2021年8月18日水曜日

夏の寿司


夏の暑い時期、お寿司屋さんで一献傾けるのが好きだ。とか言いながら、冬も春も秋もお寿司屋さんのカウンターでシッポリ過ごすのは楽しい。

 


 

結局、一年中、お寿司屋さんに世話になっている。

 

先日、ネットの番組で某著名人が寿司を語る場面を見た。「回転寿司が一番好き。ちゃんとした寿司屋だと好きなモノを食べられないから」とのこと。

 

いつのまにか、おまかせ一辺倒の寿司屋が増えたヘンテコな風潮を象徴する話だ。店の都合を押しつけるお寿司屋さんが幅をきかすようになったのはいつからだろう。

 

やはり寿司は好きなモノを好きなペースで好きなだけ食べるのが基本だ。カウンターに陣取るのもそのため。

 

まあ、そんなことばかり語るのも偏屈オヤジみたいだから適当にしておく。

 

夏のお寿司屋さんでホロ酔いになる際に格好のツマミがウニだと思う。夏はウマいウニが多いというだけでなく、冷酒との相性が単純に良い。

 



 握りで食べるのももちろん美味しいが、ウニ単独で口に入れたときの幸福感はまた格別だ。

 

私の中の「冷酒に合うツマミコンテスト」では過去30年ほど1位の座にあるのがウナギの白焼きだが、それに次いで上位にいるのが夏のウニだ。

 


 

シャリと一緒に食べてもまた違った美味しさがある。醤油、塩それぞれで味わいが変わるところもウニの奥深さだ。

 

普通に握ってもらうだけでなく、時々はウニ巻きを注文する。

 

海苔無しで握ってもらうウニの握りも絶品だが、ウニ巻きにするとどことなくウニが控えめな感じになってそれはそれで悪くない。シャリの美味しいお寿司屋さんなら尚更オススメだ。

 

夏の寿司で外せないのがコハダだ。初夏のシンコは赤ちゃんのホッペタを思わせるはかなげな食感が堪らないが、この季節は親であるコハダが美味しくなる季節でもある。

 



 

このブログで13年ほど前にコハダにまつわるウンチクを書いたことがある。当時、時々通っていたお店で仕入れてきた話だ。

 

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2008/08/blog-post_12.html

 

感じの悪い書き方になってしまうが、やはりコハダは大型大衆店ではなく、職人気質の親方が切り盛りするちゃんとしたお寿司屋さんで食べるに限る。

 

大衆店では海鮮サラダ巻きやサーモンマヨナンチャラなどジャンク系の寿司を食べていれば間違いない。TPOというか、そのあたりの使い分けは大事だ。

 

繊細な仕事が必要なネタであるコハダはもちろん、煮蛤、赤身の漬け、海老、穴子といった古典的なラインナップはそれなりの店で食べるべきものだ。

 





 20代の終わり頃、寿司屋のカウンターでオドオドしない大人になりたいと一念発起して、その後20年ぐらいは随分とアチコチのお寿司屋さんのノレンをくぐった。

 

いわば客としての修行!?を重ねてきた。今では開拓精神は薄れてしまったが、気付けば一応自分なりのスタイルは確立した感覚がある。

 

それが正しいかどうかは分からない。中途半端な知識のせいで変に凝り固まっているだけかもしれない。

 

オドオドすることはさすがに無くなったが、そのせいで逆に未知のものへの探究心や好奇心が無くなっているとしたらバカみたいな話ではある。

 

また初心に返ってお寿司屋さん探検に繰り出したい気持ちはあるが、コロナ禍の今はそれも難しい。

 

先日、ひょんな事から某焼鳥屋でその昔何度か通ったお寿司屋さんの大将と偶然遭遇した。また行ってみたいと思ったのだが、コロナのせいで今は予約制だとか。ふらっと一人で行くにはなかなか難しい状況だ。

 

結局、いつもの店でいつもと同じようなモノばかり食べてしまう日々である。ちょっと刺激が足りない。

 

こうやって歳ばかりとって気付けば狭い世界で生きていくお爺さんになるような気がする。ちょっと切ない。




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