とことんマズい店。そんな店に遭遇することはなかなか無い。味覚なんてしょせん人の好みではあるが、そういう次元を通り越して「断然マズい店」に出会うのはむしろ貴重な体験である。
先日、秋のバンドライブのアコースティック歌唱コーナーだけの練習のため、担当メンバーと2人で東京駅近くのカラオケボックスにこもって3時間ひたすら練習した。
疲れたから軽く一杯やっていこうとぶらぶら八重洲側の路地を歩く。二人きりとはいえギターケースもあったからスペースに余裕のありそうな店を探す。
まだ早い時間だったので「客がいないガラガラの店は怪しい」という飲み屋探しの大原則が通用しないばかりか、私がタバコを吸える店を希望しちゃったので二人の店探しアンテナは機能停止。荷物は重いし天気も悪かったから安直に決めた店に入った。
瓶ビールと写っているお通しもシャバダバ、ヘビでも焼いてきたのかと思った串焼きはセセリらしい。ダシ巻き卵に至っては注文から1分ぐらいで熱々が出てきた。すべて美味しくなくてちょっと感動するレベル。他には梅水晶、つくね、クリームコロッケを一人前ずつ頼む。
飲んだ酒は瓶ビール一本の他は二人合わせてサワー類を4~5杯だったか。酒もなぜかマズい。緑茶割りの緑茶がダメダメなのか焼酎の質や量の問題なのか不明だが、ぶっちゃけ評価できる点は無し。おまけになぜかお勘定は二人で1万円ほど。完敗である。
その後、友人がネットで調べてみたら食べログだかヤフーだかの過去のクチコミ評価が「1.6」の店だったことが判明。「1.6」などという低評価の店があることに驚いたが、いい歳してそんな店に平気で入ったことに猛反省。
という失態を踏まえて、どうしてマズい肴を前にすると酒までマズく感じるのだろうかというテーマを考えたくなった。
もちろん楽しい気分の酒ならたいていはウマい。ドンヨリした気分で飲む酒は高級酒だろうとウマくない。銀座のクラブで綺麗なオネエサンにお世辞をブリブリ言われながら飲む酒は単純に美味しい。
それはさておき、食べ物と酒との相性という問題もある。銀座のクラブで飲む酒だってオールドパーの濃い目の水割りを気の利いたチョコレートと合わせると妙に美味しく感じる。
結局、酒のウマいマズいは合わせる食べ物にも結構影響されているのが現実だ。お寿司屋さんでワインを得意になって飲む人は多いが、あれだって選ぶネタを間違えると惨事である。合わないネタはただただ生臭く感じるだけだ。
先日、胃と大腸の内視鏡カメラを受ける日の前日にしこたま飲んだ。検査前夜だから夜8時までに飲食を終えねばならず翌朝は朝食抜きである。で、早い時間からしっかり飲み食いしておこうと最近プチ常連になりかけている人形町のお寿司屋さんに出向く。
いつもより多めに刺身を食べ、焼き魚も食べ、珍味も食べた。おススメされた冷酒がやたらとウマかったのでかなり飲んでしまった。生のスジコのせいである。
納豆が苦手な私には卒倒しそうなラベルの日本酒だった。もちろん、味自体に納豆感?はまったく無い。当たり前か…。納豆の生産業者が手掛ける日本酒だとか。スッキリしながらもしっかりした味わいでスジコと交互に口に含んでいたらエンドレス状態になってしまった。
翌朝、大腸内視鏡の検査用に早朝から1時間かけて2リットルのマズい液体を飲む必要があったのだが、起きた途端に二日酔いでムカムカしていたから謎の液体を飲むたびに吐きそうになりかなり疲弊してしまった。
話がそれた。食べ物と酒の相性の話だった。
先日、久しぶりに銀座の維新號に出かけた。ここでの私のお目当てはフカヒレの姿煮と肉焼売である。その他の料理にはさほど思い入れはない。いや、いろいろウマいものもあります。
この店のフカヒレも随分と高値になってしまった。10年前に比べたら2倍近くになっただろうか。物価高を実感する。
高くてもウマいから仕方ない。スープというかタレが独特のウットリする味わいで昔から悶絶する。これを食べる時に必ずセットで注文するのが紹興酒の熱燗だ。
私は紹興酒が好きではない。むしろ嫌いだ。自ら注文することはまず無いのだが、このフカヒレだけは例外だ。熱めの紹興酒と合わせると天にも昇るようなウットリ感を味わえる。組み合わせ、マリアージュの極致だと思う。
このフカヒレの姿煮を日本酒と合わせてもウマいとは思えないだろうし、生グレープフルーツサワーと合わせても間違いなくトンチンカンだ。私にとっては完全無欠の組み合わせだ。
なんだかウダウダ書き殴ってしまったが、酒と肴の相性を語りだしたらキリがないのでこの辺にしておく。








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