前回からの続き
初めて沖縄そばを食べたのは40年前のこと。沖縄でダイビングガイドが連れて行ってくれた。第一印象は「なんじゃコレ?」である。そばと言いながら蕎麦感はゼロ。うどんとも違う。
スープの味は妙に薄く感じた。当時は紅ショウガが嫌いだったからそんなものを投入する食べ方も意味不明だった。かろうじて乗っかっていた肉がウマかったので何とか食べた記憶がある。
あれから40年、今では大好物である。東京でも専門店に時々出かけるほど。今では紅ショウガも大量に入れるし、辛いコーレーグースもドバドバ入れる。もっとも、上に乗るソーキが目当てだったりする。あくまで主役は肉だ。脇役としてあの麺を食べている感じだ。
今回の旅でももちろん沖縄そばを満喫した。とはいえ3泊4日で3回しか食べていない。以前ほど偏執狂みたいな行動はとらなくなった。
最初に食べたのは2泊目の夜。宜野湾の小料理屋で結構飲んだ後に通りすがりの「うみちか食堂」という渋い店に立ち寄って食べた。ソーキの大量投入が出来なかったのでソーキに加えて三枚肉を追加した。酔っていたから単純明快にウマかった。
そばを食べる前に飲んでいた小料理屋はラグナガーデンホテルから歩いてすぐの「真」という店。居酒屋よりもやや高級な雰囲気でオジサマ向きである。メニューに「チャンプルーや沖縄そばはありません」とわざわざ表記されていた。ある意味、店主の思い入れを感じる。
通常の日本料理的なメニューが中心だが、ミヌダルやドゥルワカシーなど渋い沖縄的メニューもあったのでそれらをツマミにこの日も泡盛タイム。
カウンターのネタケースにウマそうな熱帯魚?を見つけたので尋ねてみると現地ではビタローと呼ばれる高級魚だという。バター焼きで注文。これが結構ウマかった。
フエダイ系統の魚のようで、その昔、沖縄潜水旅に励んでいた頃に海の中ではしょっちゅう遭遇していたのだろう。沖縄の魚は寒い海の魚に比べてマズいという印象があるが、バター焼きという官能的?な手法によってかなりウマかった。
さて、旅の3日目は読谷方面にドライブ。ドラゴンズの2軍キャンプも覗いてみる。ガラガラかと思いきや出店はいくつも並んでいるし、ユニフォームを着た熱心なファンが大勢見学に来ていて驚く。
北谷での一軍キャンプの見学客が想像以上に多かったことにもビックリだったが、そこからかなり離れた2軍の練習場にもドラゴンズファンがつめかけているわけだからイマドキの野球人気は私の想像を超えているようだ。
沖縄そばの話に戻る。読谷エリアで入ったのが「読谷山そば」という店。地元の人で結構にぎわっていたので人気店のようだ。ソーキそばの他に「肉そば」なるメニューがあったのでそちらを注文。
肉は少しパサっとしていたが野菜がしっかり入っている沖縄そばは私の経験では珍しい。肉野菜炒めが沖縄そばに乗っかった感じだ。キャベツやもやしがスープに馴染んでこれはこれでウマかった。それでもやはり肉はソーキに限ると痛感した。
3泊目となるこの日の夜は那覇に移動。予約サイトの絞り込み検索で温泉大浴場付きで喫煙ルームを探して出てきた宿を手配していた。
「SANSUI NAHA」という新しめのホテルだったが、周囲はラブホテルと風俗店だらけの物凄い立地。初めて沖縄を訪ねた人がここに泊まったらちょっとゲンナリするんじゃないかと要らぬ心配をしてしまう。実にビミョーだった。
で、風俗店の呼び込みに拉致される恐れを察知してウーバータクシーをホテルまで呼んで夕飯に向かう。適当に入った居酒屋でジーマミ豆腐やイカ墨ソーメンチャンプルーで泡盛。他に食べたいものが無かったのでさっさと切り上げて国際通り近くまで2軒目を探してぶらぶら歩く。
ほろ酔いになって判断能力が落ちていたのでなかなか入りたい店が決まらない。謎にウマそうなメニュー看板を出している店に入りかけたが、その隣のステーキ屋に「あぐー豚ステーキ」というメニューがあったのでどちらに行こうかしばし悩む。
ラフテータコライスやラフテータコスそばに妙にそそられる。こういうものに魅せられる自分はまだまだ若いなあと変に感心したが、やはり還暦を過ぎている自制心が効いたようでステーキ屋のほうを選ぶ。
沖縄各地に展開するステーキ屋「HAN'S」である。初訪問だ。あぐー豚の200グラムステーキにテンダーロインステーキ100グラムがセットになった一品を注文。とにかく豚肉好きな私としてはこういう店でも豚を主役にしたくなる。
普通に美味しかったが、こういう店では黙って牛ステーキを食べたほうが無難だというのが結論だ。そのぐらい100グラムしかなかったテンダーロインが抜群だった。
でもやっぱり「ラフテータコスそば」なる怪しげな一品を食べておけば良かったと後悔している。
何だか沖縄そばの話から脱線しまくったが、シメとして今回の旅で一番興奮したハッピーなソーキそばの話を書く。
4日目、昼前の便で帰るため那覇空港で朝飯兼昼飯を食べることにする。はたして那覇空港内にいくつもある店の中でソーキそばはどこが一番ウマいのか。ネットで大真面目に情報を読み込む。結果、空港4階の「天龍」という店に向かう。
チャーシュー麺のチャーシューが多ければ多いほど幸せなようにソーキそばのソーキもテンコ盛りで食べたい。そんな私の願望を満たしてくれる店だった。メニューに「ソーキ肉のみ」という一品を見つけてガッツポーズをしたくなった。
「これだよ、これ!」と心の中で叫びながらガッつく。素直にウマい。別注のソーキをそばに追加投入すると麺が見えなくなる感じになってただただ嬉しい。ソーキ肉は温かい状態で味付けも私好みだ。
旅のシメに「ぶりぶりソーキそば」を食べられたから旅全体の記憶がすべてハッピーになった。ソーキの別注のせいで2千円オーバーの沖縄そばになってしまったが、この幸せが2千円なら実にお手軽だ。
前日夜のアグー豚とテンダーロインステーキ盛り合わせが5千円ぐらいだったから、それに比べて半値以下である。個人的には断固こちらを推したい。
なんなら別注ソーキをもう一皿追加すればよかった。それでも3千円ちょっとで済む。次の機会にはそこまで突き抜けてみようと決意した次第である。





