昔なじみの寿司職人さんが独立して店を構えた。
なんだかそう書くと自分が爺さんになったような気がする。若者が使わない言い回しの典型だろう。“人生後半戦”を痛感して複雑な気分だ。
いきなり話がそれた。
その職人さんと知り合ったのはもう15年ぐらい前だろうか。私が30代で彼は20代だった。お互いもうオジサマ世代である。
10年ぐらい前からは何となく担当みたいな感じになってもらいアレコレとワガママを言わせてもらっていた。
6月の終わりに目白にオープンした「鮨 おざき」が彼の新しい店だ。目白駅から程近いビルの3階に構える。
目白駅界隈は私の職場から徒歩圏内なので、以前はよく飲食店探索に励んだ。とはいえ、山手線の駅の中でも地味な存在の場所ということもあって、なかなかシックリくる店が見つからなかった。
こだわりのあるお寿司屋さんも探したのだが、私の調査不足もあって、個人的には池袋と並んで“寿司不毛の地”といった印象がある。違ってたらスイマセン。
そんな街にオープンした店だから今後が実に興味深い。
駅に近いとはいえ、路面店ではない。ビルの3階という飛び込み客が入りにくい立地である。いわば「そういうタイプの店」である。
それなりの値段でこだわった寿司や料理を出す。イマドキの「おまかせ一辺倒」みたいなインチキっぽい路線ではない。客の好みや希望に応じて柔軟に対応してくれる。
頑固一徹みたいな偏屈な職人ではないから、正統派路線のワザをベースに邪道と思えるようなこともサラリとこなしてくれる。
店の造りも適度な上質感が漂う。L字型のカウンターで席数は8(9だったかも)。間隔にゆとりがあるので窮屈感は無い。私が開店祝いに無理やり置いていった備前焼の壺も素敵だ!
安さ重視で店を探す人にはオススメしない。でも、銀座あたりのカッコばかりつけている店よりは安い。
目白界隈は下落合や目白台など保守的な富裕層が多い地域である。新参の店には見えない壁もありそうだが、ブレずに真っ当な仕事をしていれば道は開けるはずだ。
築地から仕入れる魚以外に漁港直送品も多い。ウニは常時3~4種類の一級品を揃えて食べ比べできる。時には私が大好きなイバラガニの内子もある。
特筆すべきはシャリだ。コメの輪郭をハッキリ感じるような粒立った食感だ。柔らかいコメが嫌いな私にとっては最高だ。
ここ2~30年の間に東京のお寿司屋さんのシャリはマイルドになった。マイルドといえば聞こえがいいが、没個性というか味も素っ気もないシャリが当たり前になってしまった感がある。
確かにシャリの個性が強すぎるとネタの味を壊しちゃうが、それでも「ごはん」ではなく、あくまで「シャリ」である。お店の個性の見せ所である。
「鮨 おざき」のシャリはアルデンテ?っぽいしっかりした食感に頃合いの良い“酢飯感”がちゃんと感じられてウマい。
そのまま食べても良し、炭火で焼きおにぎりにしてもらってもウマい(そういう邪道な注文はしてはいけない・・・)。
先日は今シーズン初のシンコも食べた。ぶどう海老も食べた。皮を少し炙ったイサキも美味しかった。
7月いっぱいはオープン記念ということで、「富豪記者を見ました」と言えばスペシャルサービスが受けられる。かもしれない・・・。
2 件のコメント:
お世話になっております。早速のブログ掲載ありがとうございます。魚を旨くするのが鮨であるのならばその志しを持ってお客様が喜んで貰える物を提供していきたいと思います。たとえそれが邪道だとしてもです(笑)富豪記者ブログをご覧の方がご来店されましたらワンドリンクサービスさせて頂きます!
わざわざコメント感謝です。ワンドリンクっていうのはボトルのことでしたっけ(笑)!
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