今年も半分が終わった。びっくりだ。私個人の上半期は膝の負傷、長引いた結膜炎、通算3度目のコロナ感染と体調面にいろいろ問題があった。下半期は何もない事を祈っているのだが、7月に入って早々にまたもや気になることが起きた。
半年ぶりに膵臓を超音波内視鏡でチェックしてもらったのだが、懸案のデキモノがちょっと成長してしまったようで要注意状態になってしまった。
一昨年から監視しているデキモノだが、昨年は大きさに変化がなく生検でも悪性ではなかったので様子見をしていた。ところが今回調べたら1,5倍になっていたとか。サイズ的には3ミリだったものが4,5ミリだからたいしたことはなさそうだが、ドクターによると6~7ミリになったら「ちょっとヤバい」とのこと。
そのぐらいのサイズになったら開腹手術をしたほうがいいと言われてさすがの私も少しビビり気味である。腹腔鏡とやらでチャチャっとやって欲しいと言ってみたのだが、膵頭部にあるデキモノだと場所の関係上、開腹手術になるらしい。そうなったら2週間は入院だとか。オイオイ!って感じである。
この日は内視鏡検査のために朝から何も食べずに過ごしていた。検査は14時半からだったので空腹バリバリだった。検査後のドカ食いのことしか考えていなかったのに怖い話を聞かされたせいで食欲が一気に無くなった。
検査は日本橋高島屋に近いクリニックだったので、検査後は高島屋の中の資生堂パーラーでオムライスとグラタンをガッツリ食べる予定にしていた。ところがションボリモードになった私はクリニックを出た後、どこをどう歩いたのかも覚えていないほど呆然としていた。
というのはウソです。検査でちょっとバテたのでまずはゆっくりタバコを吸おうと高島屋の近くにある喫茶店に向かう。時々タバコ休憩に利用している老舗の喫茶店「げるぼあ」だ。
実はこの店、“喫茶店オムライス業界”では名の知れた人気店である。私はタバコ休憩でしか使ったことがないので食べたことはないが、ランチ時はかなり賑わうらしい。
中途半端な午後の時間だ。お客さんもまばら。一服してたらアッという間に空腹の絶頂にいることを思い出した。ついでにこの店のオムライスが人気だということも思い出した。俄然食べる気満々モードに突入した。
注文したのは当然のごとくオムライスだ。ついでにナポリタンも頼んでしまった。いまさっきまでウツウツしていた還暦間近のオジサンにしてはヤンチャな行動だと思う。
昔ながらの正統派オムライスがやってきた。いまどきのふわとろオムライスも捨てがたいが「喫茶メシ」だからこんな感じの仕上がりが何だか嬉しい。素直にウマい。奇をてらわない普通な感じが妙に落ち着く。チキンライスの味もしっかりめでバランスが良かった。
開腹手術ってこんな感じで腹をかっさばかれてケチャップみたいに血がドバドバ出るのかなあ、などと我が身に置き換えてイヤな想像も頭をよぎる。でも空腹が勝ってそんな恐怖はすぐに引っ込んでガツガツと食べ進んだ。
昔ながらのオムライスにホッコリするとともに「つけ合わせスパゲッティ」に久しぶりに出会ってムホムホした気分になった。実は私はこれが大好物である。たいていは味がない。具もない。味気ない。そして冷たい。でも何だか私の心を捉えて離さない。
きっと単品でこれだけが出てきたらちっとも嬉しくないのだろうが、洋食メニューの横にチョコンと鎮座していると途端に愛おしくなる。箸休め的に少しずつ食べる。
味がないから漬物みたいに主張してくるわけでもなく、メインの食べものに戻った際にまた味覚を甦らせて主役を引き立ててくれる名脇役だと思う。脇役というよりエキストラ程度の立ち位置かもしれない。
続いてナポリタンが鉄板の上でジュージューいいながら登場。これまた昔ながらの王道の風格が漂っている。日本人が生んだ奇跡の一品と表現しても大げさではない。いつかイタリア・ナポリに専門店を作ってみたいものだ。
朝から何も食べていない午後3時半過ぎの食事である。2品しっかり食べてちょうどよいぐらいだった。実に幸福な気分になって膵臓問題をしばし忘れた。「食」という文字は「人」を「良」くするで構成されている意味を痛感した。
さてさて、膵臓問題は年末に改めて超音波内視鏡でデキモノのサイズを測って成長度合いによって検討することになった。どのみちいつかは大きくなっちゃうのだろう。いわばしばらくは執行猶予状態である。
考えようによっては早い段階から敵を見つけてしっかり監視できているわけだから運が良いとも言える。物事は前向きに解釈しないとしょうがないからそう思い込むことにした。
0 件のコメント:
コメントを投稿