今日のタイトルは何となく淋しげだが、いにしえの井上陽水の名曲である。一般的に「ひとりきり」という言葉はネガティブな印象をもたらす。とはいえ、今では「お一人さま」需要がいろんな分野で広まったから淋しさだけを表す言葉ではないのかもしれない。
年末年始に3日間ほど「ひとりきり」の時間を味わった。母親が年末に入院したせいで元旦に実家に行くこともなく、同居している娘も不在だったので束の間の完全なる「お一人さま」である。
昨年春までの10年間は一人暮らしだったため生活のすべての場面で自分独自のルールやペースが出来あがっている。一人でいることはむしろ好きなので淋しいという感覚はない。何も気にせず自由気ままに過ごす時間は得がたい。
私は人嫌いというほどではないが、常に誰かといたいタイプではない。高校時代から一人旅を好み今も一人メシや一人酒の時間が好きだ。頼まれたわけでもないのに人に気を遣いがちで勝手に疲れてしまうワガママな性分だから一人の時間は大事にしたくなる。
もちろん、まだ仕事もあって健康体でそばに身内もいる状況だからそう思えるのかもしれない。これがリタイア後に高齢で病気がちで交流する身内も無かったら全然違う感覚になるのだろうか。
とはいえ、その頃には立派な偏屈ジジイになっているだろうから一人でも世間に文句ばかりつぶやきながらそれなりに退屈せずに暮らしている気もする。あと10年もすればそんな暮らしが始まりそうだ。人生って長いようで短いことを最近になって感じるようになった。
寒空の下、結構な時間をかけてこんな写真を撮っていられたのも一人だからこそだ。誰かと一緒ならいつまでも粘ってはいられない。かつて水中写真にハマった頃は他の客との混合スタイルがイヤで一人でボートや船頭さん、水中ガイドをチャーターして潜っていたワガママな性分を思い出した。
大晦日にはちゃんと一人用に年越しそばを茹でてズルズルとすすり、夜の紅白はオジサマバンドの中核メンバー3人で歌ごとにチャットを使ってあーでもないこーでもないとリアルタイムで寸評合戦。退屈な場面も多い紅白だがおかげで最初から最後まで通して観ることが出来た。
元旦には朝からナゼかチキンライスを自作してガッツリと食べノンビリ過ごしてからドライブに出かけた。昔は趣味といえるほどドライブばかりしていたが、ここ数年は用事がある時しかハンドルを握らなくなった。
思い立ってガラガラの都内中心部から下町方面、湾岸エリアを走り回ったのだが、思った以上に楽しい時間だった。一人遊びとして実に最適なのがドライブだと痛感した。
若い頃みたいに無茶な運転もしなくなりノホホンと鼻歌気分で気ままに流す。かつてバックで走っても105キロを超えたら警告チャイムが鳴るのか試したような気が狂った運転をしていたことを思い出して今更ながらゾっとする。
私のクルマには10個のスピーカーからなるHarman Kardonのオーディオが装着されている。大音量にしても繊細な音質で耳が疲れないのが有難い。敬愛するハマショー師匠の曲に飽きるとプレスリーなどのオールディーズや80年代の洋楽を流してご機嫌な時間を過ごした。
うろうろと都内を流していたのだが、高速に乗っていたら静岡あたりまで行きそうな距離をあてもないまま走り続けた。とてもリフレッシュ出来た。
その後、浅草にクルマを駐めてしばし散策。元旦なのにさすがに大観光地だから人出が多くてゲンナリする。歩いているだけでコロナ菌を浴びまくってしまうように感じたほど。クルマだから酒が飲めないこともあり飲食店にはどこにも入らず散歩だけで終わり。
他は自宅で引きこもりやたらと撮り貯め状態になっていたテレビ番組をせっせと観た。「月曜から夜更かし」「水曜日のダウンタウン」みたいなバラエティを1ヶ月分ぐらい観た。
固い分野では柄本明が渋い床屋さんを演じた単発ドラマ「海が見える理髪店」が良かった。何年か前に原作本を読んでいたのだが柄本明の独特な雰囲気で再現されていてジンワリと感動した。
誰かと一緒に観ていたらスカした顔をキープしたはずだが誰もいないからちょっと泣いた。これまた一人でいることの効能である。“涙活”も健康法の一つである。
そういえば年末ジャンボでちょっとした幸せを味わった。今まで300円の当たりしか経験が無かったのだが、今回は人生初の3千円の当たりくじがあって狂喜乱舞したのも束の間、なんと1万円の当たりくじも見つけて気絶しそうになった。
運を使い果たしたみたいで心配したがあくまで昨年の話だから大丈夫だろう。ちなみに年末ジャンボは1万8千円分購入していたのでトータルでは赤字だった。私の幸運なんて結局そんなもんだ。
というわけで、たいして特徴の無い時間ではあったがそれはそれで良いリフレッシュになった。ひとりきりの時間って結局は気分の置き方一つで楽しいか淋しいかが決まる。あくまで貴重な時間だと前向きに捉えるのが正しいと思う。
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