2025年7月14日月曜日

エスコンで感動


初めて野球場に足を運んだのはもう50年も前のことになる。後楽園球場で王選手がホームランを打っていた頃だ。半世紀という年月は世が世なら人間の一生ぐらいの長さである。

 



半世紀たった今、世界に誇れる凄い野球場が北海道にある。エスコンフィールドだ。普段はファイターズの本拠地だが、先日、日米大学野球の会場として使われていたのでノコノコ出かけてきた。

 

まさにボールパークと呼ぶにふさわしい素晴らしい球場だった。日本の野球文化もここまで来たのかと非常に感慨深かった。昔の野球場といえば酔っぱらったオッサンが下卑たヤジを飛ばす怪しげな場所だったが、エスコンフィールドにはそんな雰囲気はまったくない。

 

遊園地のようなレジャーエリアである。この日は本拠地ファイターズの試合ではなかったから閉まっているお店も多かったが、それでも楽し気な雰囲気は充分感じた。

 



この球場には部屋から試合が見られるホテルまで併設されている。「TOWER11」と名付けられたホテルだ。ファイターズ時代のダルビッシュや大谷翔平の背番号が11だったことが名前の由来だ。上の画像はホテル内のあちらこちらだ。

 



客席から見るとレフトスタンド上部に位置する。試合を眺めるにはさすがに距離が遠いが、あの臨場感を自分の部屋に居ながらにして楽しめるのは画期的だ。

 

泊まった部屋は球場内のクラブハウス、すなわちロッカーエリアを模した造りで、ご丁寧にホンモノの選手使用のバットやグラブなどがインテリアとして使われている。ファイターズファンじゃなくても野球好きならかなり楽しい。

 



シングルベッドがタテに2つ、メゾネットになっているから上階にもベッドが2つ。その他にグランドを見下ろせる窓際のソファベッドを入れたら5人で泊まれる空間だ。

 

そんな部屋に一人で泊まってみた。なかなか贅沢な時間だった。たまにはこういう愉快な場所に身を置くのは精神衛生がすこぶる絶好調になる。


この日は睡眠時間3時間でここにたどり着いたのだが、こんな空間を目にしたら疲れも吹っ飛んで子供みたいなワクワク気分になった。

 






おまけにこのホテルには野球場を見下ろせる温泉大浴場もある。世界初の試みだとか。水着で利用できるくつろぎゾーンと純粋な温泉大浴場に分かれていて、くつろぎゾーンにはサウナもある。

 

サウナに入りながら野球の生観戦である。これを考えた人を褒めたい。くつろぎゾーンではドリンクやスイーツも注文できる。もはや野球場という概念を通り越したテーマパークである。

 



さてさて、肝心の野球場としての機能はどうかというと、これまた客席もゆとりがあって試合が非常に見やすい。巨大スクリーンが一塁側、三塁側双方にあるためどの席からもエンタメ感を満喫できる。

 

この日は試合開始までは屋根が閉まった状態だったが、18時のプレーボールに合わせて屋根がオープンになった。気づかぬうちに静かにそろりそろりと屋根が開いていく感じもカッチョ良かった。

 


 

バックネットエリアの座席はゆったり仕様で、足元の空間も広め、大昔の後楽園球場の窮屈な椅子席を覚えている私からすれば極楽空間だった。

 

選手のベンチのそばに設けられたダッグアウトシートもなかなか迫力があった。グランドよりやや低めに位置しているため、選手との距離が近く臨場感たっぷりだった。

 



肝心の試合は日本代表がボロ勝ちの展開だったので途中で飽きてしまい、いったん中座して徒歩3分ぐらいの距離にあった回転寿司屋に行く。函館に本店がある店なので、ニシンやホッケ、タラコなど北海道らしいネタをいくつも食べた。

 



のんびりビール片手に寿司を満喫して、部屋に戻って試合終盤の89回の攻防を眺める。部屋のスピーカーからは球場内の音声を聴くことが出来るので打球音や歓声がナマで聞こえる。

 



日本代表の勝利を見てから再び温泉へ。いそいそ帰るお客さんや試合後のグランド整備を眺めながら温泉に浸かるわけだから何とも不思議な感覚だ。

 

それにしても試合後のグランド整備の丁寧さには驚いた。試合終了から34時間は芝のチェックや土の部分をならす作業が続いていた。

 

試合開始前のセレモニーで使った両国の国旗の片づけなどもしっかり眺めた。10人以上がシワを伸ばしながら丁寧に畳む作業をしていた。裏方さんの大変さがちょっと分かった。

 



 

で、ぐっすり眠って翌朝のこと。朝7時ぐらいである。カーテンを開けたら当然ながら目の前に野球場が広がっていた。これにはかなりシビれた。無人の野球場が朝日を浴びて美しく目の前にあった。妙に感動した。

 




 

野球を好きになって50年。なんとも感動的な時間を過ごせた。

 

 

 

 

 

 

 



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