昔から東京23区ごとの“格差”は厳然と存在したが、最近その風潮がより強くなってきたように思う。
もう20年以上前だったろうか、泉麻人の「東京23区物語」という笑いなくしては読めない名著を読んだ。サブカルチャー本のハシリみたいなものだろうか。
高級住宅街を擁する千代田区はエライとか、六本木があるから港区はイケてるとか、足立区はどうした、江戸川区はどうだ、練馬板橋どっちもどっちみたいなテーマが軽いノリで分析されていた。
ダサイタマ、チバラギみたいなちょっとしたプチ差別ネタの23区限定版だから流行に敏感だった若者東京人としては抱腹絶倒モノだった。
いま同じ趣旨で出版を計画してもチョット難しいのではないか。当時は笑って済んだものが、いまはシャレにならない感じがする。そのぐらいエリアの“差”は進行していると思う。
2~3年前、どこかの雑誌で、23区ごとの特徴を統計データで紹介する企画があった。ベンツの登録台数は○△区が一番多くて、○×区はビリとかいうデータが並んでいた。空き巣被害が多いか少ないか、私立小学生に通う子供の割合が多いか少ないかなど、いろんなジャンルでシビアな結果が出ていた。
エリアごとの格差が広がるのは、ある意味当然の話。資本主義だとか、自由主義経済とか言いだす前から、お金持ちが集まるエリア、そうでない人が集まるエリアは決まっていた。逆にいえば、横並びのほうが不自然なんだろう。
特定のエリアへの憧れは、成功者が住まいを選ぶきっかけにもなる。それがエリア全体の相乗効果となって街全体が“上昇”していく。
アメリカでは、人との交流が始まる時、まず住まいがどの辺にあるのかを聞かれるそうだ。住んでいる場所でその人がどの程度のレベルで活躍しているかを確認し合う意味があるわけだ。
もちろん、わが国でも住まいの場所を聞いて感心することはあるが、明確に線引きを感じるような場所はほとんどなかったような気がする。ある意味、それが東京のこれまでの姿だったのだろう。
私自身、現在の居住地が終の棲家とは思いたくない。隣の敷地が売りに出ても魅力を感じないし、そんな余裕があったら違うエリアに脱出したいと考える。
会社を構える場所だって同じ。わが社もかねてから移転を検討しているが、複合的な理由でなかなか実現しない。
ちなみに中小零細企業では、慢性的な人材問題を抱えているケースが多い。業種によっては、人材採用のためだけに本社所在地を“聞こえのいい場所”に移すことも珍しくない。
先日もある専門士業事務所経営者から同じような趣旨の話を聞いた。人材確保だけを目的に都内某所から中心部に移転、新しいオフィスで求人募集すると応募者が10倍程度に増えたとか。若者の姿勢に「なんだかなあー」といった印象もあるが、それが現実。
「いい環境にいい人が住む」。言葉にすると単純だが、本当の地方自治って結局はそこに行き着く。
小さな政府、地方分権の推進は今後のわが国がたどる既定路線だ。スピードはともかく必ずその方向にすべてが進んでいく。
その時、「いい環境」には歴然とした差がつくわけだ。学校をはじめ、治安、衛生面、福祉、道路や公園などの細かいものまでジワジワとそして確実に格差は広がる。
「いい環境」にいる人はそれを維持しようと地域を大事にし、さまざまなルールも作り独自の空気を醸成していく。気にしない住民は必然的に「どうでもいい環境」に転出する。
「どうでもいい環境」にいた前向きな住民は「いい環境」を目指しはじめる。循環の結果は誰でも分かる。明確な地域格差だ。
補助金、助成金漬けで、本来バラバラでも不自然ではないはずの地方税の税率すら横並びになるよう国から一元管理を受けているのが今の自治体の姿だ。
土地や家を持っている人に課税される固定資産税。都道府県が管轄して課税するものだが、どこの自治体でも「標準税率」を画一的に使っている。
制度上、「ウチの県は隣の県より安い税率にします」という競争は可能だが、国がちらつかせる別な部分の制限のせいで、現実には、どこも同じ税率を強制されているようなもの。
国をあげて高度成長を目指そうとした時代の仕組みが、現在の均一重視社会を生んだ。もちろん、その居心地の良さを支持する人も多いだろうが、今後の活性化にはかえって障害になる。
地方分権が進めば、想像以上のスピードで街の格差は進む。私もそれまでにちゃんと富豪になっていないといけない。。。
その時、○△区や○×区はどんな状態になるのだろう。プチ差別などと笑っていられるうちは、まだ平和なんだと思う。
このTシャツいいですね。
返信削除一体どこで手に入れたんでしょう?
しかしこの良さは・・・。
きっと一部の人には強烈に伝わると思いますけど・・・。
素晴らしいでしょう!!シュールなデザイン。
返信削除オタクの聖地・中野ブロードウェイで発見しました。
まともな店では置かないのでしょうか。。。