2014年2月5日水曜日

旧友の死


切ない。この言葉しか浮かばない出来事があった。旧友の死。それも1年前に亡くなっていたことを知った。

中学、高校時代、お世辞にも優等生ではなかった我らバカ者グループの中でもユニークな存在だった。陽気で面白い男だった。それこそ毎日のようにバカ遊びしていた。

近年は没交渉だったとはいえ、彼が逝ってしまったことを1年も知らなかったことがショックだった。

個性的な男だったから、若い頃の色々な葛藤と向き合い過ぎたせいで、20代半ば頃から、暮らしぶりは内向的になっていった。

バカ者グループの面々とも連絡は途絶えがちになり、ここ10年ぐらい彼に会った友人はいなかった。昔の仲間内で集まった際に、時々電話をかけたりしていたが、結局、引っ張り出すことは叶わず、二度と会うことの無い残念な結末になってしまった。

切ないという言葉の「切」は心が切れることを意味する。二度と会えないという意味で、それこそ関係が完全に断ち切れてしまった。やるせない。やりきれない思いだ。

返信の来ない年賀状を10年以上も律儀に送り続けていた友人の元に、最近になって彼の親戚から手紙が届いたことで、旧友達も悲報を知ることになった。

そんなきっかけが無かったら、ずっと知らないままでいたのだろう。何とも切ない。

とりあえず親しかった連中で墓参りに行くことを決めた。ところがさすがに「バカ者連合」でブイブイ言っていた私である。大ドジをしでかしてしまった。

この前の日曜日、現地集合だったので時間に遅れないようにいそいそ出かけた。でも誰もいない・・・。。実はみんなでの墓参りは1週間先の予定だった。バカである。先走ってしまった。

逝ってしまった彼とはアホなことばかりしていた。別れを告げに来た私のマヌケぶりもある意味必然かもしれない。アホな友達は最後までアホな友達のままである。

ヤツにケッケッケと笑われているような気がした。

広い霊園なので、お墓を見つけるのに苦労したが、ようやく見つけて花を手向ける。墓誌に刻まれた彼の名前を見て、改めて遠くに行ってしまった現実を突きつけられた気がした。

愛すべき独特なキャラのせいで、悪友達から無数のアダ名を付けられていた男である。そんなアイツが、いかめしい戒名を付けられて眠っている。それだけで寂しい。

戒名は彼が目指そうとした世界を端的に表わしていた。あっちの世界で縦横無尽に活躍できそうな立派なものだった。

彼の名前の横には、25年ほど前に亡くなった彼の父親の名前が刻まれていた。私のことも可愛がってくれたダンディーな紳士で、その昔なぜか私と二人きりで食事に行ったこともある。

15、6歳の頃だった。ホテルニューオータニのレストランに招待され、息子のことを相談されたりした。その後、何も役に立てなかったようなものだから、ついついお墓の前で頭を下げるしかなかった。

お墓の前に陣取ってタバコと御線香を供えて、旧友とバカ話をしたかったのだが、彼の父にも聞かれてるようで少し困った。下品な話が多すぎて心の中で語る話題を随分と自主規制してしまった。

彼の晩年に何も出来なかったことが残念だ。後悔先に立たずという言葉は、誰かに先立たれるたびに痛感するのだが、今回もその通りである。

飲めない酒を飲みすぎて一緒にゲロはいたり、くだらないことでケンカもした。バカ者連合みんなで飲酒喫煙不純異性交遊で停学になって坊主頭にもなった。

何度も旅行にも行った。旅先でも抱腹絶倒エピソードばかりである。

そういえば彼は正統派美人しか興味がなかった図々しい?男で、高校生の頃も、その後に女優やモデルになった女の子を連れ歩いて得意になっていた。

でも結局はフラれ続けて、我々バカ者連合の面々はいつも爆笑させてもらった。

音楽が好きで演劇が好きで美人が好きな気のいい男だった。

無邪気だったあの頃、大爆笑の渦の中には彼がいた。楽しい思い出をたくさん残してくれたことに感謝したい。

合掌。

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