2024年5月1日水曜日

幻の沖縄そば

 

ふと食べたくなるのが沖縄そばだ。「そば」とは名ばかりで東京人がイメージする蕎麦とはまるで別物だが一応「そば」である。コロナ前には沖縄そばだけ食べていたような旅もした。

 https://fugoh-kisya.blogspot.com/2018/01/blog-post.html

 製法的にはラーメンと同じだ。沖縄は古い時代には琉球王国として独自に中国と交易していた。その流れで生まれた麺だからラーメンっぽいわけだ。

 

余談だが、沖縄が昭和40年代に本土復帰を果たした際に「沖縄そば」の名称をめぐって一悶着あったらしい。公正取引委員会だかどこかの役所から「製法や原料が違うのだから“そば”と名乗ることは許さん」とイチャモンがついたとか。

 

結果的には地元の人達の頑張りでどうにかこうにか無事に名称利用が認められたのだが、もしダメ判定のままだったら今頃は沖縄ラーメンと呼ばれていたかもしれない。

 

そんなエピソードひとつとっても沖縄の人の戦後は想像を絶する苦労があったことが偲ばれる。本土の人間の傲慢さに悔しい思いをしたのだろう。ボクシングのレジェンド・具志堅さんも上京後はアパートひとつ借りるのにも差別されて大変だったらしい。

 

いま沖縄はどんどん発展しているが、いろんな特区に指定してでもバンバン繁栄してもらうのが日本国としての責任だと感じる。

 

話がそれた。沖縄ラーメンより沖縄そばのほうが何となく情緒がある。やはり名称って大事だ。今更ながら当時の沖縄の人々の頑張りに敬意を評したい。

 

大学生の頃、ダイビングで頻繁に沖縄を訪ねた。もう40年近く前になる。当時は東京に気軽に入れる沖縄料理屋は無かったから現地で初めて食べた沖縄そばに衝撃を受けた。

 

正直、マズいと思った。そばだと聞いていたのに謎の麺に薄いスープ、おまけに当時は苦手だった紅生姜まで乗っている。トッピングのソーキがウマかったので何とか食べたが、第一印象は最悪だった。

 

その後、何度も仕方なく食べた。ダイビングの昼休憩に選ばれる店が沖縄そば屋ばかりだったので気づけば結構慣れ親しんできて美味しさが理解できるようになった。その後、沖縄には20回以上は旅をしたから今では大ファンである。

 


 

有楽町の交通会館の地下にカジュアルな沖縄そば専門店がある。ちょくちょく立ち寄る。ソーキが別注出来るのが魅力でいつも2000円近いコストをかけて豪勢に食べる。このあたりは富豪級である。

 

肉を食べに行ったのか麺を食べたのか分からないような感じだ。今では紅生姜も店から注意されそうなほどドバドバと何度も入れてしまう。ラーメンにしても必ずチャーシューを多めに食べたい私にとってソーキをぶりぶり投入する沖縄そばは至高の一品だ。

 

有楽町付近には沖縄物産展みたいなショップがいくつかある。立ち寄るとついつい沖縄そばや調理済みのソーキなどをまとめ買いする。自宅で手軽にソーキを多めに入れて楽しむことになる。

 


 

時には沖縄そばの麺を使って自家製焼きそばを作ることもある。縮れた平打ち麺を使うと普段の焼きそばとは違った焼きそばが出来る。なかなかオススメです。

 

過去に現地で何度か沖縄焼きそばを食べて感激したことがあるので再現を試みるのだが、私が使う市販の焼きそばソースだと何だかんだ言って味は単なるソース焼きそばに落ち着いてしまうことがちょっと残念ではある。

 



沖縄そばにも細麺や太麺、平打ち麺などいろいろあるが、やはり沖縄っぽさを一番感じるのは平打ち縮れ麺だろう。この麺にはちょっとした思い出もある。

 

20年以上前のとある沖縄旅行の際、帰りの那覇発の飛行機で食べた機内食の話だ。確かJALだったと思う。平打ちの縮れ麺を使った冷やし中華風の沖縄そばの和え麺が出てきた。ごま醤油風のタレが麺に絡んで卒倒するほどウマかった記憶がある。

 

あれから沖縄に行くたびに沖縄そば屋や沖縄料理屋で似たようなメニューがないかと常にチェックしているのだが、それっぽいものを見つけたことはない。きっと機内食業者が苦し紛れ?に作った思いつきメニューだったのかもしれない。

 

私にとっては死ぬまでにもう一度食べてみたい幻の一品である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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