2015年2月23日月曜日

水中写真の今昔

もう1年半もダイビングをしていない。30年近くの潜水キャリアの中でこんなにブランクが空いたのは初めてだ。

このままやめちゃえば海で事故に遭うことはないから、それはそれでいいかとも思い始めていたが、新しいコンデジを買ったせいで、俄然潜りたいモードが高まってきた。

潜りたいというより、久しぶりに水中写真に熱中したいという気分である。

水中撮影歴はかれこれ30年近くになる。すべて我流なので大した写真は撮れないが、自分にとってはとても楽しい趣味だ。

25年ぐらい前から重い一眼レフを更に重い金属製防水ケースに格納してエッチラオッチラ潜っていたのだが、さすがに時代は変わった。

軽量小型のミラーレス一眼の普及とともに防水ケースもプラスティック(ポリカーボネート)製が主流になってきた。安価で軽いから昔の苦労に比べればラクラクである。

もっとビックリなのがコンパクトデジカメの進化である。昔と違ってシャッターのタイムラグも解消し描写力も凄く進化した。

一昨年、オリンパスのTG-1というコンデジを水中で使った時には大げさではなくただただビックリした。



端的に言って10~20年前の高価な一眼レフより綺麗に撮影できる。なんだか複雑な気持ちになったことを覚えている。

先日衝動買いしたのは、更に進化したTG-3というコンデジ。オリンパスは顕微鏡メーカーでもある。今回買ってみたコンデジにも「顕微鏡モード」なる超接写機能が搭載されている。

http://olympus-imaging.jp/product/compact/tg3/feature2.html

被写体とレンズが触れるような距離でもしっかりピントが合う。これは水中撮影にこそ威力を発揮するはずだ。

問題はストロボである。水中写真は光源無しで撮影すると青かぶりするので昼間でもストロボを使う。

顕微鏡モードだと被写体にくっつくぐらいの距離で撮影するから内蔵フラッシュはもちろん、外部ストロボの位置を調整してもカメラ本体が邪魔になる。上手く被写体を照射するのは難しい。

で、ネットの世界をウロウロ覗いていたら、水中専用のリングライトをオリジナルで作っている人を発見。


単純にいえば、カメラ本体のフラッシュの光をレンズ周囲に円形に設置したフィルターを介して均一に光らせる仕組み。この画像の商品のような機能を水中で使えるようにした商品だ。

Facebook経由で連絡を取ってみた。在庫切れとのこと。あきらめようと思ったが1か月も待てば制作可能だそうで、さっそく頼んだ。そのうち秘密兵器がやってくる予定だ。

これを装着すれば、老若男女どんな人でも簡単に持ち運びできるサイズのカメラセットでプロもビックリのマクロ撮影が可能になる。

その昔、タカアシガニみたいな撮影機材を使っていた頃に比べると、まさに隔世の感がある。長生きはするものである。

ニコンの水中専用カメラ「ニコノス」が主流だった30年ぐらい前までは、マクロ撮影は至難のワザだった。

25年ぐらい前に一眼レフを防水ケースに格納して撮影するパターンが一気に普及してから、水中写真の世界は大きく変わったような気がする。




タツノオトシゴの仲間である全長2センチ程度のピグミーシーホースとか、ガラスハゼとか、肉眼では確認できないようなちっぽけな生き物がダイバーにとってのアイドルになったのもマクロ撮影の普及が理由だろう。

全長1センチや2センチだとそれなりに撮影は大変だが、10センチ程度のハゼやクマノミあたりだったら初心者でも割と簡単に撮影可能だ。

広角レンズでの撮影のほうが構図や距離感、透明度との兼ね合いなど綺麗な写真を撮るのは難しい。

画角180度ぐらいの超広角レンズだったら尚更しんどい。ストロボの照射範囲、画面の歪みなども絡むので、かなり厄介なシロモノだ。



ということで、マクロ撮影が主流派のようになった昨今の水中写真事情だが、コンデジが顕微鏡レベルになっているのだから益々そうした傾向は強まるのだと思う。

私がダイビングを始めた頃には、見たことも聞いたこともなかったような小さなエビ、カニ類、極彩色のウミウシなど、ヘンテコな面々が注目されるようになったのもマクロ撮影の恩恵だ。




なんだか、誰に向けて解説しているのだか分からない書きぶりになってしまった。

ということで、新しいコンデジのマクロ機能を試したくて、近いうちに久々の水中撮影旅行を計画中である。

フィリピンやタイ、マレーシアあたりの自然豊かな島を攻めたいのだが、イスラム過激派の問題があるので目的地選びに難儀している。

東南アジアでのあの手の集団の襲撃・誘拐は、その多くが周囲から離れた孤島のリゾートがターゲットになっている。困ったものだ。

さんざん検討した結果、フィリピンのプエルトガレラを候補地にしている。10年ほど前に潜りに行ったことがある場所だ。

マニラから車と船で3~4時間、離れ小島的な位置関係ではなく、市街地の延長みたいな感じ。それなのに水中は適度な透明度があってやたらと生物層が豊富だった記憶がある。

日本人にはポピュラーではないが、世界中からダイビング目的の旅行者が集まってくる。ビーチ沿いには小さい宿とレストランとダイビングショップが数え切れないほどグチャグチャ並んでいる。

問題はやたらと白人旅行者で賑わっている点である。静かな大自然のリゾートという雰囲気ではなく、ゴーゴーバーまで営業している雑多な感じ。

まあ、朝から夜まで退屈しないで過ごせる場所だから、多分一人旅になる私としてはちょうどいいはずだ。

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