東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2011年7月22日金曜日
靴バカ一代・パリ編
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★★★2016年7月11日追記 ・・・ 「靴バカ一代 ロンドン編」を下記にアップしました。
http://fugoh-kisya.blogspot.jp/2016/07/blog-post_11.html
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昔、空手バカ一代という漫画があった。文字通り空手の修行にすべてを賭けた故・大山倍達氏の生きざまを描いた作品。
大げさだが、私の今回の靴屋めぐりは「靴バカ一代」と言えそうな偏執狂ぶりだった。
セールのせいだ。パリ中でバカンス前のヤケのヤンパチみたいなセールを展開している時期だったので、ついつい靴の専門店を巡り歩いた。
美術館めぐりと、ここでは書けない秘密の時間の他は、靴屋めぐりに東奔西走した。あとはカフェでタバコや葉巻をふかしていただけだった気がする。
インターネットの世界は有難いもので、「靴バカ一代」の先輩方が数々の情報を載せている。お陰で覗いてみたい店の所在地はあらかた事前にリサーチできていた。
地図を片手に地下鉄とタクシーを駆使してあちこち訪ね歩いた。
結果、タニノクリスチーを2足、クロケット&ジョーンズを2足、カルミナを2足、エドワードグリーンを1足、そしてJMウェストンを1足、その他1足の合計9足も買ってしまった。
統一感もポリシーもあったものではない。なんでもアリみたいで、我ながらいかがなモノかと思う。
でも、異種格闘技を極めて空手バカになっていくように、バラエティーに富んだ靴に足をすべらせ続けることが「靴バカ一代」への道だと自分に言い聞かせている。ちょっと強引だ。
パリだけの滞在だったのだが、上記した靴はイタリア靴が3足、イギリス靴が3足、スペイン靴が2足、フランス靴が1足という結果になった。
フランス靴が少ない。その点が残念だ。
イタリアの名門・タニノクリスチーはパリ店の情報を事前に入手できなかったのだが、シャンゼリゼ・ジョルジュサンクにほど近い道をタクシーで通過中に偶然発見した。
トレビアーンな店員さんに萌える。はじめて知ったのだが、タニノクリスチーは廃業が間近だという。銀座の並木通りにある直営店も9月には閉店するらしい。
パリ店も閉店セールで投げ売り状態。日本の定価を考えたら半値以下。サイズが合えば買うっきゃない。私のサイズの在庫をすべて出してもらった。
ダークオークカラーのショートブーツと紐靴が気に入ったので購入。ついでに靴べらなどを可愛くオネダリしてまんまとゲット。
店員さんとしばし雑談。多分半分以上通じていない。私の場合、外国の人とは勝手な想像と思い込みだけで会話を成立させる特技があるので、それなりに楽しい時間を過ごす。
私「失業しちゃっうと大変だね。マドモワゼル」
店員さん「そうなんです。でも心配してくださるなんて感激だわ。もうアナタに夢中です。お食事でもご一緒しませんか、ムッシュ・・」。
私「そうしたいところですが、私にはこれから何件も靴屋をめぐる修行が課せられているので、残念ですが、夢の中でお会いしましょう」
こんなムーディーな会話が二人だけの店内で交わされたわけだ。
話を戻す。天下の「ジョンロブ」も見て回ったが、価格面で魅力のある靴に出会わなかった。
ジョンロブと並び称される英国の雄・エドワードグリーンでは、陽気な店員さんが1時間以上、取っ替え引っ替え試し履きをする私に付き合ってくれた。
ここでも日本の4割安ぐらいの価格で気にいった靴が買えた。
クロケット&ジョーンズでは、1万円台でプレーンなモカシンを売っていたので、旅行中の散歩靴として購入。実は、この店をめぐっては非常に有難い経験をした。
パリ3日目の朝、カメラをバックごと無くしていることに気付く。昨年買ったばかりのオリンパスの小型一眼で交換レンズもバックに入れていた。
どこかに置き忘れてきたのだろうが、アチコチさまよっていたから見当もつかない。大体、そんなもの拾ったまま貰っちゃう人を責められないし、仕方なく損害がカメラだけだったことに安堵してあきらめていた。
その後、なんと東京の留守宅に電話が入った。クロケット&ジョーンズの店員さんから「カメラを預かっている」という内容だった。
