東京出身。富豪になりたい中年男。幼稚園から高校まで私立一貫校に通い、大学卒業後、財務系マスコミ事業に従事。霞ヶ関担当記者、編集局長等を経て現在は副社長。適度に偏屈。スタイリッシュより地味で上質を求め、流行より伝統に心が動く。アマノジャクこそ美徳が信条。趣味は酒器集め、水中写真撮影、ひとり旅、葉巻、オヤジバンドではボーカル担当。ブログ更新は祭日以外の月曜、水曜、金曜。 ★★★スマホでご覧頂いている場合には画面下の「ウェブバージョンを表示」をクリックしてウェブ画面に飛ぶと下側右にカテゴリー別の過去掲載記事が表示されますので、そちらもご利用ください。
2015年2月25日水曜日
哀愁の豚肉
牛肉と豚肉。世間一般では牛のほうがエラそうな位置付けである。ゴージャスな御馳走といえば牛肉であり、豚肉はその地位には達していない。
不思議である。
ウルフギャングだルースクリスだ等々、オッシャレ~な肉レストランもあくまで牛を味わう世界である。
デートの店選びにしてもポークソテーの名店よりハヤリのステーキ屋のほうに軍配が上がりそうである。
肉の御三家?といえば牛、豚、鶏だが、鶏肉の場合、どことなくヘルシーなイメージのせいで肉業界のなかでも独自のポジションを獲得している。
それに比べて豚肉はどこか不相応に冷遇されている気がする。関西人なんて豚のことを肉と呼ばない。だから肉まんと言わずに豚まんと呼ぶ。実に厳しい。
黒豚のせいろ蒸しである。鹿児島のJAが経営に関わる銀座「華蓮」で食べた。この店、芋焼酎の品揃えも多いし、適度な高級感もあって使い勝手がいい。
一品料理にはトンコツもあるし、ヒレカツも絶品である。黒豚のアンテナショップとして優秀なのだが、残念なことは鹿児島黒牛とかいう牛肉も用意してある点だ。
「華の銀座に出店するには豚だけじゃ気がひける」とでも思ったのだろうか。豚好き男としては、豚一色で勝負していないことが引っかかる。
ちょっと偏屈だろうか。
豚肉を食べる文化は一部の地域を除き、明治維新後に広まったらしい。その後、大正の終わり頃から全国で養豚が盛んになり、いつのまにか「豚肉は手頃、牛肉は贅沢」みたいなイメージにつながっていった。
やきとんである。焼鳥には高級焼鳥というジャンルがあるが、やきとんはあくまで大衆酒場の象徴である。
うまい店のやきとんは魂が震えるぐらい美味しいのだが、少なくとも女性を初デートに誘う店としては100%選ばれない。それが現実である。
でも、気の利いたやきとん屋ならレバ刺しだって食べられる。牛レバが禁止された今、豚の面目躍如といった感じだが、豚のレバ刺しを食べて肝炎になる人が急増中という話もある。
いかんいかん、豚肉に不利な話を書いてはいけない。
豚肉の地位の低さは、北海道の一部で豚肉が材料の串焼きを今だに「やきとり」と称していることからも分かる。実に不憫である。
高級路線じゃないドンブリ業界にしても肩で風きって日本中を席巻しているのは「牛丼屋」である。BSE問題とかイレギュラーな事態になると豚肉がピンチヒッターで登場するが、あくまでサポートメンバー扱いである。
だいたい豚丼専門店で全国展開している店が見当たらないことが不思議で仕方がない。
街中の至るところに豚丼屋が溢れている帯広は実に偉大である。あんなにウマいものが全国的にポピュラーにならないことが不思議で仕方がない。
牛丼屋がサイドメニュー的に出している豚丼がウマくないことが豚丼が伸び悩みしている原因だと私は睨んでいる。あれもきっとワザとそうしているに違いない。
ヘタな牛肉料理より豚のほうがウマいことに気付く人を増やさないようにという牛丼シンジケートの恐ろしい陰謀かもしれない。
高級路線、贅沢イメージという世界で完敗しているのに、手頃なドンブリという世界においても牛の覇権を崩せない豚肉の現実が哀れである。判官びいきしたくなる。
加齢のせいもあるが、すっかり牛肉より豚肉派になってしまった私だが、このブログで豚の地位向上を主張したところで世の中は変わらない。
ブツブツいいながらウマい豚をがっつくだけである。トンカツ、メンチカツ、スペアリブ、生姜焼き、味噌漬け、角煮、しゃぶしゃぶ、チャーシュー、ハム・・・。すべてを愛して生きていこうと思う。
ふーむ…。お主も豚肉ファンであったか…。
返信削除リスボン在住です。私も牛と豚では圧倒的に豚肉が好きです。牛と豚では牛の方が高級という観念は日本独特のもので、牛を農耕に使うアジア諸国では中国、台湾、タイでも食肉といえば豚、豚肉が一番美味しいとされています。ヨーロッパでも東欧では豚肉が好まれる傾向にあるので、現地在住の日本人が高級だと思い込んで「うちは牛肉しか食べません」などと言うと、不思議がられます。
さて、豚肉ファンなら是非ポルトガルへいらして本場のイベリコ豚を堪能していただきたいところです。イベリコ豚はスペイン産が有名で日本にも入っていますが、放牧でドングリだけを食べて育ったイベリコ豚は甘味があって最高に美味しいです。霜振り部分を炭火でさっと炙って食べる「セクレト」は余りの美味しさに涙が出ますよ。
と、またまたポルトガル観光局のPRみたいになってしまいました。ご来訪お待ちしております。
さすがリスボン在住様ですね。。
返信削除やはり豚です。豚!
豚の甘味は牛には出せない滋味だと思います。
「セクレト」、興味津々です!
いやもう激しく同意です。特に日本の豚肉料理はほんとうまい。外地から日本に戻るとトンカツをたまらく食べたくなります。こんな感情は他の料理では余りありません。でも100%、初デートに選ばれないなんて、余りにも真実をついた言葉。ちょっと切ないですね。
返信削除道草人生様
返信削除トンカツは単独で世界遺産にしてもいいですよね!
出自は西洋だったとしても、とんかつソースなどの日本的進化は素晴らしいです!