2022年10月28日金曜日

鴨亭で鴨ざんまい


鴨が葱を背負ってやって来る。いわゆるカモネギである。先日、銀座のオネエサンの同伴に付き合わされたから鴨を食べに行った。カモネギみたいな私の行動には鴨料理がピッタリである。

 

東銀座にあるその名も「鴨亭」。初めて訪ねる店だ。鴨は大好物だが、鴨ほど料理の質によって味が変わるものはない。専門店なら間違いはないだろうと期待して出かけた。

 

結論から言えば良い店だった。穴場だと思う。銀座の外れの隠れ家的な立地も何となく良い。通っぽい気分になれる。

 

高級すぎずカジュアル過ぎず普通っぽい感じが居心地の良さに繋がっている。メニューは徹底して鴨ばかりである。鴨好きなら頻繁に通っても飽きないと思う。

 

「人の不幸は蜜の味」と同じ意味で「人の不幸は鴨の味」ということわざがある。蜜と並んじゃうぐらいそのウマさを認知されているのが鴨である。人の不幸を牛の味とかマグロの味とか言わないわけだから鴨の立ち位置?がよく分かる。

 

「いとこ同士は鴨の味」なることわざもあるそうだ。夫婦生活が“甚だしく良い”という意味合いらしい。他にも一度別れた男女がよりを戻すと情愛が増すことを「逢い戻りは鴨の味」と表現することもあるらしい。

 

鴨には禁断の味っぽいイメージが昔からあるのだろう。確かに鶏肉や豚肉ともまったく違う鴨ならではの風味は独特だ。

 

ヘタな調理だと固くなったり臭みが強かったりと一歩間違えると途端にマズくなるのも鴨の特徴だ。火が入りすぎた鴨は実に残念な味に変化しちゃう。鍋で食べるときは細心の注意が必要だ。

 

さて、前置きが長くなってしまった。「鴨亭」の話。なかなかニクいラインナップのコースがメニューの中心だがアラカルトでいろいろ頼めるのが良い。

 

有難いことに鴨しゃぶ、鴨すき焼き、鴨鍋という3種類の鍋メニューも1人前から注文できるから一品料理をたくさん頼んで最後にちょっとだけ鍋で仕上げることが可能だ。

 



 

定番の鴨ロースはチーズとトリュフオイルで味わう。ツマミに最適だ。レバーとレバーじゃないやつとの2種のパテも酒飲みには嬉しい。思わず白ワインをぶりぶり飲んでしまった。

 

パテには蜂蜜もついてくるのが嬉しい。適度に味変を試しながら味わうのが楽しい。ハイボールにも合いそうだ。

 


 

メニュー上の名前は忘れたが普通に焼いた鴨もウマかった。もっとレアでも良さそうにも感じたが、ジューシーな仕上がりで鴨の脂の美味しさが際立っていた。オネエサンと分け合ったが本当は一人で全部食べたかった。

 

お次はこれまた鴨料理の定番のコンフィである。これも当然オネエサンとシェアしたわけだが、ナイフで切った肉を食べるより骨を手づかみにして一人でかぶりつきたかった。

                     


同伴メシは一人メシに比べてあれこれたくさん頼めるのが嬉しいが、どんなに気にいった逸品でも独り占めできないのがツラい。

 

気が弱い私はついついオネエサンに多めに食べさせる。でも心の中では悔しい思いでいっぱいだ。なんなら殺意すら感じる。実に心が狭い。


お次は鴨肉のペキンダック風という一品。他の料理に比べてしまうとさほど印象に残らなかった。まあまあだった。甜麺醤(テンメンジャン)を味わうような感じだ。

                    



それにしても鴨を食べたい気分の時に鴨しか出てこないのは率直に言って幸せである。飽きるかなとも思っていたのだが全然問題なかった。

 

この日は頼まなかったがシメには鴨せいろも用意されている。どちらかといえば洋食系メニューが多いから最後に鴨せいろでシメるのもとても良さそうだ。

 

メインとしてこの日は鴨亭鍋を注文した。鴨肉の他につくねが印象的だった。鴨独特のコクと旨味がミンチ肉に凝縮されていた。つくねの画像は取り忘れたから無い。

 




鍋は一人前で頼んだのだが、レアで味わうロース肉が非常に美味しくてオネエサンと肉の取り合い状態になりそうだったから肉だけを追加で頼んだ。こういうワガママにも応じてもらえるのが嬉しい。

 

随分といろいろ食べたのだが、まだまだ気になるメニューもあった。近いうちにまた行こうと思う。カウンター席もあったから今度は一人でこっそりコンフィを手づかみで頬張りシメの蕎麦まで堪能してみよう。

 

 

 

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