さて、浅草にいた日の話だ。すっかり出不精になって職場と家の周りしかウロついていないのもシャクだからちょこっと遠征気分で出かけた。
遠征などというには近すぎるのだが、この日、まず出かけたのが両国にある江戸東京博物館である。長いこと休館していたがリニューアルオープンしたので久しぶりに覗きに行った。
ここは都内の博物館の中でもかなりユニークな場所だ。スケールも立派だし、東京人ならもちろん、東京出身者じゃなくても興味深い展示内容が多い。プチ歴史好きな私にとっては何度来ても発見がある。
広大なスペースだから運動不足解消にも貢献してくれる。常設展示以外の特別展までウロウロすれば結構足が疲れる。中高年向きのレジャー施設としてオススメ。
ちなみに以前から気になっていた展示物がリニューアル後の今回もしっかり私のハートを捉えた。といっても良い意味ではない。切ない気分になる内容である。「江戸町人の人生」というシンプルなパネルである。
7歳で寺子屋に入り、12歳ごろから奉公や弟子入り、15歳で元服…等々の一般的な歩みが描かれている。24歳で結婚するぐらいまでは問題ないのだが、その後はたいしたライフイベントはないまま、40歳を過ぎたぐらいの頃のイラストはジジイ状態である。
で、残念なことに「56歳で死去」である。そりゃあ、昔の人が短命だったことぐらい百も承知だが還暦も迎えられないのが一般的なのかと思うと妙に切ない。この展示パネルをみるたび「世が世ならオレもとっくに死んでるのか…」とビミョーな気分になる。
なんとかならないものだろうか。ならないだろう…。
江戸時代の展示物を中心に堪能して、明治維新後の東京のコーナーは個人的にそんなに面白くないので早歩きで見学を終了。両国からさほど遠くない浅草まで足を延ばすことにした。
不思議なもので秋になると浅草に足が向きがちだ。私の生まれ月が10月だからDNAの仕業なのだろうか。祖父から上のご先祖様は浅草の人だったから時期が来ると呼ばれるのかもしれない。
すっかり外国人観光客向けの街に変貌した浅草だが、やはりあの街ならではの空気感は魅力的だ。ナゼだか散歩しているだけで気分がアガる。とりあえず疲れた足を休ませたくて浅草ROXの日帰り入浴施設に向かう。
さすがに観光客は少ないようでなかなか快適に過ごせた。ジェットバスや打たせ湯ばかり利用するあたりが我ながら加齢を痛感する。サウナも快適だった。時にはこういう過ごし方もアリだ。
入浴後、どこで一献傾けようかサウナの中でひたすら考える。浅草といえばすぐにヨシカミなどの洋食屋さんに行きたがる私だが、この日はナゼか頭の中を餃子が支配し続けていた。サウナのせいでただただビールが飲みたかったせいかもしれない。
で、風呂上がりにウロウロ歩き回るのも面倒だったので、目の前にあったどうでも良さそうな?店構えの町中華に入ることにした。
スマホとにらめっこして必死に餃子のウマい店を探すのは「無頼な街・浅草」での行動パターンとして何だかカッチョ悪い気がした。いや、いま思えばちゃんとスマホを駆使して店選びをすればよかったと思う。
餃子、かに玉、あんかけ炒め麺である。味はそれなりとしか言えない感じ。まるで印象に残らなかった。特別マズくはなかったから文句を言ってはバチが当たる。でも星の数ほど飲食店がある中でここを選んだ自分の中途半端さにちょこっとイラついてしまった。まあ、美味しくビールなどをグビグビしたから良しとしよう。
というわけで、気張って“お出かけ”などと構えなくても結構いろんな楽しみ方が出来るものだと今更ながら感じた1日だった。
いわば“プチ・ワクワク”みたいな行動を積み重ねることが日常生活にちょっとした彩りを加えてくれるーーなどとガラにもなく痛感した時間だった。








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