2023年12月15日金曜日

江戸と東京


12月中旬は言うまでもなく忠臣蔵に思いを馳せる時期である。赤穂浪士による吉良上野介への仇討ちである。小学生の頃、いわば半世紀近く前にこの一件を知って以来、私は忠臣蔵ネタが好きだ。

 

過去にもこのブログで何度も触れてきた。最近は若者世代にはこの話をまったく知らない人も増えているのが残念だ。最近は忠臣蔵関連の大型企画も見当たらない。ちょっと問題だと思う。

https://news.yahoo.co.jp/articles/be46799c9397a54f8d84323bce180df5adfaf035


時代に必要とされてないなら哀しい。このまま廃れさせてはいけない。目黒蓮を浅野内匠頭、大石内蔵助にはキムタクあたりをキャスティングして映画化してくれないと貴重な文化が失われそうで心配だ。


ついでに以前にいろいろ書いてみた忠臣蔵関連の話を改めて載せてみる。

 

★忠臣蔵こそ

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2013/12/blog-post_11.html

 

★浮き様になりたい

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2015/12/blog-post_14.html

 

私はプチ歴史好きである。マニアなどと表現するには知識が中途半端だからあくまでプチである。理数系が劇的に苦手だった反面、国語や日本史の勉強にはちゃんと向き合った。

 

歴史モノが好きになったきっかけは子供の頃に読んだ源義経物語だったと思う。呑気な次男坊である私が「悲劇の次男」という点に興味を持ったのが原点だ。読んだ本の挿絵に描かれていた義経は当然のようにシュッとしたイケメンで、ドラマや映画でも二枚目俳優が演じていた。

 

大人になってから義経と言われる人物画を見て卒倒しそうになった。頼りないヤカラ?みたいな雰囲気だ。私の義経像が音を立てて崩れたのは言うまでもない。

 



わりと読書好きな少年時代を過ごしたが、歴史好きなくせに夢中になったのはSFや恋愛モノが多かった。歴史上の偉人の伝記モノはちょっと説教臭くて敬遠していた。ただ、ムック本などで史実の掘り下げ系みたいなものは喜んで読んでいた

 

歴史が好きなのは単純に妄想することが楽しいからだ。自分が生きているこの国で数百年前に様々な人間ドラマが展開されていたかと思うと楽しくボケっと妄想に浸れる。

 

旅に出れば城やその土地の歴史資料館的な場所を覗きたくなる。いま自分が立っている場所でどんなことが起きていたのか、どんな人々の暮らしがあったのかを考えるのが楽しい。

 ★姫路城萌え

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2016/04/blog-post_27.html

 

だから基本的に日本史しか興味がない。同じ気候風土に覆われた馴染みのある場所じゃないと妄想が膨らまない。世界史の登場人物は当然ながら人名がカタカナだから覚えられない。日本っぽい漢字表記じゃないと頭に入らない。

 

5年ほど前に中央区に引っ越してからそれまであまり興味がなかった時代モノの短編小説を読み漁るようになった。自分が暮らす街が物語の舞台として出てくるから妙な親近感を覚えたのがきっかけだ。

 

山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平などの人情モノみたいな話を好んで読むようになった。50代になってからの歴史物デビューだから当然読んでない本ばかり。これからたくさんの名作に出会えるのが楽しみだ。

 

山本周五郎の短編集などは私が生まれる以前に発表された作品ばかりだが、内容が昔の話だから古さは感じない。人情モノはあくまで市井の人々の心の動きや切ない感情が描かれている。そこに時代の差は無いのが魅力だ。

 

そうした歴史小説は江戸の街を舞台にしているものが多い。日本橋界隈はもちろん、与力・同心が暮らした八丁堀や小伝馬町の牢屋敷、佃島の人足寄場をはじめ隅田川沿いの情景描写も頻繁に出てくる。今の住まいから近いエリアだから何となく身近に感じる。自分が過ごしている場所の100年、200年前の人間模様を想像できるのが妙に楽しい。

 ★歴史散歩

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2019/08/blog-post_9.html

 

考えてみれば東京中心部は「明治維新の現場」に他ならない。ここに晩年の徳川慶喜の家があった、あそこで大久保利通が暗殺された、あっちには渋沢栄一の別宅があった等々、そんな目線で眺めてみるのも結構楽しい。

 

忠臣蔵の話からずいぶんとズレてしまった。あの話だって今の両国駅のそばにある吉良さんの屋敷がクライマックスの舞台だ。討ち入りを果たした浪士達は吉良さんの首を槍の柄にくくりつけて行進した。

 

歩いたコースは武家屋敷が集まる地域を避けて町人エリアが選ばれた。隅田川を渡るのも吉良邸に近い両国橋は避けて永代橋を選びそこから鉄砲洲、汐留あたりを通って高輪の泉岳寺まで向かった。このコースはいわば「赤穂浪士行進コース」である。日頃何気なく通っている道にもそんな歴史があるわけだから面白い。

 

そう考えると歴史とは実に身近なものだと痛感する。歴史などと書くと勉強を思い出して厄介な感じもするが、言い換えれば単なる「時代の違い」である。そう捉えて今と昔を比べてみるだけで案外楽しい気持ちになれる。




 

 

 

 

 

 

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