15年の歳月といえば結構な長さだ。生まれたての子は思春期になるし、思春期の子だったら30歳の大人になっちゃうぐらいの年月だ。
とはいえ、60歳の私からすると15年といってもアッという間に近い感覚もある。なんなら15年前は「最近」の範囲に入る。そう考えるとここから先もアッという間に時間は過ぎて気づいたら死んじゃっているかもしれないわけだから実に不思議だ。
そんなことを考えたのは何となく始めたオヤジバンド活動が15年も続いていたことに気付いたから。いっぱしのベテランである。ライブを年に一度やる程度だから自分が“ミュージシャン”や“バンドマン”だと思ったことは無い。でも人様から見れば「15年もバンドを続けている人」である。我ながらビックリだ。
私の担当はボーカルである。МCをそこそここなれた顔でこなしているせいで中心人物みたいな立ち位置にいるが音楽的素養はない。楽器も出来ない。ちょこっと手を出したギターの基本コードのストロークがよちよち鳴らせる程度である。
他のメンバーは腕っこきが揃っている。ボーカル無しのインストゥルメンタルも一部の演目にあるのだが、練習の際にその音色を聴いていると大真面目に感動する。今年は「太陽にほえろ」と「名探偵コナン」のミックスアレンジバージョンを演目に予定している。その部分はただボケっと聴いているだけの私は単純にそれが一番楽しみだったりする。
今年も11月のライブ本番に向けてスタジオ練習がスタートした。事前に演目候補曲は決めてあったのだが、1回目の練習から皆さんしっかり精度高めの音を出していたことにビビった。ボーカルの私が最も仕上がりが遅れていた。
バンド活動の初期はアコースティックギター2人と私の3人編成で練習の初期段階はメロメロも通り越してヘニャヘニャだった。今ではフルバンド編成に拡大したのだが、気づけばボーカルだけが昔のヘニャヘニャのままなのが我がバンドの弱点といえる状態だ。頑張らないといけない。
バンド活動を通して知ったことや感じたことは結構ある。何事も勉強だと思えばこの経験は案外大きい。それこそシャレみたいなつもりで始めた活動だが、15年もやっていると私の人生になかなかのインパクトを与えてくれたと感じる。ちょっと大げさか。
大勢の人の前でスポットライトを受けてPAさんの助力を得てプロが使う本格的なライブハウスで熱唱するわけだから得難い体験ではある。そんな体験は日本全国、いや世界中の人の中でもかなり少数派に属するはずだ。ちょっと大げさか。
何だかヘンテコな書きぶりになったから話を変える。「郷ひろみ」の偉大さについて書いてみる。近年、我がバンドはお客さんのウケを狙うために誰もが知っているノリノリの楽曲のカバーを多めに演目を構成している。
バンドメンバーの誰もがそれぞれ演奏したい渋い曲や通っぽい曲はたくさんあるのだが、素人バンドが陥りがちなマスターベーション的演目構成を避けるために我がバンドではベタな歌謡曲も積極的に手掛ける。
で、ヒロミゴーのノリノリ曲「ゴールドフィンガー」も過去に何度か披露した。あの「アチチ、アチチ」と熱唱するヤツである。NHKの紅白でも郷ひろみは近年では「アチチ」か「億千万」のどちらかしか歌わなかったぐらい盛り上がる曲だ。
今も彼は歌番組で披露しているが、何といってもキーが高い。それを激しく踊りながら余裕で歌っている。もうすぐ70歳である。前期高齢者になってすでに5年も経っている。ただただ感心する。
それこそ「億千万」と叫ぶ有名曲「2億4千万の瞳」より遥かに高いキーである。驚かされるのは「アチチ」の歌は「億千万」の歌より15年も後に発売されている点である。すなわち、30歳の頃より高いキーの曲を45歳ぐらいになっても余裕でレコーディングして今もそのキーのまま踊りながら歌っているわけだ。
どうでもいい話かもしれないが、ヒロミゴーより10歳年下の私にとっては驚異的な話である。それこそ私が子供だった頃に、♪僕たち男の子~♪とくにゃくにゃ歌っていた人である。当時は子供心にブキミな男にしか思えなかったのだが、半世紀を経たいま、彼を類まれな傑物として尊敬している。
バンドの話のはずがヘンテコな結末になってしまった。
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