先週後半、衆院選に立候補していた知人の選挙事務所を訪ねた。事務所内には支援者から送られた酒が所狭しと山積みされている。陣中見舞いには酒というイメージのせいか日本酒の一升瓶ばかり。
思えば、日本中の選挙事務所で同様の光景が繰り広げられていたわけだ。正月前や祭礼前に神社に届けられる日本酒と同様、儀礼的な酒の流通がすごく活発化していたはずだ。酒屋さんにとっては特需のひとつだろう。
あの手の日本酒はどうなるのだろう?。その後の会合に提供するにしてもさすがに全部呑みきれるものでもないらしい。聞くところによると、候補者やその身内に大酒飲みがいれば時間をかけて消化していくそうだ。
私がこういう陣中見舞いに利用するのは酒ではなく栄養ドリンク。せっかく贈っても埋没しそうな酒より栄養ドリンクをあれこれ詰め合わせて笑えるぐらい大量に贈るようにしている。
さてさて選挙結果の話。異常なまでの民主党圧勝だったので、当選しちゃった比例単独立候補者のなかにどのぐらいトンチンカンな人がいるか注目してみた。
4年前の小泉郵政フィーバー選挙の時に“タイゾー議員”を生み出しちゃったようなハプニングに期待したが、その反省もあったのだろう。割と経歴・キャリアの点でフツーの人々が大半だった。
それでも東海地区かどこかで、政治歴ゼロのアルバイト女性が当選しちゃったという話があった。この女性、公示直前に友人の参院議員に名簿への氏名搭載を要請されたのだという。
このほかにも、今年3月の市議会議員選挙で最下位で落選した人が今回比例名簿に登載され、結果的に代議士センセイになっちゃったケースもあった。
ちなみにこれらのセンセイにも給料以外に諸経費、公設秘書人件費、事務所費など年間数千万円にのぼる税金が投入される。
さて今回の民主党の圧勝劇、永田町で困った自体になっているのが、「政策秘書」不足。国会議員には公設秘書2名だけでなく、政策秘書も国の負担で雇うことが可能。ただ、公設秘書はレッキとした国家資格。誰もがなれるわけではない。
国家試験以外にも公設秘書歴10年以上といった条件で政策秘書資格は入手できるが、当然、こうしたベテラン秘書はベテラン議員の下で働いている。新人議員のもとにはなかなか回ってこない。
落選した多くの自民党議員のもとで働いていた秘書を雇うにも、新人ではツテもないし、対立政党であればスパイ疑惑もついてまわる。
議員秘書も議員秘書で、彼らなりの年金加入期間の問題などもあり、違う仕事への転出はなかなか難しい。かといって敵対政党の議員のもとに子分として使えるのも厄介という事情もある。
政策秘書給与はあくまで国会から支給される。親分である国会議員から支給されるわけじゃない。かといって親分が失職すれば、国会からの給与は出なくなるから大変。
結局、一般的なパターンとしては親分落選の際には、同一政党の別の議員に引き取ってもらうことが多いようだ。
ちなみに今回の選挙に関するどうでもいい雑感をいくつか。
やはり投票率がカギだったんだと思う。今回の選挙結果についてメディアでは小選挙区制特有の現象という分析が盛んだ。もちろん、1人を選ぶという意味では風次第で大きく勢力図が変わるのは当然だが、それも結局は投票率がモノをいう。
その証拠に与党ボロ負けの初夏の都議選で立候補者全員当選という力を見せつけた公明党が、今回小選挙区で全敗したことがあげられる。
公明党はいわゆる基礎票が固く、当然投票行動はぶれない。にもかかわらず、代表も幹事長も落選した理由は投票率だろう。70%近い投票率であれば、特定団体を母体とする政党であっても議席獲得の計算が難しいいことが露呈した格好だ。
次に財政支出の見直しについて。民主党政権は予算組み換えを断行することで数兆円単位の予算を捻出する方針だ。財政規律派に分類される民主党の幹部連中ですら口を揃えて実現可能だと胸を張る。いわく、「しがらみがないから実現可能」。「過去の否定が自己否定にならないから実現可能」という論理だ。
もっともな話ではある。確かにガラガラポンが断行されることが期待できる。でもホントにそんなにスムーズに財政構造が変えられるなら、逆に変えてこなかった自民党の罪はもの凄く重い。
避けられた国債発行、避けられた財政出動はすべて時の為政者の責任問題である。単純に犯罪行為と断定できよう。それが判明しても責任をとる仕組みやルールがない以上、誰も糾弾されずに無責任な空気は蔓延し続ける。
なんか、こんな雑感を書いていてもキリがないので最後にひとつだけ少しコワい話。
20年ほど前、某カルト宗教団体が突然政党を結成して衆院選に登場。奇抜な選挙戦で話題を集めたものの結局は泡沫候補として惨敗。
問題はそこから。カルト団体は選挙に惨敗したことで、やたらと厭世観を強めるかのようにおかしな方向にどんどん変化。結局、世にも恐ろしい一大テロ事件を起こしたことはご存じの通り。
今回の選挙でも、某宗教団体がもの凄い威勢の良さで選挙戦に登場。結果はご覧の通り。普通に捲土重来を目指すのならどうでもいいのだが、さすがに信仰という共通項があるせいで、ついつい変な“前例”が気になってしまう。
選挙惨敗後の暴走。そんな想像をしているのは私ぐらいだろうか。。。
『トンチンカンな人』で言うと、わが選挙区の当選者はちょっと心配。
返信削除小沢チルドレン典型的な「見栄えのいい女性」議員なのですが、地元の新聞折込やってる会社の社長が、「全く支払をしてくれない」と嘆いてました。
都議選の時の同じ党の立候補者にそのことを言ったら全部立て替えてくれたらしいですけど。
肩書きも「元NGO役員」ということなので、ちょっと社会ズレした人なのかなと。
でも、必ずしもベテランや経験者が優れていて未経験者はダメだ、ということにはならないはずなので、新政権には『未経験』を武器にゼロベースで立て直してほしいですね。
カネ払いの悪い議員センセイ・・・。
返信削除これってタチ悪いですね。
世間ずれ、世間ずれという次元じゃなくて、
人としていかがなもんでしょう。
いずれにせよ、民主党旋風に
世の経営者層はどの程度危惧
を持っているのでしょうかね。
一国民としては、エキサイティングな
感覚に陥る部分はあるものの、
締め付けがきつくなるのが明白な経営者
としての立場では、どう見てるんでしょうか。。
ちょっと空恐ろしいのが実感です。
某宗教団体は保守を自称していますねねぇ。
返信削除保守系思想と宗教ってなんだか相容れないような気がするのですが。
それにしても女優の小川知子さんは今回の選挙で活躍されたのでしょうか?
以前、拡声器を持って威勢良く声を張り上げて行進する小川知子さんを見たのですが、田中真紀子さん並に冗舌で強烈な印象を受けました。
例の女優については、選挙前に週刊誌がずいぶんと追っかけてたみたいですね。
返信削除なぜ、選挙の顔になっていないのかという点については、宗教団体と距離をとりはじめた説とか家族の介護で忙しい説とかがあったみたいですね。
そういえば景山民男もなつかしいですね。