2025年2月19日水曜日

血染めの梅など

 

梅の季節だ。寒空に凛と咲くあの可憐な姿は実に美しいと思う。つぼみがはち切れんばかりに膨らんでいるのを見ると妙に愛おしく感じる。

 

桜ももちろん美しいが、梅のけなげな雰囲気に比べると憂いが無さ過ぎるというか、自慢げな?様子がちょっと鼻につく。それに比べると梅の花にはどこなく“品”や“徳”を感じる。

 

ほのかな香りも良い。そろそろ冬も後半だなあと感じさせる。白、赤、黄、ピンクそれぞれが競うように咲き誇っている場所にいるといつまでも眺めていたくなる。

 

梅の花がチラホラと咲き始めた某日、ふらっと泉岳寺に行ってきた。47人の赤穂浪士が浅野の殿様と眠る場所だ。1214日が討ち入り決行の日として有名だが、あれは旧暦なので現代の季節感覚でいうとちょうど今頃に当たる。

 


 

以前ここに来た際はコロナの影響で記念館が閉館していたので今回はそこをじっくり見学するのが目的だった。かといって義士たちのお墓参りをしないわけには行かないのでそちら側にも行く。

 

300円で強制的にお線香を売りつけられた。このシステムはいつからだろう。以前はなかったと思うが、拝観料だと思えば仕方ない。忠臣蔵ファンとしては数セット買ってもいいぐらいである。

 



売り場の人は「100本ほどありますので義士一人につき2本づつお備えください」などと言っていた。さすがにそれは厄介なので大石内蔵助サマの墓前に100本まとめてお供えする。

 

墓所の周辺には吉良サンの首を洗ったと伝わる井戸の他に浅野の殿様が切腹した際に血しぶきが飛んだと言われる石や梅の木がある。おどろおどろしいいわれだが梅は梅だ。この日もけなげに咲いていた。

 



 

討ち入りは300年前の話だから血染めの梅の木が本当の話かどうかビミョーではある。とはいえ、梅の木の中には400年、500年もの樹齢を記録したものもあるらしいからホンモノの可能性も充分にあるわけだ。

 

次の週、今度は亀戸天神まで梅を眺めに行ってきた。太宰府の本家も文京区の湯島天神もそうだが、梅を好んだ菅原道真を祀る天神様には梅の名所は多い。

 

全体にはまだ5分咲き程度だったが、梅はつぼみの姿も風流だから桜とは違って満開うんぬんはあまり気にならない。適度に咲いてくれていれば充分にその美しさに魅了される。

 





 この日はぽかぽか陽気だったからじっくりと梅の花弁を観察しても寒くないので助かった。時折メジロみたいな鳥もやってくる。その都度「オー!ジャパン、ワンダフルですね~」とつぶやきたくなった。

 

東京のどこへ行っても人が集まる場所には外国人がテンコ盛りだが、さすがに亀戸天神あたりだと外国人旅行者はチラホラ程度だ。わざわざ晴天の昼下がりに亀戸まで来る外国人が多いはずもないが、逆に言えば少数ながら梅を愛でに来ていた外国人もいるわけだからその人達のセンスには脱帽である。

 

十数年前からマンション暮らしになったが、それ以前に住んでいた戸建ての家には玄関の近くに梅の木を植えていた。今となっては「マイ梅」を楽しむには室内に盆栽として置くしかない。

 

とはいえ、梅の木は成長が早いし虫も付きやすいからモノグサな私には現実的ではない。ちょっと残念だ。生まれ変わった次の人生では結構な屋敷に暮らして広大な庭に梅林を用意してみたい。

 

いや、来世を待たずとも、もしも無駄に長生きしちゃってそこそこ元気だったら田舎に引っ込んで梅の木を眺めて暮らしてみようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

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