2017年2月1日水曜日

うにスパゲッティー


このブログでは見栄を張ったような話ばかり書いているから、大衆酒場のウマい料理を論じることが少ない。


で、今日は大衆酒場の話。なんだかんだ行って大衆酒場でハムカツや赤いウインナーを食べているとハッピーになる。ちなみにこの画像はオニオンフライと黒ホッピー。

大衆酒場には様々なパターンがある。今の世の中、一番ポピュラーなのがチェーン展開する居酒屋だろう。ファミレスと同じで画一的に客をもてなす。

老若男女問わず安心して使えるから今や日本社会のライフラインのような存在だが、いっぱしの中高年紳士?にとっては面白みに欠ける。

独立独歩?の個性的な大衆酒場となると良し悪しの判断は難しい。食べ物がマズくても安く大量の酒が飲めれば幸せな人もいる。一方で、酒よりもその店ならではの名物料理が目当ての人もいる。

大酒飲みではない私としては、気の利いた食べ物が第一目的。モツ焼屋ならアッチ、焼鳥ならコッチなどと気分によって使い分ける。マカロニサラダのためだけ暖簾をくぐる店もある。

大衆酒場の食べ物は何となく社会的地位?が低い。グルメ評論的な取り上げられ方をすることは希だ。希だからこそ逆にビックリするほどウマいものが存在していることもある。

先日、お年寄りの人気タウン・巣鴨の大衆酒場で感激の一品に出会った。今年一番ウマかった食べ物かもしれない。

店の名は「千成」。大衆酒場業界?では知る人ぞ知る名店である。なんとも渋い風情、適度なドンヨリ感、過剰な愛想笑いなど望めないチョットだけ排他的な雰囲気が「いとをかし」の老舗だ。

池袋の「千登利」、大塚の「江戸一」など城西エリアのそれっぽい店が好きな人なら納得できそうな雰囲気の店である。

これまで何度か訪ねたことがあったのだが、人気メニューの「うにスパゲッティー」はかなりのボリュームとのことで未体験だった。

この日は珍しく同行者がいたおかげで念願の「うにスパ」を頬張ることが出来た。素直に感激した。


渋いラインナップのメニューの中で「スパゲッティー」というカタカナは異彩を放っていたのだが、食べてビックリ。実にまっとうな大衆酒場的風味そのものだった。

スパゲッティーのくせに日本酒や焼酎に最適な味付け。イタリア料理の店で出てくるウニ味のパスタとは異次元の食べ物だ。

おそらくダシや醬油が活躍しているのだろう。麺も硬めに茹で上がっている。キッチリ真面目にウマいものを作ろうという店の矜持が感じられる。

二種類のサイズの小さい方を頼んだ。2.5人前ぐらいの分量だったが、“タンスイカブラー”である私なら一人でペロッと食べられそうだ。今後、一人酒の際にも注文しそうで怖い。



ちなみにこちらは同じ日に食べた牛すじ煮込みと鴨の卵とじ。どちらも画像を見るだけでヨダレが出そうになる。

気骨のある大衆酒場の食べ物は、グルメ大国・飽食ニッポンの根底を支える文化遺産だと改めて感じた次第である。

ウマいものの定義はつくづく難しい。その時の自分の状況、TPO、同行者との関係性など余計な要素を全部取っ払って、単純にただ本能的にウマいものを求めたら、気の利いた大衆酒場の食べ物が意外にナンバー1なのかもしれない。

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