店で電話番号を伝えた記憶はない。考えてみたら、その時、近隣のエドワードグリーンでも買い物をしてロゴの入った紙袋を持っていたから、わざわざ、そちらの店に問い合せて私の自宅の連絡先を調べてくれたようだ。
エドワードグリーンでは、付加価値税の還付用の書類に住所や電話番号を記入したから、そこから辿って連絡してくれたのだろう。英国靴メーカーの名門同士だ。フランスにあっても紳士だかなり感動する。
どこの国にも親切な人はいるものだ。昔、通っていた小学校のイヤミなフランス人教師が嫌いだったという理由で、フランス人が苦手だと思っていた自分のウジ虫のような考え方を反省する。
今週水曜の分と今日掲載している画像のほとんどが無くしかけたカメラで撮影している。アレックスという名のイキなフランスオヤジの親切がなければ撮影できなかった画像だ。
靴の話ばかりでもしょうがないから、靴以外の画像をいくつか紹介したい。
まあ基本的に気ままなひとり旅だったので、「課題」の合間にはそれっぽく撮影もしてみた。
最初の画像は映画や印象派絵画の舞台になったポンヌフ橋の隣のナントカ橋で撮影。
欄干に無数の鍵がかけられている。パリを訪れた世界中の恋人どもが永遠の愛を誓ったのだろう。どうせ大半が別れちゃったんだろうが、ちょっとオシャレだ。セピアモードでも撮影してみた。
ステンドグラスの画像はノートルダム寺院に近い教会の名物。今回、唯一といっていい観光っぽい場所。荘厳なステンドグラスに圧倒される。
血液型がA型じゃなければ、こんな細かい作業は出来ないと評した人がいたが、まさにそんな感じ。B型の私には無理だ。
セーヌ川の景色はソフトフォーカスモードを使ってみた。なんかパリにいるみたいな写真になった。パリにいたんだった。
次の写真は泊まったホテル「Lutetia」のロビー階のヒトコマ。こういうセンスはヨーロッパならではなんだろう。
最後の画像は、今回買った唯一のフランス靴(JMウェストン)。ワインレッドと言ってしまうと味気ない。ブルゴーニュ色だ。いわゆるバーガンディー・カラー。
この手の色の靴は中々日本ではお目にかかれない。フランス靴を買うならこういう色合いのものが欲しかったので満足している。
ついでに言えば、この手の色味のベルトも日本ではまず見かけないのだが、今回の旅行では、バーガンディーのベルトも2本購入できた。手に入りにくいという意味ではそれが一番の戦利品かもしれない。
ちなみに小学校から中学にかけて随分と勉強したフランス語が甦ってくることはなかった。
挨拶以外になんとか使えたのは「今日は暑いなあ」、「○×はどこですか?」、「お釣りはいらねえぜ」、「これに決めたよ、ムッシュ」。
そんなもんだ。
中途半端にフランス語らしき言葉を発してみても、フランス語で反応が返ってくるわけだから、まるでダメだ。
その他に気付いた点としては、フライトの時間帯選びが重要だということ。パリ便は往路、復路とも夜便がある。
今回は、行きはJALの昼便、帰りはエールフランスの深夜便を使った。行きは12時間半の飛行時間のうち2時間しか寝られず悶々とする。
残り10時間以上は禁煙対策グッズを咥えたり噛んだり。お酒を飲んで異常にくだらない映画を2本半見たり、持ち込んだ雑誌や本を乱読したが、退屈で退屈で気が変になるかと思った。
帰路は夜11時半にパリを発つ便だったのだが、すべてのサービスをお断りして爆睡モードに突入。途中目覚めるものの、即、睡眠導入剤を飲んで寝る。結果、9時間も寝ていられた。9700キロの距離が実に近く感じた。
で、帰国翌日には、新旧併せて10足以上の靴をせっせと磨いてみた。4~5時間かかった。まるでアホだ。
どうやら靴磨きの快感のために靴を買い続けている。ちょっと病的だ。素敵な女性としょっちゅうデートしないとピカピカになった靴が活躍する場面がない。
ついでに言えば、帰国数日後、会社近くの西武百貨店で出物のイタリア靴を発見して3足も買ってしまった。
さすがに鬼嫁から包丁を突きつけられる可能性を察知して、その3足は自宅に持って帰れないでいる。何してるんだろう、まったく。
旅行で使った費用の総額を試算してみたのだが、まもなく夜逃げ計画を真剣に立てることになりそうだ。
というわけで、極めて個人的嗜好に基づく旅行記に最後まで付き合っていただき有り難うございました。
今後このブログは夜逃げ先でひっそりと更新することになりそうです。
先日こちらの記事を引用させて頂いた者です よけいな心配をおかけしてすいません 一言声をかけてからにすればよかったです
返信削除文章だけでなく写真もお上手ですね ぜいたくな気分になれます
靴をたくさんお持ちですがどのメーカーのものが一番好きですか?