2016年8月17日水曜日

恥ずかしいこと


若い男の草食状態が相変わらずらしい。由々しき問題だ。我々の老後を支えてくれなきゃいけない世代がそんなことではこっちがジジイになる頃が心配だ。

女性を求めて奮闘することを避けるようでは生き物として失格だ。カニだろうがイカだろうがカメだろうがセミだろうが、みんな頑張っている。もっと本能に正直になればいいと思う。

女性に接触することを怖がったり、上手くいかないことを恥ずかしいと思う気持ちが草食化の原因らしい。

肉食人生を過ごしてきた私だって、怖い思いや恥ずかしい思いはいくらでもしてきた。それをムダだと思ったことはない。バカらしいと思ったことはあったが、そんなバカらしさこそ「男子一生の仕事」である。

ちょっと違うか。

映画・寅さんの決めゼリフに「思い起こせば恥ずかしきことの数々・・・」がある。生きていれば恥ずかしいことだらけである。その瞬間は死にたくなるほどでも、後になれば笑って済むことばかりだ。

どんどん恥をかけばいいと思う。

エラそうなことを書いたが、私自身、結構な歳になってくると「恥ずかしい思い」を経験する機会が無くなってきた。

良いことなのか悪いことなのかよく分からない。恥をかかなくなった分、人生が退屈になったという見方もできる。

「大人なんだから」という一種の呪縛のせいで行動に大胆さや面白みを無くしてしまったら損な気もする。

女性方面?での恥もいっぱいあるが、ちょっと活字にしにくい話が多いからそれ以外の恥ずかしい記憶をたどってみる。

洋服を買った時のタグがついたまま街を歩いていたことは何度もあるし、ズボンのチャック全開で夜の街を闊歩していることも珍しくない。

まあ、その程度だと個人的にちっとも恥ずかしくないから何度も繰り返すのだろう。

若い頃、ダイビングを始める際の講習でパニックになった。水中から急浮上して水面で大暴れしている姿を一緒に講習を受けていた女性陣に見られたのはかなり恥ずかしかった。

いや、そんなことより、ダイビングの休憩中、ボートの陰に隠れて水面でこっそり「脱糞」していたのを水中から他のダイバーに目撃された時は卒倒しそうになった。

透明度の良い海。浅瀬のサンゴの眺めに癒やされていたダイバーにとって、ふと上を見たら下半身丸出しで「脱糞」に励む男がいるとは夢にも思わなかったはずだ。私も死ぬまで忘れないが、目撃者にとっても終生忘れられない思い出になっていると思う。

名刺入れから自分の名刺を出して挨拶したつもりが、前の晩にもらったオッパイパブの女性の手書きの名刺を渡してしまい、初対面の仕事相手を困らせた時も非常に恥ずかしかった。

窮屈な飲み屋のカウンターで間違えて隣のオヤジの飲み物をグビグビ飲んでしまった時も恥ずかしさと気持ち悪さのダブルパンチで困った。

やたらと鼻くそが溜まったので必死の形相でほじくりまくって、それを雪だるまのような作品にしていた姿を職場の女性に見られたこともある。

付き合っていた女性とスーパーに買物に行った際、うっかり間違えて見知らぬ女性に赤ちゃん言葉で話しかけてしまった時の恥ずかしさも忘れられない。

声をかけられた女性も目を見開いて私の顔を凝視していた。衝撃だったのだろう。

カッコつけたり、コワモテぶっている時の失敗も自分にとってダメージは大きい。

その昔、マンションの駐車場でのこと。私の駐車スペースのそばに邪魔なバイクが置かれるようになり、車庫入れがやりにくくなった。いつかバイクの持ち主をとっちめてやろうと思っていた矢先に、バイクの持ち主と遭遇。

その頃、ちょっとコワモテ系のクルマに乗っていたこともあり、自分なりに必死に「タダモノじゃない男」を演じながら、バイクのにいちゃんを呼び止めた。

「おい、いつも邪魔なところにバイクを置きやがってどういうつもりだ。こっちは高いカネ払ってここを借りてるんだ」

舌打ちしながらオラオラ調でそう言うつもりだったのだが、勢い込んだ私の口から出た言葉は、

「カネ借りてここを借りてるんだ!」。

意味不明である。というか、なんか哀しい響きである。「カネを借りなきゃ車庫代を払えない貧しい人」である。

当然、相手は少しもビビる様子は無く、むしろ私を哀れむような顔で見たような気がした。

怒っている時ほどゆっくり話すことが大事だと痛切に感じた一瞬だった。それ以降、バイクは別の場所に置かれるようになった。きっと同情してくれたんだと思う。

いろいろ書いたが、ここに書ける程度のことは後々笑い話で済む話である。自分の記憶の中から本能的に消去した恥ずかしい記憶もある。時々、フラッシュバックしてアタフタすることもある。そのへんは割愛。

さてさて、強引なこじつけみたいな話だが、恥をかいた分だけ人は大人になっていくのだと思う。恥の積み重ねが人を成長させる。

というわけで、まだまだ成長したいから、恥ずかしい失敗を恐れずに日々奮闘しようと思う。

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