今年の干支は馬だ。縁起物だからバクバク食べないといけない。
干支の生き物のうち、美味しく食べられるヤツは意外に少ない。虎も猿も蛇もネズミも食べないし、竜なんか見たこともない。
で、馬である。江戸時代には、精がつく、元気になるという意味で「蹴飛ばし」と呼ばれた。遊郭の近所には桜鍋の店が軒を並べたとか。
そういえば、今も吉原には桜鍋の老舗が存在する。
ということで、吉原の店に行きたかったのだが、食後の自分の行動に自信が持てなかったので、身近な場所にある店を探す。わが社のある池袋には馬肉専門店などありはしない。
まあ、池袋は日本の中のマニラ?みたいな街だから仕方がない。結局、安全?な街・銀座で短期間に2回も馬肉を堪能してきた。
まずは1軒目、「馬春楼」という店。大阪の人気店が最近東京に進出したらしい。確か以前は小洒落たおでん屋があった場所だ。
まずは馬刺しの盛り合わせ。レバ刺しが入っていない。別注で頼もうとしたが、レバ刺しだけは事前予約メニューだという。
オイオイ!である。この時点でかなり萎える。
焼酎片手に馬刺しをつまむ。普通に美味しい。九州のどろっとした醤油に似たオリジナルの刺身専用醤油がウマい。
スジの山椒煮とやらも焼酎とマッチ。なかなか良い。
続いて桜焼きなる一品。鉄板でサッと焼いて食べるのだが、ナントカという部位だけなのでアレコレ食べたいワガママな私としては少し不満。でも単純にウマかったから良しである。駄洒落ではない。ウマかった。
メインは馬肉のハリハリ鍋。馬肉の鍋といえば、深川の「みの家」で食べるこってりミソ味が私の中では定番である。この店のウリは、あっさりしたスープで水菜と一緒に食べるハリハリ鍋である。
少し上品すぎるきらいはあるが、飽きの来ない美味しさとでも言おうか。悪くない。馬肉の旨みをまとったスープで食べるシメのうどんもニコニコしたくなる味だった。
問題はレバ刺しが予約制なことである。専門店なら、そこは頑張って欲しかった。
ということで、レバ刺し欲求が妙に高まってしまったので、間をおかずに別な店で馬三昧してきた。
そちらの店ではレバ刺しが常備されているのを知っていたのでいそいそ出かけた。
「こじま屋」という店。1年ぶりぐらいだ。ここは鍋ではなく、焼き専門。一品料理をアレコレ頼んでグビグビ飲んだら、様々な部位の肉をジンギスカンのような要領で焼いて食べる。
レバ刺しサマの登場だ。ごま油をまとっている。これを甘味のある天然塩にチョロッとつけて食べる。エロ満開のウマさだ。
合わせるのはやはり焼酎である。芋と黒糖をミックスした店オリジナルの甕入り焼酎との相性がバッチリでニコニコグビグビ。
馬ホルモンのコンソメ煮込みという一品も焼酎のアテに抜群だった。馬の場合、何を食べても重くないしもたれない。端的に表わすなら軽いという印象。
聞くところによると、融点が人間の体温と同じぐらいだから、身体に残らずすっきり脂が流れていくのだとか。
牛肉だったら白色の脂身を除けるようになってしまった情けない私だが、馬肉の場合は脂身をぶりぶり食べても後がキツくない。幸せである。
アキレス腱の部分を煮込んだスジ煮込みも下処理が良いのだろう。コテコテの味付けではないのにクセを感じることもない。酒飲みにはタマランチンだった。
で、焼肉である。
さまざまな部位の生肉をそのまま焼く。透き通った黄色系の塩ベースのタレも悪くない。タンとかカルビとかヒモをがっつく。
大動脈の部分だという「根」という一品も頼む。どれもいくら食べても重さを感じない。臭みも当然無い。満足満足。何だかんだ言って、こちらの店に行ったときの方がウキウキした気分で楽しめた。
それにしても、こんなにウマい肉料理なのに、牛や豚や鳥料理に比べて、専門店の数は圧倒的に少ない。不思議である。
いまや流通革命によって、鮮度を維持したまま日本中に食材が回り回っているのだから、馬肉専門店はもっと増殖しても良いと思う。
さてさて、というわけで、短期間に2度も馬肉をワッセワッセと食べたわけだ。鼻血ブーになって絶倫太郎になるはずだが、サッパリ何も変化は起きていない。
手遅れなのだろうか。いや、既に充分元気なのだろうか?謎である。
風邪もひかずに元気でいるから、きっとその裏で馬肉パワーが影響しているのだと思い込むことにしよう。
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