2025年12月22日月曜日

動画、睡眠薬、射精道


来週はもう来年である。ビックリだ。時の流れは年々早くなる一方だ。以前にも書いたと思うが、時の経過が早く感じるようになるのは「川の流れ」に例えると分かりやすい。

 

川の流れはいつも一定だ。歳月の流れも同じである。川のほとりを歩く人間は年齢が増すにつれ歩き方が遅くなり、昔と同じように歩いているつもりでも川の流れが速くなったように感じる。

 

若い頃は視野も狭くただ真っ直ぐに歩く。周りを見る余裕もなく、脇目もふらず前に向かって歩く。歳を重ねると川のほとりの景色を眺めたり、足を止めて考えたりすることが増える。だから若い頃より歩くペースが落ちる。気づけば川の流れ、すなわち時の流れだけがズンズンスン進んでいくという理屈だ。

 

私のように煩悩の塊のようなヤツはいつもロクでもないことを考えこんで足を止める。ついでにやたらと寄り道もしちゃう。その間に時の流れのほうがグングン進んでいってしまうのも仕方ないのだろう。

 

都合よくいえば、人生を謳歌していると解釈することもできる。もう還暦だし、すべてのことを楽観主義、ご都合主義で捉えたほうが精神衛生上も良さそうだ。

 

さて、今年を振り返ると読書量の激減に我ながら驚く。活字中毒気味の傾向があったのも今や昔、最近ではネット動画を見る時間がやたらと増えた。

 

リール動画とも呼ばれる短い動画はそれこそ溢れんばかりに世の中に出回っている。スマホ片手にそういう動画をランダムで見ているとキリがない。

 

特定の動画を見ちゃったら同じジャンルの似たような動画が表示されやすくなるから、誰かに覗かれたら私のヘンテコな趣味嗜好がモロバレである。

 

一時期はシマウマが生きたままライオンとかに食われちゃうグロ系ばかりが表示されていた。ミニスカ女子高生のヘンテコなダンスばかりになっちゃったこともあるし、大谷翔平ばかりになったこともある。

 

最近やたらと表示されるのが「京都橘高校吹奏楽部」である。何かの拍子にハマってしっかり見ていたら大げさではなくそればっかり出てくるようになった。既に大ファンになってしまった。

 https://kyoto-tachibana-shsband.jp/

 

ネット界隈では既に充分有名らしいが、まだ知らない人にも是非オススメしたい。素直に凄い。大人数のメンバーが演奏しながら揃いの振り付けでかなり激しく動き回る。海外にも招待されるようで日本人として誇らしい気持ちになる。

 

保守的なオジサマ族である私は「ネット動画なんてロクなもんじゃない」みたいに否定派だったのだが、あの吹奏楽部の凄さを知っただけでネット動画肯定派に趣旨替えである。

 

世の中には「へー、うひょー、ワオ!」みたいな凄いことがたくさんある。知らないことが山盛りだ。フェイクもたくさん紛れ込んでいるのだろうがそれはそれだ。出回っているモノすべてを信じちゃうほどウブではない。だいたいオールドメディアだって真実じゃないことも垂れ流す。すべての情報を妄信しないで楽しめば済む話だろう。

 

もちろん、それはそれで結構なのだが、個人的には本を読む時間が減っていることはやはり残念ではある。活字を読みながら脳みそを動かす時間は、映像をボーっと眺める時間とは異質だ。読書による気持ちの整理、リセットみたいな効果は大きいし、それ以前にやはり学びになることは多い。

 

本を読む機会が減ったことで、私の場合、何よりも睡眠に大きく影響が出ている。動画はスマホからの電気光線を浴びているわけだから刺激が強い。紙の上の活字を追う作業とは違って灯りを消してさあ寝ようとしてもどうにも寝付けない。

 

脳が冴えちゃっている感覚を少なからず感じる。活字だってあまりに興味深い描写や表現があると脳が活性化するが、電気光線を目に直接浴びる刺激に比べればマイルドだ。

 

この半年、いや1年ぐらい寝付きが非常に悪い。睡眠薬のお世話になることがやたらと増えてしまった。もちろんリール動画ばかりが原因ではないが、多少の影響はあったかもしれない。

 

睡眠薬も飲み過ぎると依存しがちだ。既に私も依存に近い状態だ。以前ならイチコロみたいに寝られた容量では足りなくなってきた。ちょっとマズい。

 

この夏以降、“完徹”しちゃったことも23回ある。眠りに効くツボとやらを調べてグリグリしまくっても逆に目が覚めてしまう。間違ったツボを押したのか、はたまた大真面目かつ真剣にやりすぎて覚醒しちゃったのか、まるで効き目はなかった。

 



最近読んだ本もどちらかといえば没頭型ではない。どこからでも読めるルポ的なモノや雑学系ばかりだ。長編小説の世界にどっぷりつかるような本との向き合い方とはご無沙汰だ。

 

コロナ禍の頃は随分と歴史小説などを読んだが、最近はご無沙汰だ。いま思えば小説の活字世界の情景を頭の中に思い浮かべて物語の中に入りこめていた時間は楽しかった。わずらわしい日常から逃避するには最適だった気がする。

 

ちなみに「射精道」という一冊はタイトルに惹かれて迷わず購入したのだが、タイトル通り「道」が中心、すなわち武士道のような“心構え”に関するような内容が多くてちょっと拍子抜けした。

 

道徳という言葉を忘れがちな私にとっては、どちらかといえば道徳的な内容が多くて辟易、いや、大いに反省する機会を与えてくれた。

 

なんだかヘンテコな結論でスイマセン…。

 

 

 

 

 

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