店が無いか調べてみたら日本橋高島屋の特別食堂で東京會舘のマロンシャンテリーが提供されているという情報を入手。さっそく予約して向かう。
平たく言えば、ペースト状の栗を生クリームでデコレートしたスイーツである。そう書くと単純極まりないが、これが何とも絶妙な味わいで“昭和の御馳走”そのものである。
この日は通常のマロンシャンテリーの他に期間限定のナンチャラ栗を使ったバージョンもあったので、当然ながら両方注文する。
期間限定モノは標準の2倍以上の値段だった。とはいえ、面白いもので親子ともども標準のマロンシャンテリーのほうがウマいと感じた、
やはり古いモノはヘタにアレンジするより「昔ながら」にこだわったほうが間違いがないのだろう。
味覚と気持ちは密接に連動している。「昔から変わらないもの」という事実はレッキとした調味料だ。一朝一夕では作れない調味料だからことさら美味しく感じる。
書いているうちにピラフもマロンシャンテリーもまた食べたくなってきた。中毒性もあるみたいだ。
こんにちは。
返信削除グランドパレスにはこんなメニューがあったんですか。私は8月に靖国神社に両親と行った帰りに、中華を食べていました。今度は、こっちに行ってみようと思います。
確かに我々の世代は、こうしたご飯系好きですよね。私にとってのピラフは、熱海ホテルでのエビピラフでした。この味を追い求めていろいろ食べたのですが、もはや、自分で作るしかない、と、作り出して20年。消滅した熱海ホテルの味を伝えるのは私しかいない、という崇高な使命感で腕を振るい、自他ともに満足しているところです。
だけど、いってみよ~っと。
佃在住さま
返信削除コメントありがとうございます。ピラフの社会的地位が低いのは大問題ですよね(笑)
グランドパレスの親分であるお堀端のバレスホテルにもシャトーソースをが付いてくるピラフがありますが、個人的にはグランドパレスのほうが好きです。